私的標本

玉置標本によるブログです。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

ツジメシ@新橋『ひらの』

先日の製麺フェスでは、架空の民族料理としての山羊ラーメンというトリッキーな技にも関わらず、食べた人全員一致を唸らせたシェフ、ツジメシことツジムラさん。ブログはこちら。

tsujimeshi.exblog.jp

ツジムラさんが以前から自分が作ったコース料理を出す一日店長的なことを趣味でやっているのは知っていたが、当然のことながら予約がすぐ埋まる人気イベント。

なかなかタイミングが合わず参加できなかったのだが、今回は店を変えての初開催ということで、プレイベント的に一般募集は掛けず知り合いだけでやるとの連絡をいただき、マダラさんと一緒に混ぜていただいた。

 

場所は新橋の『ひらの』。本日はツジメシさんがコース料理を提供し、それに合う日本酒をひらのの店主が提供するという、10人ちょっとのお客さんのためだけの特別営業。

 

カウンター席に座ると、コースのお品書きが置かれていた。

ただし、材料の羅列だけで調理方法は書かれていない。

f:id:tamaokiyutaka:20180206130107j:plain

なるほど。この材料の組み合わせから、どんな料理が登場するのかを想像しながら待っていてねということか。

あるいは料理名をつけるのが大変だったから……そんなことはないですよね。

f:id:tamaokiyutaka:20180206130114j:plain

いつもならビールあたりからスタートするが、せっかくなので料理に合う日本酒を店主に選んでもらった。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131302j:plain

f:id:tamaokiyutaka:20180206131304j:plain

さて料理だが、『下仁田葱、蕪』は焼き野菜的なものかなと思ったら、トロっとした温かいスープになって登場。そうきたかー。

冬野菜の甘みをあらびき胡椒が引き締めている。濃いけど優しい味。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131306j:plain

続いて『菜花、鶏胸肉』。菜花は素焼き味と歯ごたえを凝縮させている。

鶏胸肉はしっとりとなるように適温で調理され、謎のソースが添えられているようだ。食べてみると、酸味と塩味と辛味のバランスが鶏肉を引き立てている。なんだろう、このソース。

正解は煮詰めたバルサミコ酢、醤油、刻みワサビとのこと。自分では絶対に作らない組み合わせだ。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131308j:plain

『里芋、燻りがっこ』は、里芋を紫タマネギと一緒にポテトサラダにしたもので、そのアクセントとして燻りがっこが効いている。日本酒に合うポテトサラダだ。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131311j:plain

ラーメンイベントだと作る料理は1種類だけど(あれも十分に辛そうだけど)、今日は10品もあるのでさらに大忙しで大変そう。

それにしても客って楽ですね。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131314j:plain

f:id:tamaokiyutaka:20180206131317j:plain

続いては『鮪血合、春菊、金柑』という、クセの強い組み合わせ。まったく想像の付かないトリオだったが、サラダ仕立てで登場した。ツジメシらしくナンプラーがたっぷりと使われており、独特の強い旨味が共通項がないと思えそうな三者をまとめ上げている。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131323j:plain

『鰤、独活、葉玉葱』という難しい漢字の3種は、ブリとウドの刺身を葉玉葱のヌタ的なタレで食べるというもの。ちょっとだけ遠くから辛さを感じる。私はなんにでも醤油を掛けて食べる派なので、こういう方向性の発想に驚く。驚き過ぎて写真を撮るのを忘れたのでマダラさんの画像をパクッた。

