私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

麺に野菜を練り込んだ、究極のサラダうどんを作ってみた

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2014年4月22日に掲載した記事の転載です。

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うどんのような麺類は、単品で食べるとどうしても野菜不足になってしまうので、「ベジタブル・ウィーク」という野菜の粉末を使った、ヘルシーっぽいうどん作りを研究してみた。

麺類に野菜の栄養素と彩りをプラスしたい

うどんやラーメンなどの麺類を、自分で粉から作るという道楽に最近ハマっており、日本製の古い家庭用製麺機を何台も買ってみたりしている。詳しくは「趣味の製麺」というブログをお読みください。3回くらい。

www.seimen.club

製麺機で麺類を作るのは簡単で楽しいし、食べてもおいしいので趣味としては最高なのだが(製麺機を何台も買うのは別問題として)、麺類ばかり食べていると、どうしても野菜不足になってしまうのが気がかりだ。特にざるうどんなんて、ほぼ100%炭水化物である。オールカーボン。子供なんかは献立にうどんやラーメンがあると、その麺しか食べてくれない。製麺マニアとしては嬉しいのだが、それでは親として困る。

どうにか少しでも麺類に野菜の要素を組み込めないかと悩んでいたら、うまいもんプロデューサーというサイトで、あさぎり農園の「ベジタブル・ウィーク」という商品を見かけたので、これを使ってうどん作りをしてみることにした。きっとカラフルで鮮やかなうどんが出来上がるはずだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190311002449j:plainこれがベジタブルウィーク。1週間分7種類のセット

f:id:tamaokiyutaka:20190311002501j:plainほうれん草、ニンジン、ゴボウ、カボチャ、紫芋、ビーツ、コマツナだそうです

f:id:tamaokiyutaka:20190311002514j:plain小麦粉は、群馬県産の中力粉にしてみた

野菜粉末入りのうどんを作ってみる

ベジタブル・ウィークという野菜の粉末を入れたうどんの作り方だが、小麦粉にベジタブル・ウィークを混ぜる以外は、いたって普通である。

1人前を以下の分量で試してみるとこんな感じ。

・小麦粉(中力粉) 100グラム・塩 3グラム
・水 45グラム
・ベジタブル・ウィーク 1袋(1.5グラム)

f:id:tamaokiyutaka:20190311002530j:plainニンジンの粉末は優しいオレンジ色

f:id:tamaokiyutaka:20190311002544j:plainほうれん草は鮮やかな緑。匂いも青汁っぽい

これらの材料を7種類分、計7回ほどよく捏ねたら、7色の野菜パウダー入りうどん生地のできあがりである。

100グラムずつ7種類作るのがまあまあ面倒臭かったが、想像していたよりもきれいな発色でうれしい。超ポップ。きっときゃりーぱみゅぱみゅさんも好きだろう。何色にも染まっていない純白のうどん粉を、自分好みの色に染めていくという、今までの製麺作業にはない喜びを感じた。

ちょっと変わったうどん屋さんというよりも、アイスクリーム屋さんになった気分だ。いっそ31種類とか作りたい。

f:id:tamaokiyutaka:20190311002604j:plain左上から時計回りに、コマツナ、ビーツ、ホウレンソウ、ゴボウ、ニンジン、カボチャ、紫芋

ここまでできたら、あとは簡単である。なぜなら製麺機があるからだ。

製麺機のハンドルをクルクルと回して、生地を伸ばしてカットすれば、野菜入りうどんの麺があっという間に完成だ。

俺の製麺機、超かっこいい。

f:id:tamaokiyutaka:20190311002619j:plainもちろん製麺機じゃなくてパスタマシーンでも大丈夫だと思います

野菜パウダー入りうどんの試食会

そんな感じで出来上がったうどんの麺を持ってやってきたのは、西新宿のニフティ本社。まさかの出前である。

せっかくなので地球のココロの担当者と、「うまいもんプロデューサー」の担当者にも試食をしていただこう。

f:id:tamaokiyutaka:20190311002652j:plainうどんの道具を一式持ってニフティへやってきました

残念ながらニフティの社内には、うどんを茹でられるキッチンがないということで、近くに住んでいるというニフティ社員の方のマンションにお邪魔させていただき(私はまったくの初対面)、台所をお借りして、うどんを茹でさせていただく。

初対面の人がうどんを茹でにやってくるって、一体どういう気分なのだろう。しかもお互いが男だ。

そんな心理描写は置いておいて、制限時間はお昼休みが終わるまで。さあ1時間7本勝負(7種類作ったから)のスタートだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190311002709j:plainうどんも気になるが人の家も気になる試食係の3人。左からうまいもんプロデューサー担当の荒井さん、地球のココロ担当の池田さん、清水さん

f:id:tamaokiyutaka:20190311002726j:plainこちらが持参した野菜パウダー入りのうどん。ちゃんと野菜の色が綺麗に出ている

f:id:tamaokiyutaka:20190311002739j:plain100%野菜由来の微妙な色の違いが楽しい。やはり7種類作ってよかった

うどんの食べ方だが、茹でて水で洗って、市販の麺つゆを掛けて食べるという、一番シンプルなものにしてみた。

これが普通の麺だけだったならば、野菜の要素はまったくゼロのメニューだが、今回はそれぞれの麺に、その野菜が一番美味しくなる旬の時期に収穫した熊本産の野菜から作られたパウダーが練り込まれているのだ。

ちなみにベジタブルウィークは、生野菜に換算すると、粉末の重さの6~13倍の生野菜を使用しているらしい。

f:id:tamaokiyutaka:20190311002752j:plain鍋を二つ用意して、1種類ずつ茹でていきます

f:id:tamaokiyutaka:20190311002810j:plain水でよく洗って、ぬめりを落とす

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家主を含めて、茹でたてを5人で試食していく

野菜パウダー入りうどんの味は?

出来上がった野菜パウダー入りのうどんだが、まず色が茹でる前より鮮やかで、とてもおいしそうなところが素晴らしい。

茹でたてを提供するのは壮絶な面倒臭さだろうけれど、7種盛りのカラフルなざるうどんがお店で出せたら面白そうだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190311002842j:plainハデだけれど自然な色

味と香りはやはり普通のうどんとは微妙に違うのだが、野菜嫌いの人でもまったく抵抗なく食べられる程度の差だと思う。

その鮮やかな色から受ける印象も大きいと思うが、ニンジンやカボチャの優しい甘さだったり、ホウレンソウや小松菜のちょっと茶そばっぽい風味だったりが加わったことで、普通のうどんにはない「食べる楽しさ」がある。個人的には、もっと野菜パウダーの割合を増やして、野菜の味をよりはっきりとさせてもいいかなとも思う。

ということで、1時間の制限時間内に、無事7種類のうどんを飽きることなく全員完食。

試食をしている間、野菜パウダーの便利さ以上に、製麺機の素晴らしさを語っていたような気もする。

f:id:tamaokiyutaka:20190311002859j:plainかぼちゃとうどんの相性は、山梨の「ほうとう」が証明済みですね

f:id:tamaokiyutaka:20190311002917j:plain野菜っぽさが強すぎた時のためにドレッシングも持ってきたのだが、かけなくても全然おいしい。でもかけると、これもまたおいしい

究極のサラダうどんを作ってみる

さて野菜パウダー入りのうどんは無事成功したのだが、どうせだったらもっと野菜がとれるうどん作りに挑戦してみたい。そこで1人前のうどんに入れる野菜パウダーの量を、ドーンと増量してみることにした。

