私的標本

玉置標本によるブログです。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

地引き網で生シラスを獲って食べたい

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2009年8月24日に掲載した記事の転載です。

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友人から観光地引網のお誘いを受けた。それは神奈川県の平塚市でおこなわれるもので、狙いはなんとシラスなのだという。地引網は毎年千葉でやっているが、シラスはさすがに獲ったことがない。これはぜひ参加させていただき、憧れの生シラスを食べなくては。

漁というよりはお祭りっぽい

開催日はよく晴れた地引網日和。少し早めに集合場所である海岸に行ってみると、砂浜には大きなテントが用意されていて、すでにたくさんの料理と大量のお酒が用意されていた。

自分が主催でやっている地引網(参考ページ)だと、本当になんにも用意されていない砂浜でやるので、この準備万端さに面喰ってしまった。漁というよりはお祭りやお花見みたいな感じである。さすが観光地引網。

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これから漁をするとは思えない雰囲気。

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焼きそばやら肉やらが大量。もう魚が獲れなくてもいいや。

魚が獲れなかったら食べるものがないみたいなストイックな漁も好きだけど、こういうゆるい感じも大歓迎だ。

網を張る船が出る

私もテントの中に陣取って、今日誘ってくれた友人に差し出されるままビールやら肉やらを摂取していたら、ここに何しに来たのかをだんだんと忘れてきた。

このままだとあと30分もすれば間違いなく寝てしまうなと思いだした頃、ようやく地引網の船が準備できたようだ。

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あの船のところまでいくのが面倒だなあ。

ああそうか、今日は地引網をしに来たんだっけ。

そうだそうだ、獲れたての生シラスを食べるんだった。

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この船で漁師さんが網を張ってくる。

地引網というのは、浜辺から船を出して、長い網を沖に向かって張り、逆Uの字型になるように折り返して、その網の両端を人力で引っ張るという漁法である。

船はずーっと沖へと走っていき、サーファーをたくさん抱え込むように網を張って戻ってきた。

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サーファーがたくさん網に入りそうだ。

網を引いて魚を獲るのだ

参加メンバーが二手に分かれて、網をよいしょと引っ張りながら、少しづつ内側へと進んでいく。逆Uの字をだんだんと小さくしていくイメージだ。

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両側から網を引きつつ、お互いが寄っていくのです。

ちなみに本日集まった参加者のうち、3割くらいは網を引かずにまだ酒を飲んでいる。

それはそれで正解なのだが、それだと人力だけで網が引けないので、人を補う機械もちゃんと用意してあった。まさに観光地引網だ。

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頼もしい助っ人登場。

網の中身はなんだろな

明日ちょっと筋肉痛になるかなっていうくらい網を引っ張って、反対側の網と無事合流。やあやあやあお久しぶり(ほとんど初対面なんだけど)。

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さあ魚が入っているでしょうか。

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網の先は袋状になっていて、この中に追い込まれた魚が入っている。
網の先っぽは袋状になっていて、船が網を広げた範囲に魚がいれば、ここに入っているわけだ。

ここから先は毒のある魚などが入っている場合もあるので、網を用意してくれた漁師さん達にお任せとなる。

平塚の地引網はシラスが狙いということなのだが、目の粗い網でどうやってシラスを獲るのだろうと不思議に思っていたけど、網の一番先がメッシュ状になっていて納得。なるほどここにシラスが入るのか。

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この袋を開ける瞬間が一番楽しいよね。

でた、生シラス!

漁師さんが網のチャックを開けて、たらいに中身をぶちまける。

網の膨らみ方からして、とりあえずサーファーは入っていないと思われる。

みんなが見守る中、網の中から出てきたものは、本命の生シラスだ!

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袋からは大量のシラスが!ものすごい嬉しい!

すごい。当たり前だけどまだ生きている生シラスが獲れたのだ。まあ釜揚げシラスが獲れたらそれはそれでびっくりなのだが。

しかし生きているシラスって本当にスケスケなんだね。魚というよりも、トコロテンみたない質感だ。

シラスのように小さい魚は鮮度の落ちるスピードがとても早い。そこで網からこぼれて砂浜に落ちているシラスを拾って、一足先に味見させていただく。

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砂が付いているので軽く海水で洗う。海の塩味で食べるのだ。

新鮮な、というかまだ生きている生シラス、これがまずい訳がない。ちょっと時間が経ったシラスだと、どうしてもドロッとした感じがするけれど、これにはそれがまったくない。軽くプチンと歯を刺激する、気持ちいい硬さを保っているのだ。洗い方が適当だったので、アサリみたいにジャリっていうのはご愛敬。

海水だけの味なのだが、生臭さは皆無。海のうま味を濃縮したような味。なるほど、これはここまで来てよかったと思わせる味である。

シラス以外にもいろいろ獲れた

獲れた魚は漁師さんが魚ごとに分けてくれるのだが、シラス以外にもいろいろな魚が獲れていた。

一番多いのがカタクチイワシ。まあシラスがいるならその親のイワシもいるよね。

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買うと安い魚だけど、この鮮度のやつは売っていないよね。

カタクチイワシはオイルサーディンなどにしてよく食べるけれど、今日はせっかくの新鮮ないわしなので、この場で手開きにして刺身で食べてしまう。

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カタクチイワシも手で捌いて海水で洗ってそのまま食う。

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ちょっと苦味があってうまーい。

久しぶりに食べたカタクチイワシの刺身、これもシラス同様生臭さは皆無。海鳥が集まってくる理由がよくわかる。

身に特有の苦みがちょっとあるのだが、それは嫌な苦味ではなく風味の範疇。でもまあ酢醤油でもあった方がよりいいかな。

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カワハギも数匹入っていた。これは嬉しい。

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しっぽに毒針があるアカエイも。これは漁師の人が夕飯に持って帰った。

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子供達も大喜び。大人だって大喜び。

この他にもアジ、ホウボウなどの魚が獲れた。

豊漁とはいえないけれど、参加者が味わうくらいは十分にある。さっそくテントに戻って宴会だ。

漁が終われば宴会だ

生シラスはもちろん刺身で。海辺で拾い食いしたときから数十分しか経っていないのに味が少し落ちているのに驚いた。それでも市販のどんな生シラスよりも新鮮なんだけどね。

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もちろん生シラスはそのまま生姜醤油で。

これに合うのはやっぱり白菜、いや白米でしょう。

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配られたおにぎりにのっけて食べる。

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漁師の奥さん達がいわしを天ぷらにしてくれた。

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獲れたてのカワハギも肝と一緒に刺身で最高。

宴会も終盤になると(といっても真昼間だが)、漁師さんやその友人達も加わって、どこまでが関係者だかわからない状態に。このボーダーレスな感じが目の前に広がる海と溶け合って、日常から完璧に隔離された空間を作り出している。

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どこまでが関係者なのかがまったくわからない。

実にいい夏の一日でした。

 

 

 

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