料理提供が終了後、余ったこのタレをみんなでつまみにして飲むという、野生動物の宴会みたいな状況が発生するほどうまかった。

f:id:tamaokiyutaka:20180206134944j:plain

 『赤海老、芽葱』。赤海老とはアルゼンチンアカエビのことだろうか。丸ごと漬けにした赤海老に芽葱が添えられて出てきた。

マグロの漬け的なものなのか、あるいは酔っ払い海老的なものなのか。海老の甘さが漬けだれで引きたてられ、また塩分で身が程よく締まることで歯ごたえもアップ。アクセントに芽葱を選ぶというセンスがモテる。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131331j:plain

f:id:tamaokiyutaka:20180206131327j:plain

同席していたHさんが、「これミソがすごいうまいよ!」というので、生臭くないといいなーと思いつつ食べてみると、これが確かにすごかった。

殻からスポっと外れた部分をそのままぺろりと口に入れれば、タレの塩梅で生臭さは感じさせずに、濃厚な旨味だけが楽しめる。新鮮なアマエビならともかく、冷凍の赤海老でここまでミソをうまく食べさせるのか。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131333j:plain

『菜花、豆腐』は白和え。魚が続いたところでのお口直しがうれしい。これぞコース。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131335j:plain

『鶏、大根、芹』は鶏団子のスープ。鶏ガラだけで作ったというスープがまずうまい。そしてレンコンと軟骨を忍ばせた(たぶん)、様々な歯ごたえが楽しめる鶏団子がスープを吸ってさらにうまい。セリとダイコンももちろん好きだ。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131320j:plain

f:id:tamaokiyutaka:20180206131339j:plain

ここまでで8品。心はもう十分に満足しているが、まだ料理は続いてくれる。料理の予想をしても絶対に外れるので、もうすべて身をゆだねて、何も考えずに出されたものを楽しんでいる。

『鶏肝、鮪血合、潤目鰯』は、絶妙に低温調理されたクセのない鶏レバー、そして血合いはしっかりと味を染み込ませた珍味に寄せた漬けマグロ。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131343j:plain

そして潤目鰯は、カッチカチに乾いた丸干し(一人一匹)を、日本酒に漬けてふやかしてから焼いたもの。

ちょっと熱燗いただいてもいいですか。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131346j:plain

f:id:tamaokiyutaka:20180206131355j:plain

そして締めは『麦飯、海苔、梅干』。これもただ麦飯が出てくるだけではなく、鯛の頭でとった出汁で作ったお粥だった。

お粥なんだけど、麦がはじける食感があるから噛んで楽しい。これは染みる。

f:id:tamaokiyutaka:20180206141358j:plain

見ていただいた通りの凝りっぷりで、料金は趣味だからこそのお手頃プライス。なんでも買い出しと仕込みに30時間も使ったそうで、材料の原価率は予算内に収めているが、試作や調理の人件費を考えると……とのこと。そりゃそうだ。

その味や食材リストをヒントにして、一品ずつをしっかりと正しく理解しようと、本気で料理人と向かいあって食べる食事は楽しい。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131351j:plain

イベント終了後、ツジメシのツイッターに料理名を書かれていたので転載。

・下仁田葱と蕪のすり流し
・菜の花チップス、鶏胸肉低温調理バルサミコ醤油
・里芋といぶりがっこのポテトサラダ
・鮪血合のコンフィ、春菊、金柑のナンプラー風味サラダ
・鰤、独活の葉玉ねぎぬた
・酔っ払い赤海老
・焼き菜花の白和え
・鶏団子と大根の煮物
・鶏レバーやわらか煮、鮪血合漬け、潤目鰯丸干し酒浸し炙り
・鯛頭出汁おじや海苔佃煮、梅干し

こちらは盛り付け用のメモだそうです。

f:id:tamaokiyutaka:20180206131358j:plain

こういうイベントはしょっちゅうできるものではないし(ツジムラさんはデザイナーであり調理人ではないはず)、参加できる人数もごく限られてしまうので、次回も行きたいところだけど、連続で席を奪うのも悪いよなーと、こっちが心配してしまうほどの会だった。

 

※追記 詳しいレシピが掲載されました

tsujimeshi.exblog.jp

 

下の写真はツジメシのあとに、焼肉屋を経由してからラーメン屋へと吸い込まれていったマダラさん。

f:id:tamaokiyutaka:20180206142408j:plain

次回はマダラさんが、ラーメンとカレーのコースをやるとかやらないとか。

ごちそうさまでした。

 

 

 

Copyright (C) 私的標本 All Rights Reserved. by 玉置標本