もう一度7種類のうどんを作るのは大変なので、今回は緑グループ(ほうれん草、コマツナ)、赤グループ(ビーツ、紫芋)、黄色グループ(ニンジン、ゴボウ、カボチャ)と、信号風に分けた3種類の生地を用意してみよう。ベジタブル・ウィークをダブルで入れて、ベジダブルである。

f:id:tamaokiyutaka:20190311002935j:plain100グラムのうどん粉に対して2袋を投入!ベジダブル!

f:id:tamaokiyutaka:20190311002945j:plainなかなかすごい色ですね

f:id:tamaokiyutaka:20190311002956j:plain黄色グループは豪華に3種類

f:id:tamaokiyutaka:20190311003008j:plainより色の濃い生地が出来上がりました

前回よりもさらに色が濃くなった生地。知らなければうどんの生地には見えないだろう。マジパンか、あるいは団子三兄弟か、クレイアニメの制作現場か。

こいつを我が家のかわいい製麺機で麺に加工。ハンドルを回して作るので、手打ちうどんではなく、手回しうどんである。

f:id:tamaokiyutaka:20190311003020j:plain白い粉は、片栗粉です

f:id:tamaokiyutaka:20190311003031j:plainはい、茹であがりました

茹であがった麺は、うどんというよりも生パスタっぽい見た目だ。今度はうどんじゃなくて、生パスタにしてみようかな。

試しに麺を何もつけないでそのまま食べてみると、ツルツルシコシコしたうどん本来のうまさは当然として(私が作ったからな)、しっかりと野菜の甘さや香りがプラスされているように感じる。ちゃんと野菜の味がするうどんだ。これくらい野菜パウダーの量が多いほうが、私としては好みかな。

それぞれの麺に何種類かの野菜パウダーが混ざっているが、特に違和感はないようだ。何の野菜を使ったうどんなのかをはっきりと味で確かめたいのなら、もちろん1種類のパウダーで作った方がいいけれど、味わいとしては複数入れた方がよりおいしいような気もする。

この3種類のカラフルなパスタ…じゃなくてうどんを使って作ってみたのが、ゴージャスなサラダうどんである。

f:id:tamaokiyutaka:20190311003044j:plainスーパーウルトラグレートフレッシュサラダうどん

7種類の野菜パウダーが練り込まれたうどんに、さらに数種類の野菜をプラスした、野菜たっぷりのサラダうどんである。ちなみにオクラ、レタス、トマト、カイワレ、キュウリ、ベビーリーフが入っている。味付けは市販のめんつゆとドレッシングをブレンドしたもの。

めんつゆの鰹節以外は野菜だらけのメニューだが(わざわざ買ってきたツナ缶を入れるのを忘れたので)、物足りなさはまったくなし。これならうどん一食で野菜がたっぷりと食べられる。たぶん。

長期保存ができる野菜パウダーと、その時の旬の野菜を組み合わせることで、より料理の幅は広がってきそうだ。野菜嫌い・野菜不足の人のためだけではなく、野菜が好きな人にも、そして離乳食や介護食を必要としている人にも、この色と栄養のトッピングは有効だろう。

この製麺機とベジタブル・ウィークがあれば、うどん以外にも、カラフルなパスタ、ラーメン、ソバなど、麺類ならなんでも作れる。あるいは水餃子の皮を作ってもかっこよさそうだ。野菜の栄養がプラスされるというメリットはもちろんだが、製麺マニアとしては、生地に好きな色が付けられるのが、単純にたのしいのである。

「製麺機なんて持ってないよ!」という人は、すいとんにしてみたり、手打ちうどんに挑戦してみたり、刀削麺にチャレンジしてみたり、製麺機を買ったりするといいと思う。

 


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日本の漁業を知るために「第1回 資源管理のあり方検討会」を傍聴してきた

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2014年4月14日に掲載した記事の転載です。

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水産庁でおこなわれた「第1回 資源管理のあり方検討会」を傍聴してきた。

「第1回 資源管理のあり方検討会」を傍聴してみよう

平成26年3月24日に水産庁において、水産庁職員および大学の教授・准教授、各県の水産担当職員、漁業協同組合の代表などから構成される資源管理のあり方検討会委員(名簿はこちら)による、「第1回 資源管理のあり方検討会」が行われた。

日本における危機的な漁業資源の話については、以前このサイトで三重大学生物資源学部の勝川俊雄准教授に伺ったことがあるが)、その勝川さんが今回の委員に入っているようだ。

blog.hyouhon.com

 

農林水産省お魚大使のさかなクンがこのメンバーに入っていないのが個人的に残念なのだが、この会は事前に申請をすれば傍聴可能ということなので、どのような議論がされているのかを聞きに行ってみることにした。

霞が関における会議の傍聴なんて、もちろん初めての経験である。

f:id:tamaokiyutaka:20190311000833j:plain傍聴希望者が多く、広い部屋に変わったそうです

f:id:tamaokiyutaka:20190311000852j:plainなんだかドキドキします

f:id:tamaokiyutaka:20190311000905j:plain手前が三重大学生物資源学部の勝川俊雄准教授

水産資源量に対する水産庁の認識とは

さてまずこの会の概要についてだが、事前に告知されたプレスリリースには以下のように書かれていた。

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水産資源の適切な保存管理は、国民に対する水産物の安定供給の確保や水産業の健全な発展の基盤となる極めて重要なものです。
しかし、かつて1千万トンを超える水準にあった我が国の漁業生産は、現在は500万トンを下回る水準となっています。こうした状況の中で、水産日本の復活を果たすためには、世界三大漁場と言われる恵まれた漁場環境を活かしながら、水産資源の適切な管理を通じて、水産資源の回復と漁業生産量の維持増大を実現することが喫緊の課題となっています。
このため、現在の水産資源の状況を踏まえ、資源管理施策について検証するとともに、今後の資源管理のあり方について幅広い意見を聞くため、本検討会を開催するものです。
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ここでいう「かつて」とは、当日配布された資料によると昭和60年前後の話なので、僅か30年で半分以下になってしまった日本の漁業生産を踏まえて、今後の水産資源の適切な管理施策を検討するための会ということのようだ。

今回の会議資料は農林水産省のホームページで公開されるので、誰でも見ることができる。

■資源管理のあり方検討会

f:id:tamaokiyutaka:20190311000929j:plain水産資源の状況及び資源管理施策の現状について:漁業・養殖業の国内生産』より抜粋

グラフを見る限りは、どう見ても下り坂だ。しかしである。会の冒頭にあった水産庁次長からの話の中には、以下のような内容が含まれていた。

「我が国周辺の水産資源の水準は、全体的にはおおむね安定的に推移していると言えるが、低位に留まっている資源や、悪化している資源もある。このような資源を持続的に利用していくためには、どのような資源管理措置が適当であるのか早急に検討する必要がある。」

どうも日本の水産資源は全体的にみれば安定しているので、悪化している一部の資源を管理すれば大丈夫であるという認識のようだ。この時点で、ちょっとこの会の雲行きが怪しいように感じてしまった。

水産資源量の推移

平成25年度における主要な52魚種84系群の資源量について、過去20年以上にわたる資源量や漁獲量の推移から「高位・中位・低位」の3段階で区分した水準によると、高位が14.3%、中位が42.9%、低位が42.9%となっているが、近年は太平洋のマサバなど低位の割合が減少し、中位の割合が増加傾向だと資料にはある。

f:id:tamaokiyutaka:20190311000959j:plain水産資源の状況及び資源管理施策の現状について:我が国周辺水域の水産資源の状況』より抜粋

f:id:tamaokiyutaka:20190311001016j:plain水産資源の状況及び資源管理施策の現状について:太平洋マサバ資源について』より抜粋

マサバがここ数年回復傾向なのはもちろん喜ばしいことなのだが、もう少し長い時間軸で見て、ちゃんと魚が獲れていた頃と比べてみると、実はまだまだ比べ物にならないほど低い水準だったりする。

f:id:tamaokiyutaka:20190311001035j:plain勝川さんのブログより、マサバ太平洋系群の資源量。『水産分野の事業仕分けについて、専門家の視点から分析してみる』より抜粋

勝川さんから「水産庁では日本の水産資源の状態は全体としてそれほど悪くないという認識でいいのか?」という質問があったが、それに対する水産庁の回答は「全体としては比較的安定しているのではと考えている。ただ一部には資源的に問題がある。」というものだった。

低位が42.9%でも比較的安定しているという認識であるのならば、この会はなんのために行われているのかという話になってしまうのだが、水産庁としてはどうしても水産資源が減っているという認識を持ちたくないように思えてしまう。

平成23年に発表された水産庁がおこなった漁業者モニターに対する「 我が国周辺海域の水産資源の状況の認識について」という調査によると、87.9%が減っていると答え、増えていると答えたのは0.6%である。

f:id:tamaokiyutaka:20190311001051j:plain食料・農業・農村及び水産資源の持続的利用に関する意識・意向調査』より抜粋

この結果を「あくまで漁師の感覚的なもの」と無視してしまっていいのだろうか。どうやら水産庁の認識と漁業の現場の認識には、マリアナ海峡よりも深い大きな隔たりがあるようだ。

現在の資源管理のための規制について

漁獲可能量(TAC)を事前に決めて、総量を制限する制度が7つの魚種で導入されてはいるが、たとえば水産庁のサイトから見つけた『漁獲可能量(TAC)と採捕実績の推移』を見てみると、平成24年漁期は漁獲可能量455,000トンに対して、採捕実績が221,491となっており、捕れた量の倍以上がTACによる上限となっているため、まったく規制の意味がない。また平成19年漁期においては、漁獲可能量が当初286,000トンだったのが、豊漁だったのか7月に316,000トンへと改定され、さらに11月には396,000トンとなり、最終的には301,449トンの漁獲量となっている。

このTACの改定はほとんどの魚種でおこなわれている。資源保護が目的なのであれば、予想よりも不漁なので漁獲可能量を減らすというのはわかるが、豊漁だったらどんどん漁獲可能量を増やそうというのでは、規制とはいえないのではないだろうか。

f:id:tamaokiyutaka:20190311001109j:plain漁獲可能量(TAC)と採捕実績の推移(単位:トン)』より抜粋

好きなだけ捕ってもよいという現行の制度のままであれば、漁師はそこに魚がいれば、市場価値の低い未成魚や旬ではないものでも捕ってしまうだろう。目の前にいる1匹10円の魚が、1年後には100円になるとわかっていても、その魚がまた自分の前に現れるとは限らないのだから、捕ってしまうのは当然だと思う。これは制度の問題であって、漁師にモラルを押し付けて解決するものではない。

漁師による自主的な規制に頼るのではなく、上の立場から公平な目で規制ができる水産庁が音頭をとって、本当に捕っても大丈夫な量や大きさ、あるいは時期を決めなければいけないだろう。もちろんその調整に必要な作業は、ちょっと考えただけでもすごくすごく大変なのだとは思うけれど(外部の人間なので簡単に言いますが)。

またこの会議で議題に上がるのは、すでに魚が減っている20年前からの推移であり、漁を始める前の未開発状態との比較が行われないという点についても、勝川さんから異議が唱えられた。ここ20年での資源量の推移ももちろん検討するためのデータとして大切だが、絶対的な総量に対する現在の状況がどうなのかという視点も、確かに加えるべきだろう。そんなの正確にはわからないからと検討しないことは簡単で、なんらかの数字を出して議題にあげることは大変な作業であってもだ(やっぱり簡単に言わせてもらいましたが)。

多くの漁師が「生業」として成り立っていない現状の漁業を維持するためのデータだけではなく、世界三大漁場と言われる日本の漁場が元々持っていたポテンシャルを示したデータを意識することで、今後の資源管理における方針も大きく変わってくるのではないだろうか。

次回の会議は4月18日(金曜日)

この会は今年の6月中旬までに全5回が予定されている。先に結論となる話ができあがっているのでもなければ、議論をするには少なすぎる回数と短すぎる期間だとは思うけれど、今後の会議の過程においては、資源管理の主体となって取り組む現場の漁業関係者の意見も十分に聞いていくそうだ。

それによって、水産庁における水産資源量の認識や、現状の規制に対する評価に、なんらかの見直しがおこなわれるかもしれない。

次回の会議は4月18日(金曜日)。傍聴の申込み締切は4月15日(火曜日)18時00分。そのプレスリリースはこちら

ちょっと難しい話が多いけれど、実際に傍聴することで何らかの「温度差」を感じることはできると思う。そして多くの人が「健全な外圧」として傍聴に参加することは、この問題に興味のある人間がこれだけいるんだよというアピールにもつながるのではないだろうか。

【参考サイト】
資源管理のあり方検討会 配布資料
第2回資源管理のあり方検討会 プレスリリース

 


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大人になってからフィギュアスケートを始めた人にインタビュー

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2014年3月28日に掲載した記事の転載です。

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フィギュアスケートというスポーツは、選手の演技を見て楽しむもの、あるいは選手を目指す人がするものという、遠い世界のイメージがあったのだが、なんと大人が趣味として気軽に始めることもできるらしい。

フィギュアスケートを始めた人が書いた本

フィギュアスケートに関してまったく素人の私でも楽しめたソチオリンピックが終わり、現在はさいたまスーパーアリーナで世界選手権が開催中である。ソチの次がまさかの埼玉だ。

国内でも日本人選手の活躍で盛り上がりを見せているフィギュアスケートだが、フィギュアのリンクに立つ資格があるのは、選手と選手を目指す子供たちだけで、一般人(特に大人)にとっては、あくまで見て楽しむスポーツというイメージが強い。

しかし、そんな私の固定観念を打ち破ってくれる本を、私よりも若干年上のライターである佐倉美穂さんが書き下ろした。その本のタイトルは、「フィギュアスケートはじめました。」である。大人が始めていいのか、フィギュアスケートって。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235904j:plain著者の佐倉美穂さん

フィギュアスケートはじめました。: 大人でもはじめていいんだ! 教室・衣装選びから技のコツまで別世界に飛び込んだ体験記
 

この本は、いわゆるフィギュアスケートの入門書ではなく、入門をした人の目線で書かれたエッセイ的な本である。4年前のバンクーバーオリンピックが終わってすぐ、30代半ばにしてフィギュアスケートの世界に足を踏み入れた佐倉さん本人の体験談をまとめたものだ。

フィギュアスケートを始めた理由とは

佐倉さんがなぜ大人になってからフィギュアスケートを始めたのか、じっくり話を聞いてみたくてスケートリンクに来てもらった。話を聞くだけならサイゼリアでもスタバでもいいのだが、私は今まで一切アイススケートの経験がなく、ローラースケートすらやったことがない。フィギュアを始めた人にインタビューするのだから、やはりリンクデビューくらいしなければいけないだろう。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235954j:plainこれがブレードというやつか。厚みがあるので内側と外側にエッジがあるそうだ。目に映るものすべてが新鮮

「物心ついたときからフィギュアを見てはいたけれど、やっぱり習うという発想はありませんでした。あれは選手を目指す一部の人のためのスポーツで、ずっと見ているだけのものだったのですが、運動不足解消になにかやろうと大人の習い事を検索してみたら、そこにフィギュアスケートがあったんです! しかも家から近いところで低予算の教室が!! 大人でも習っていいの!!! ってすごいびっくりしました。」

お金はそんなに掛からない!

世の中に大人用のフィギュアスケート教室というものがあることにまず驚いたのだが、しかも低予算ってどういうことだろう。お金がないと始まらないイメージなのだが。

「ほとんどのスケートリンクには、大人用の教室もあります。私の通っているリンクは初級と中級があって、初級は本当に初めてスケート靴を履くような人でも大丈夫で、私もそこから通いました。教室は月ごとの契約で週一回。最初の週はやさしいことから始めて、だんだんとそれを応用していく感じで進み、最後の週は憧れのジャンプとかを少しやったりもします。私の教室は月謝が5,400円で、これに滑走代、保険代、貸靴代が入っています。都内だったらもっと高いようですが、この値段なら習うでしょう! ずっと憧れていた世界にちょっとでも近づけて、健康にも良くて、日焼けもしないんですよ!」

f:id:tamaokiyutaka:20190311000009j:plain人類にとっては小さな一歩だが、私にとっては大きな一歩だ

フィギュアスケートというのはお金がかかるのは、あくまで選手を目指す場合の話で、趣味としてやる分には高い衣装を作る必要もないので、他の習い事と変わらない金額で楽しめるようだ。ちなみに普通のお客さんとしてリンクに来ても、滑走代と貸靴代だけで1,300円とられるので、月4回通ったら教室の月謝と200円しか変わらないぞ。

釣りでいえば、とりあえず船宿の貸し竿を使ってはじめるようなものだろうか。もしのめりこんでいったとしても、狙う魚にあわせて釣竿を買うように、ジャンプに合わせて靴を買うということはないので、釣りよりはお金がかからないかもしれない。

f:id:tamaokiyutaka:20190311000021j:plain転ぶときは手をつかないで、体を丸めるといいそうです

「教室だと10人とか20人とかを同時に教えるため、個人的なアドバイスまではなかなかもらえないので、試合に出るためではなく、純粋にうまくなりたくて個人レッスンを受けるという人もいっぱいいます。教室の生徒同士だとフラットな関係で同じ趣味仲間ができるので、フィギュアについて熱く語りあえるのもポイント高いですね!」

そういえば私にも、シュノーケルをするためにどうしても泳げるようになりたくて、大人になってからスポーツクラブの水泳教室に通ったり、個人レッスンを受けた経験がある。水泳仲間はできなかったけど。

テレビで見る羽生選手や浅田選手の演技がすごすぎて、フィギュアスケートが特別なスポーツだと思い込んでいたのだが、天井の高さはともかくとして、敷居はそれほど高くないのかもしれない。

f:id:tamaokiyutaka:20190311000033j:plainさっそく転んだ

どんな人がフィギュアスケートを始めるのか

それにしても、どんな人が大人になってからフィギュアスケートを始めるのだろう。

「選手のファンだから少しでも近づきたくてという人がやっぱり多いです。教室は男子も一緒なので、二人そろって一から始められるスポーツとして、御夫婦で習っている方もいます。めまいの持病を持っていて、ずっと回転していれば治るだろうとフィギュアを始めて、ずっとスピンの練習ばっかりしている人も。その人は教室で一番スピンが上手になりました。」

めまいを治すためにフィギュアですか。バス酔いを克服するために、遠足の前にでんぐり返しを何度もしたことを思い出すエピソードだ。なにか特別な理由がなくても、大人なんだから自分がやりたいと思ったらやればいいんだという、当たり前の話ですね。

f:id:tamaokiyutaka:20190311000057j:plainひょうたんという基本の動きをおしえてもらいました

f:id:tamaokiyutaka:20190311000046j:plain見事なへっぴり腰ですね

4年間習ってみた感想は?

実際に4年間フィギュアスケートを習ってきて、その感想はどうだったのだろうか。4年も続けたのだから楽しかったのだろうけれど。

「昔からローラースケートをやっていたし、スケートもリンクで追いかけっことかをしていたので、教室でも最初から度胸はよかったです。フィギュアは本当に難しくて、少しずつしか上達しないけれど、毎回が楽しくて楽しくて。難しいけれど楽しい。半年くらいしてターンをするころに、貸靴を卒業してマイブーツを買っちゃいました。靴を変えたら全然違って、こんなに氷を感じられるものなんだって驚き、そこでまた世界が広がりました。テレビでずっと見ていたフィギュアマニアだけに、スピンとかジャンプとか、憧れていた動きが少しでもできると、飛び上がるくらい嬉しいです!」

f:id:tamaokiyutaka:20190311000124j:plainマイブーツはフィギュアの世界を変えるそうです

フィギュアスケートの美容効果

本にも書かれていたが、どうやらフィギュアスケートは美容にも効果があるらしい。

「これはみんな驚くのですが、私は身長が3センチも伸びました。フィギュアの動きをすることで、骨盤の形がよくなるし、O脚やX脚が治るし、背筋もグッと伸びるから、今が人生で一番スタイルがいいかも。歩き方や階段の上り下りも綺麗になります。スケートをやっている人はみんな年齢よりも若く見えるんですよ。」

フィギュア選手のスタイルがいいのは、スタイルがいい人がやるスポーツだからだけではなく、フィギュアをやるからスタイルがよくなるという面もあるようだ。もしかしたら舞の海は、頭にシリコンを入れるのではなく、フィギュアを習うことで背が伸びて新弟子検査に受かったかもしれない。

確かにちょっと滑ってみただけでも、普段使わない筋肉を使いまくるので、翌日はしっかりと筋肉痛になった。確かにこれは効きそうだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190311000140j:plain片足1キロのスケート靴を履いて足を上げてバランスをとるんですよ

習うことで広がる観戦の楽しみ

フィギュアスケートを習うことで、観戦する楽しみも、より大きく広がったそうだ。

「フィギュアを自分で少しでもやることで、選手がどれだけすごいことをやっているのかが今まで以上にわかるから、観戦がすごくおもしろくなります。こんな体制でよくバランスくずさないよねーとか、よくそこまで脚が上がるよねーとか、好きな世界がもっと違う視点で見られるようになります。フィギュアを習わなくても、家の中でいいので選手がリンクでやっている姿勢をどこかにつかまりながらでもやってみれば、その難しさがちょっとわかりますよ。」

免許を持っていない人が見る自動車レースのF1と、多少はサーキットを走ったことのある人が見るF1では、見えてくる部分が違うというようなことだろうか。

f:id:tamaokiyutaka:20190311000151j:plain選手のサインがいっぱいありました

ついでに現在開催している世界選手権の見どころを聞いてみよう。

「世界選手権は普通の年ならその年で一番の大イベントですが、オリンピックのある年はやはりみんなオリンピックに照準を合わせてくるので、その直後に行われる選手権では燃え尽きている選手も多く、大番狂わせが起きる可能性が高いんです。またオリンピックを最後に引退する選手も多いので、出場枠が限られているために今まで出られなかった選手が出場するので、新星がでてきます。もしかしたら世代の入れ替わる瞬間が見られるかもしれませんよ!」

f:id:tamaokiyutaka:20190311000204j:plain一日に何回か氷を磨く時間があり、その直後はおもしろいくらいに滑るよ

「ジャンプには競技で認められているのが6種類あって、踏み切り方によって難易度が違うんです! アクセルジャンプは前向きで(熱い話は以下略……)。」

どうしても通える範囲にスケートリンクがあるということが前提になってしまうのだが、フィギュアを習う敷居は決して高くないそうなので、本当にフィギュアが好きなのであれば、佐倉さんのように一度はトライしてみるといいかもしれない。

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私にはこれがお似合いかもしれない

 


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エゾシカの熟成肉を自分で捌いて食べる会

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2014年2月5日に掲載した記事の転載です。

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熟成されたエゾシカの肉を、自分の手で捌いて食べるという集いに参加してきた。

エゾシカの熟成肉を食べる集い

最近は「熟成肉」あるいは「ドライエイジング」と呼ばれる、冷蔵庫で数週間寝かせた肉が流行っていて、熟成肉を食べさせる専門のレストランなども続々オープンしているようだ。

ぜひ私も食べたいなと思っていたところに、ちょうど熟成肉を食べる集いのお誘いを受けた。ただその肉は、牛の熟成肉ではなく、北海道で猟師が仕留めたエゾシカなのだという。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234452j:plainえ、エゾシカ?

ちょっと意外な展開ではあるが、牛の熟成肉やフレッシュなエゾシカなら今後も食べる機会があるだろうけれど、熟成されたエゾシカの肉を食べるチャンスなんてめったにないので、もろ手を上げて参加させていただいた。わーい。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234510j:plainここがその会場らしい。

エゾシカの熟成肉を食べる集いの開かれた会場は、特定非営利活動法人伝統肉協会が営む「エゾシカフェ」。ここは毎週金曜日にだけエゾシカフェとして営業されており、伝統肉協会で扱っているエゾシカの肉が食べられるという隠れた人気店。

通常は店長の作るエゾシカ料理をいただく普通の(普通じゃないが)カフェだが、今日はこの店を有志で貸り切って、ドカンとまとめて購入したエゾシカの熟成肉を食べながら、ハンターでもある店長との会話を楽しむといった特別営業らしい。

実はエゾシカフェに来るのも初めてだし、面識のない方からのメールでのお誘いだったので、あまり詳しい話は把握していなかったりする。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234527j:plainなるほど、エゾシカフェだ。

自分たちの手で肉を捌く

その存在を知らなければ絶対に一人では入れなそうな雰囲気を醸し出している店の扉を緊張しながらそっと開けると、テーブルの上にドーンと「なにか」が置かれていた。

こういう場面、刑事ドラマとかで見たことがあるぞ。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234540j:plainテーブルに置かれたビニール袋に包まれた「なにか」。

この時点でだいたい理解はしたのだが、一応この「なにか」がなんなのかを確認をしてみると、やっぱりこれが今日食べるエゾシカの肉だった。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234553j:plain包みを開けると、そこには肉の塊が。

すごい、すごい、すごい。こんなに大きな肉の塊は初めて見たかもしれない。

この肉を使ってこれから黒魔術の儀式を行うとかいう怪しい話ではなく、この塊を自らの手で捌いて、それを食べるというのが今回の趣旨なのだそうだ。

そういえばいただいたメールに、そんなことが書いてあったような気もする。

肉は「切る」のではなく「剥がす」もの

この肉は12月29日に北海道日高市の静内という地域で、ハンターのライフルによって仕留められたもの。推定5歳の牝のエゾシカだと添付の保証書に書かれている。

用意されたのは、その背中から脇腹にかけてと、右の後ろ足だ。枝肉(内臓や皮をとった状態)の四分の一匹分といったところだろうか。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234608j:plainエゾシカに個体識別番号や保証書なんてあるんですね。

今日が1月17日なので、仕留めてから19日間も熟成させた肉ということになる。すぐに血抜きなどの処理をしたエゾシカを、熟成させるための専用の冷蔵庫でじっくりと寝かせることで、フレッシュな肉とは違う旨味を味わうことができるらしい。

北海道で増えすぎているエゾシカの問題については後日またゆっくりと話を聞かせていただくとして(今日はこの状態から捌いて調理して食べるまでで時間がいっぱい)、今回はとりあえず肉を切り分ける方法の一端と、熟成させたエゾシカの味だけでも、しっかりと覚えて帰りたいと思う。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234807j:plain肉の表面は黒ずんでいるが、断面は鮮やかに赤い。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234649j:plain素人目にはどっちが前かすらわからない。

全員がよく手を洗ってから、用意していただいた鋭利な包丁で、部位ごとに肉を切り分けていく。私も魚介類ならよく捌くけれど、まだ哺乳類には手を出したことがないので、久しぶりにドキドキするほど新鮮な体験である。

仕留めてからこの状態にするまでが本当は一番大変なのだろうけれど、ここから先の工程も、ズブの素人にはどうしていいのかわかならないので、十分勉強する価値はある。

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捌き方を指導してくれるのは、伝統肉協会の会長でありエゾシカフェ店長の石崎さん。

店長の石崎さんによると、肉の解体とは、「肉を切る」のではなく、「肉を剥がす」作業なのだとか。

実際にやってみるとよくわかるのだが、肉と肉の間には膜があって明確に部位が分かれているので、包丁を使うのはそこを分けるきっかけを作る程度でよく、上手にやると手で引っ張るだけで綺麗に剥がれていくのだ。

「肉の部位」というのはこういうことなのかと、肉を剥がしながら実体験として学習させていただいた。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234850j:plain皮側についた脂身が、薄い膜を一枚を残して、ペリペリと素手で剥がれていく。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234829j:plainみんなで交代しながらエゾシカを捌いていく。大人の調理実習だ。

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この膜の間に指先を入れると綺麗に剥がれるので、ソトモモもさらに部位に分けることができる。

肉を部位ごとに解体したら、筋や脂などを切り取る「掃除」の作業をしていく。

これがなかなか難しくもあるのだが、なるべく肉に傷をつけないように掃除することが自分の性に合っているような気がして、黙々とやらせていただいた。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234910j:plainこの作業だったら、ずっとやっていられる気がする。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234926j:plain肉を剥がされた立派なアキレス腱。

エゾシカの熟成肉は抜群にうまい

みんなで捌いたエゾシカの熟成肉は、スタッフの方に切りそろえていただき、自分たちでどんどん焼いて食べていく。エゾシカの肉とワインだけの宴会がスタートだ。

こういう特別な集いだからこそ、部位ごとの味の違いを確かめられるのがうれしい。その違いが判る自信はないのだが。

f:id:tamaokiyutaka:20190310234954j:plainステーキ用に仕上げていただく。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235009j:plainこの色の深さが熟成肉の証だろうか。

エゾシカの肉は焼き方にコツがあり、たっぷりのオリーブオイルを使って弱火で肉をじっくりと温める「アロゼ」という焼き方がベストとのこと。味付けは塩と胡椒のみ。

ジューっとはいわない油たっぷりの冷たいフライパンに肉を並べて、時間を掛けて弱火で焼いていく。強火で焼いてしまうと、肉が一気に縮んでしまうそうだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235026j:plainたっぷりのオリーブオイルと弱火がポイント。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235039j:plain事前に用意されたシカ肉のパテをいただきながら焼き上がりを待つ。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235104j:plain切り口がほんのりと赤いレアに焼き上がった。

まず食べたのはロース肉。まずとても柔らかいことに驚いた。クセはないけれど、良い意味でのワイルドな味がする。鉄分が多いためか、どことなくレバーっぽい風味がする。

そして、とにかくうまい。

びっくりするくらいうまい。

仕留めてから数日のフレッシュな肉も、それはそれで美味しいらしいが、長時間熟成をさせることで、これほどの旨味と柔らかさへと肉が育っていくのだそうだ。

そしてこの抜群にうまい肉を、部位ごとに次々味わえる幸せ。やはり来て正解だった。

文字通り、じっくりと幸せを噛みしめさせていただこう。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235125j:plainジワジワと火が通ってまいりました。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235138j:plainモモ肉はレバーっぽさがなく、羊の肉に似ているかな。そして超うまい。

同じモモ肉でも、膜を一枚隔てた別の部位だと、また微妙に歯ごたえや味わいが確かに違う。なんだか肉料理の奥深さにちょっとだけ足を踏み入れた気分。

その味の違いを細かく伝えるだけの、舌と文才と記憶力はないけれど。まあ、とにかくうまいんですよ。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235150j:plainエゾシカのソーセージもワインに合う。

エゾシカは脂身もおいしい

調理方法にちょっとコツがいる肋骨の部分(スペアリブ)は、石崎さんに調理していただいた。

まずしっかりと湯がいて余計な脂と臭みをとってから、濃い目の味付けで煮込んでいく。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235201j:plainエゾシカのスペアリブは石崎さんに料理していただいた。

短時間でパパパと手際よく作ってもらったのだが、これは先ほどの赤身100%のステーキとは違って、エゾシカの脂身の甘さが素晴らしかった。

この料理は肉じゃがにおけるジャガイモくらい脂身が多いのだけれど、この脂肪の塊が口の中でふわっととろけるのである(ダメな人はダメだと思うが)。

エゾシカの脂は凝固点が高いため、冷めるとすぐに固まってしまうので、なかなかお店では料理として出しにくいそうだが、この脂が持つ独特の甘さはクセになりそうな味。体が芯から温まりそうだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235215j:plain骨の周りの肉もまたうまいが、個人的には脂に惚れた。

自分の手を実際に動かして学ぶことで、肉を捌くということの意味が少しは理解できたような気がする。今後は「シカの脚が一本余っているんだけれどいらない?」とか、「イノシシが獲れたんだけれど遊びに来ない?」といった誘いにも、揺れない心で応じていけると思う。

家でもおいしくいただきました

さてその場で食べ切れなかった肉は、みんなで分け合って持ち帰ったのだが、私は少々の肉と一緒に、残っていた骨や筋を全部もらってきた。勇気を出してこれをもらわなかったら、一生後悔していたことだろう。

こいつを一度下茹でをしてから、ショウガとローリエを入れてじっくりと煮込む。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235227j:plainとりあえず下茹でをして、アクを出しきる。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235239j:plainそして一度洗ってから、新しいお湯でじっくりと煮込む。

パスタ用の大きな鍋一杯に入ったエゾシカの煮込みは、味を変えながら一週間マタギ気分で食べ続けさせていただいた。

肉もスープも野性味はあるが臭みはなく、どう料理してもおいしかった。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235256j:plainシカのダシは味噌を溶いただけで最高のスープになる。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235307j:plainスネ肉も簡単に箸でほぐれる柔らかさになった。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235318j:plain極太の自家製麺にも負けないエゾシカのスープで作った味噌ラーメン。

f:id:tamaokiyutaka:20190310235332j:plain冷えると脂の層が1センチ以上浮いてくるよ。

とにかく、エゾシカの熟成肉はおいしかった。また何度でも食べたい肉だ。

エゾシカなんて臭そうだとか、硬そうだとか、わざわざ食べるもんじゃないとか、そういった先入観をすべてなくして、一度食べてみてほしい。

このエゾシカの素晴らしい味を知ったところで、またエゾシカの肉を食べながら、今度は伝統肉協会の立場から、エゾシカを狩猟しなければならない意味を、じっくりと教えていただこうと思う。

【参考サイト】
エゾシカフェ
伝統肉協会

 


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製麺機を自分で回す、セルフサービス方式ラーメン会

 ※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2014年1月8日に掲載した記事の転載です。

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手回し式の古い製麺機を友人宅に持ち運んで、自家製麺の楽しさを知ってもらうための、セルフサービス方式ラーメン会を行った。

我が家には製麺機がなぜか二台ある

この記事で伝えたいことは、なにはともあれ製麺機の素晴らしさである。何度も聞き間違えられるが、洗面器ではない。製麺機だ。

製麺機というと、どうしても業務用の大きなものを想像すると思うが、私が所有しているのは、手回し式の家庭用製麺機だ。その名を小野式製麺機両刃型という。詳しくは知らないが、昭和の時代に活躍していたものと思われる。

要するにうどんやそばを作るための和風パスタマシーンだと思ってもらえばだいたいあっているが、その頑丈さは生産されてから何十年経ってもそのままだ。

麺を切る刃が2種類あって、細麺と太麺を両方作れるのがチャームポイントのかわいいやつなのである。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233101j:plain小型のミシンくらいの大きさです。

これを購入した顛末については、「俺の製麺機は力強いんだぜ!」という、どうかしているタイトルの記事に詳しく書かれているのだが、我が家にはこれと同じ製麺機がもう一台あったりする。

もうオリジナルは生産されていないものなので、ネットオークションに状態のいいものが手ごろな値段で出ていると、ついつい保護したくなってしまうのである。

そんな愛すべき製麺機を使って、ラーメンやうどんを年に数回作っている訳だが、2013年の忘年会として、友人宅の台所を借りて忘年ラーメン会をおこなうことにした。製麺機ごとの出前である。

なぜわざわざ友人宅への出前なのかというと、人を呼べる状態に自宅を掃除するのが大変だったからだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233125j:plain車に道具一式を積み込んで、ラーメンの出前に出発。

用意した道具と食材

今回の忘年ラーメン会にあたっては、友人から業務用の寸胴鍋を借り受け、三日前からスープの仕込みなどをはじめた本気モードで挑んでみた。参加人数は15人くらいだが、用意した麺生地とスープの量は約25人前。おかわり上等!

自分のためだけに製麺機を回す気にはなかなかならないが、人に製麺機の楽しさを伝えるためなら(自慢するためともいう)、重い腰もスッと上がるというものだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233146j:plainラーメンを茹でる鍋と、スープの入った鍋を持参してきた。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233205j:plain歯車がかっこいいと評判の、小野式製麺機両刃型。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233224j:plain鶏ガラなどをじっくりと煮込んだ、二度と再現のできないスープ(何を入れたかよく覚えていないから)。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233242j:plainこのスープの味を、まずは覚えてください。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233257j:plain生地は国産中力粉で作ったラーメン用(右)と、戯れにデュラムセモリナ粉で作ったパスタ用を持ってきた。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233316j:plainチャーシュー(煮豚)のタレが、ラーメンの醤油ダレになる合理的なシステム。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233339j:plainトロトロすぎて殻を剥くときに壊れ気味の味付けタマゴ。

このほかにネギとノリを具として用意してみた。

ベースとなるスープには、調味料を一切入れていないので、そこに各自が自分で食べる分を自己責任で味を付けするのが、セルフラーメンの醍醐味だ。

こちらで用意した調味料は、醤油ダレ(チャーシューの煮汁)、塩、胡椒、鰹節の粉、自家製ラー油、ナンプラーといったところ。これ以外に使いたいものがあれば、家主から許可をとって台所を家宅捜索してください。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233400j:plainスープに味はついていないので、DIYの精神で自分好みの味を見つける。

オリジナルラーメン作りのスタート

この日に集まったメンバーは、以前に一度、我が家でラーメン作りを体験している人が多かったのだが、みんなすっかり作り方を忘れていると思うので、とりあえず見本として自分の分を作ってみる。

生地やスープはすべて用意してあるので、ラーメン作りといっても難しいことはそんなにない。

食べたい量の生地(一握りくらい)を製麺機のローラーに何度か通して伸ばし、刃の部分で切れば麺はできる。硬めの生地を使い、すぐに麺を茹でるのであれば、打ち粉を使わなくても大丈夫。

同じ生地を使っても、ローラーを通す回数や太さ(厚み)によって、麺の個性が変わってくるのがおもしろいのである。

麺づくりのコツは、生地の量を少なめにすること。なぜなら、必ずあとでまた麺の太さやスープの味付けを変えて作りたくなるから、一杯目でお腹いっぱいになってはいけないのだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233422j:plainまずはローラーで生地を捏ね、伸ばす。ローラーを通した数だけ滑らかになるが、あまり通しすぎるとコシが弱くなる。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233436j:plain生地を切るところで、毎回どよめきが起きるのである。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233449j:plainほら、かっこいい。シュレッダーみたいとかいわない。

自分で製麺した麺を茹でている間に、丼にスープを適量入れて、各種調味料でお好みの味付けをしておく。

好きな硬さに茹であがった麺を丼に入れて、具を適当にちりばめたら、自家製麺セルフサービス方式ラーメンの出来上がりだ。ほら、超簡単。準備がまあまあ大変なんだけどね。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233506j:plainさあ写真を撮って!でも伸びちゃうから早くして!

f:id:tamaokiyutaka:20190310233523j:plain醤油ダレを少なめにして、塩を足してみた。久しぶりに食べるけど、やっぱり製麺機を買ってよかった。二台はいらないけど。

どうぞお好きに回してください

一度手本を見せたら、あとは製麺機をバトンにしたリレー方式で、順番に好きなラーメンを作ってもらう。

使用する材料は同じでも、予想以上にバラバラの仕上がりになっていくものなので、これをみんなで味見していくのが楽しいのだ。

私は醤油ダレしか用意しなかったが、家主の冷蔵庫にあった味噌とモヤシで味噌ラーメンを作るという発想がおもしろく、私も二杯目は真似させていただいた。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233549j:plain大人のおままごとという感じですかね。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233605j:plainあえて挑戦したという、うどんのような極太麺。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233622j:plain自家製ラー油をたっぷりと加えたピリカラもおいしかった。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233634j:plain個人的にヒットだった、味噌バターラーメン。コーンも用意すればよかった。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233650j:plainデュラムセモリナ粉で作った生地は、即席でペペロンチーノになった。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233805j:plain今度はソースを各自で持参してもらって、自家製パスタ会にしようかな。

f:id:tamaokiyutaka:20190310233826j:plain「こ、この味は…」

f:id:tamaokiyutaka:20190310233838j:plain「しょっぱい!(塩を入れすぎた)」

参加者の方から、「おもしろいところだけやらしてもらった」という声があったが、実は準備段階の生地作りやスープ作りも、製麺機を回すのと同じくらい面白く、奥が深かったりする。

本当は仕込みの段階から参加してもらいたいのだが、そうすると一泊二日とかになってしまうんだよね。

製麺機を持ち込むセルフサービス方式ラーメン会の出前は、まあこんな感じ。

やっぱり楽しかったので、今後も四半期に一回くらいは、製麺機をクルクルと回していきたいと思う。

正月休みに時間がちょっとあったので、うっかり製麺のブログを立ち上げてしまったので、ご興味ある方はチェックしてみてください。

www.seimen.club

 


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ダチョウやワニやシカが世界を救う?オルタナフードってなんですか

 ※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2014年7月11日に掲載した記事の転載です。

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人口の増加に伴う食料問題に対する一つのアプローチとして、「オルタナフード」を推進するプロジェクトが誕生したそうだ。ええと、オルタナフードってなんですか?

オルタナティブフードとはなにか

「食の選択肢を広げることで未来を変えるAlternative Food Party(オルタナティブフードパーティ)」(以下AFP)とやらを立ち上げたのは、以前ダチョウの件でインタビューをさせていただいた、ダチョウに似ていることで評判の、ダチョウ肉の普及に尽力中の加藤さん。

blog.hyouhon.com

 

AFPの説明・試食会がおこなわれるということで、試食会というくらいだから、加藤さんセレクトのうまいダチョウ肉が食べられるのかなと軽い気持ち100%、予備知識ゼロでやってきた次第である。

「オルタナ」という言葉は音楽の話などでたまに聞くけれど(「オルタナ系っていいよね!」とか)、その単語の意味はよくわかっていない。ジョー・モンタナではないことは確かだろうけど。

f:id:tamaokiyutaka:20190310231837j:plain緊張している様子が伝わってくる加藤さん。

会の冒頭で、まず3種類のお肉が運ばれてきた。赤身が2種類、白身が1種類。紅白でめでたい感じだ。これがオルタナティブなフードなのだろうか。

f:id:tamaokiyutaka:20190310231855j:plain赤身。

f:id:tamaokiyutaka:20190310231909j:plain白身。

f:id:tamaokiyutaka:20190310231927j:plain赤身。

これらがなにか知らない状態で食べて、先入観をなくして味わい、この肉がなんなのかを当てるというクイズ形式の試食のようだが、その前に加藤さんからAFPの説明タイム。

f:id:tamaokiyutaka:20190310231945j:plainまだ食べちゃだめ?

加藤さんの話によると、ここでいう「Alternative(オルタナティブ)」とは「代わりとなる」という意味で、「Alternative Food」は「代わりとして選択できる食材」を指すらしい。

増加し続ける人口によって地球規模での食糧危機問題が目前に迫っており、穀物の不足が確実視される状況で、それらを飼料とする畜産物を食べ続けることは、どんどん難しくなっていく。たとえば牛肉を1キロ生産するのに必要な穀物は、トウモロコシに換算すると11キロ。豚肉なら7キロである。

そこで牛や豚に変わる食材、「オルタナティブフード」を普及させようというのがこのプロジェクトの趣旨のようだ。

オルタナティブフードの例として挙げられたのが、少量の穀物とクワの葉などで飼育可能なダチョウ、人が食べるには適さないような鶏肉でも元気に育つワニ、天敵であるオオカミの絶滅によって増えすぎてしまった日本国内のシカなど。

牛肉や豚肉に変わる選択肢として、これらの「積極的に食べるべき理由のある食材」の普及を図るため、クラウドファンディングで予算を募って、取り扱うお店を増やしたり、消費者に知ってもらうためのイベントをやっていく予定のようだ。

オルタナティブフードの味は?

このような話を聞いた上で、ようやくの試食である。

加藤さんからのヒントは、爬虫類、鳥類、哺乳類がそれぞれ1品ずつとのこと。話の流れからして、ダチョウとワニとシカの肉なのだろうというのはバレバレなのだが、逆をついて牛や鶏だったらどうしようと思いながら試食をしてみる。

赤身肉は表面だけ炙ったタタキ、白身肉は茹でてあるようだ。

f:id:tamaokiyutaka:20190310232007j:plain左右の赤身肉の違いが全く分からない。

まず見た目の違いが私のような素人にはまったくわからない赤身肉から食べ比べてみる。ダチョウとシカに関しては、今までに何度か食べているので、その味を覚えている気になっていたのだが、正直に言って、どっちがどっちだか分らなかった。ははは。こんな自分にがっかりだ。

シカ肉の鉄分の多い感じ、ダチョウ肉のモッチリとした食感、さてそれはどっちに当てはまるのだろう。いやいや、まさかの牛ヒレという懸念も捨てきれない。あるいは馬肉かも。とりあえず両方うまい。

白身肉はワニのはずなのだが、上手に作った蒸し鶏のように柔らかく、独特の甘みとコラーゲンっぽさがあって、これがとってもうまい。ワニはから揚げくらいでしか食べたことのないのだが、こんなにしっとりとした食べ物だろうか。周囲からは「ヘビではないか?」という声が聞こえてくる。ありえる!いや、どうだろう。栄養価は知らないけれど、ダイエット食に最適な感じがする。

さて答えだが、上の写真の左から、シカ、ワニ、ダチョウとのこと。

答えを知ってからもう一度食べると、「ああ確かに!」という気もする。でも目をつぶって食べたら、やっぱりわからないかな。

f:id:tamaokiyutaka:20190310232023j:plain何割の人が全問正解したのだろうか。

オルタナフードが普及するためのポイント

シカは増えすて農業被害が増大し、農家が離農する原因にもなっている動物。シカを積極的に食べることは、適正な数にするための駆除を増やすことにもつながるので、農家や自然を守ることにもつながる。そしてなによりも私好みの味の食材(とかいって、ダチョウと区別がつかなかったが)。

ワニはとても強い動物なので飼育がしやすく、通常なら廃棄されるような老鶏などでも元気に育つ生き物。このような調理法で食べてみてびっくりしたのだが、クセがまったくなく、自分でも料理してみたいと思わせる食材だ。おにぎりに具にしてワニギリとか、カニカマにしてワニカマとか。

ダチョウは生産効率がとてもよく、北は北海道から南は沖縄まで順応してくれる動物。飼育方法とエサによって、その肉質が大きく変わってしまうそうだが、ちゃんとしたノウハウの元で食肉用として育てたダチョウは、変なクセがまったくなく、高級な和牛にも匹敵する味となる。

f:id:tamaokiyutaka:20190310232038j:plainこちらはインドネシアのテンペなどを具にしたオルタナ系ちらし寿司だそうです。

これらのオルタナティブフードはどれもおいしいのだが、牛や豚と同じように食卓に並ぶためには、そのイメージと価格がネックになるのだろう。

国連食糧農業機関(FAO)がまさかの昆虫食を推奨する報告書を発表したが(こちら)、昆虫食に比べればシカやダチョウのほうが食べることに対するハードルは低いだろうけれど(昆虫食を否定する気はないですが)、ワニに関して言えば、昆虫食と同様に「なんでわざわざ…」と思う人も多いだろう。食べ慣れている食材以外のものを、「ゲテモノ」扱いせずにニュートラルなスタンスで食べてもらうのは、けっこう難しいことなのかもしれない。

高級和牛にも匹敵するダチョウだが、おいしいダチョウ肉を生産できる牧場の数が限られていることや、食用肉にするための処理に掛かる費用などの問題で、その値段もA5ランクの牛肉並みとのこと。現時点では、日常的に食べることができる食材というよりは、「ごちそう」としての値段である。A5ランクの牛肉を普段食べない私としては、ダチョウを「代わり」として食べることも難しいだろう。これはシカやワニも同様で、ダチョウほどは高くなくとも、豚や鶏と比べたら、やっぱり割高になりがちだ。

値段に関しては、消費が増えることで生産量が増えていけば、様々なコストが下がって少しずつ手に取りやすくなっていくものなのだろうけれど、「高いから買わない→買わないから作らない→少ないから高くなる」という、消費者と生産者の間にある負の永久ループを、どうにか脱却する必要があるのだろう。

「高いけれどおいしいから一部の人が積極的に買う→生産量が増えて安くなる→安くなったので多くの人が買う」という流れが生まれれば、AFPが掲げる「東京オリンピック開催時に牛の区需要の半分をオルタナフードでまかなう」という壮大な目標も、もしかしたら達成されるのかもしれない。

肉でも魚でも穀物でも、土地でも仕事でも生き方でも、みんなが同じ価値観で同じものを欲しがれば、どうしてもそこに無理が生じてくるから、選択肢はたくさんあった方がいい。

難しいことは置いておいても、とりあえず今日食べたシカ、ワニ、ダチョウは、どれもおいしかったので、もっと手に入りやすくなればいいなと思った。もしかしたらスーパーの食品売り場で、「今日の夕飯はオルタナ系にしよっかな」なんてつぶやきながらワニやシカを手にする日がきたりするのかもしれない。

 


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ダンボのように耳で泳ぐ小さなイカ、ミミイカを捕まえたい

こんにちは。デイリーポータルZで記事を書きました。

そろそろホタルイカのシーズンということで、その予行練習もかねてミミイカを探しに行ってきました。

dailyportalz.jp

最後、かわいいミミイカを食べたところはわざわざ書かなくてもいいんですけど、書くことで伝わること、わかることもあるかなと。食べられるイカを食べないのも不自然だし。

アオリイカとかスルメイカみたいに食べる習慣があると、どんなにきれいでも違和感ないんですけど、ミミイカだと「お?」ってなるのは私も同じなんですが、でもその先にこそ知りたいことがあるのかもと。

結果として、公開したことによる反響から「ミミイカは初夏の卵入りがうまい」という知見を得られました。次はその頃にチャレンジしてみようかな。

 

今回はもう一人同行したイカマニアの方がいたのですが、同定の方法とか解剖とかが専門的で面白いです。勉強になります。

www.sepio.tk

 

あと寄生虫の可能性を否定できないので書かなかったんですが、生きたシラウオ(だと思われる魚)の踊り食いがすごくおいしかった。プチっとした歯ごたえで、最初に海水の塩味がきて、旨味と甘味が広がって、ほんのり苦味が残る完璧な味。海ですくって食べるっていう行為が最高。でもマネしちゃだめ系。

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シラウオの寄生虫に関しては、霞ケ浦とかはかなりの確率なんですが、完全な海だとそれほどでもないかなーというデータがあります。ちょっと古いけどこれとか。

※シラウオとシロウオは似ているけど全然違う魚です。

idsc.tokyo-eiken.go.jp

 

 

使わなかった写真。

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ではまた。

 


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