私的標本

玉置標本によるブログです。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

本気で魚肉ソーセージを作る

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2012年12月5日に掲載した記事の転載です。

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魚肉ソーセージといえば、安くてお手軽な近代文明を象徴する代名詞的な食べ物(言い過ぎ)だが、あえてそれを手作り

魚肉でソーセージを作れば、それは魚肉ソーセージ

ソーセージの代表的な材料といえば豚肉だが、それを魚肉にしてしまったのが、魚肉ソーセージである。ってそんなことは、みなさんご存知ですね。

あのオレンジのビニールに包まれたピンク色の魚肉ソーセージに、たっぷりとマヨネーズをつけて食べるのが好きなのだが、あれを手作りしたら、もっとおいしいのではないだろうか。というか、どんなものになるのかがいまいち想像できない。

ということで、魚屋で買ってきたのが、白身といえばこれだろうということで、生のタラ。

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やっぱり魚肉ソーセージといえばタラですよね。

そしてプリプリの食感と甘さを出したいので、剥きエビ。

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これをタラと合わせたら最強のソーセージができるはず。

最後にちょっと冒険をして、マグロのアラを買ってみた。

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マグロの血合いがたっぷりのアラを買ってきた。

これらを材料にして、金額的にも手間的にも、とても贅沢な手作り魚肉ソーセージを作るのである。

魚肉ソーセージの作り方

ソーセージとは、腸詰の肉である。本格的な魚肉のソーセージを作る以上、詰めるための腸も魚介類から調達したいところだが、たぶんマグロクラスの腸じゃないと大きさ的に使い物にならないだろう。

それはさすがに手に入らないし、クジラの腸を使うというわけにもいかないので(クジラは哺乳類か)、ここは普通に羊の腸を使うことにした。

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普通にウインナー用ですみません。

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ソーセージにつきもののハーブは、セージ、バジル、そして魚なのでディルを用意。

タラ、エビ、マグロにそれぞれ塩とハーブを加え、フードプロセッサーでミンチにする。どの程度粗さを残すか考えながらガーっとやっている間に、滑らかななすり身になってしまった。エビとかはもう少し粗くてもよかったかな。

タラとエビは単体で使うよりも、二つを混ぜた方がうまそうなので、そのようにする。マグロのミンチは、なかなか血なまぐさくて、魚肉ソーセージの材料とは思えない攻撃的な雰囲気を醸し出している。こいつ、やる気だ。

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それぞれフードプロセッサーでミンチにした。

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ソーセージを作る機械で押し出していきます。

ここから先の工程は、普通のソーセージ作りと基本的には同じでいいだろう。羊の腸にミンチにした魚肉を丁寧に詰めてねじり、それをボイルしたら出来上がりだ。ここまでやってから、「あ、これってただのすり身だんごじゃね?」と気が付いたが、迷わず前に進ませていただく。

マグロのソーセージは茹でるだけではなく、よりパワフルな食べ物にしてやろうと、しっかりとスモークして煙の香りをつけてみた。

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この作業が一番楽しいね。

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白いのがタラとエビ、赤黒いのがマグロ。

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マグロのソーセージはしっかりと燻してみる。

手作り魚肉ソーセージの完成!

まずは茹であがったタラとエビの魚肉ソーセージをいただいてみると、プリッとした食感と、魚のエキスがジュワっと染み出てくるという、今までに食べたことのないタイプの魚肉ソーセージに仕上がっていた。普通のソーセージとも、魚肉ソーセージとも、すり身だんごとも違う食べ物だ。

その味は、まあいってしまうと魚の練り物なのだが、羊の腸に包み込んで茹で上げることで、その味が外に漏れ出ていないところが最大の特徴だろう。味が濃いのである。これこそ、正真正銘の魚肉のソーセージだ。

やはりエビとタラを混ぜたのは正解だったようで、お互いの足りない部分を補い合って、バランスのいい仕上がりとなった。私がもし居酒屋の主人だったら、週に一度は余った食材を寄せ集めて、「オリジナル手作り魚肉ソーセージ」として出すことだろう。

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シンプルに茹でてみました。マスタードではなくて、生姜醤油で食べたい味。

続いてチャレンジするのは、スモークしたマグロのソーセージである。買ってきたマグロのアラが、パッケージを開けてみたら血合いばっかりだったので、なかなかグロテスクな色のミンチになってしまったのだが、それをスモークしたら、さらに真っ黒になってしまった。

しかし、豚の血のソーセージなんていうものが世の中にはあるのだから、マグロの血のソーセージがあってもおかしくはないはずだ。神奈川県の三崎港にはマグロラーメンだってあるんだから(関係ない)。

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見た目はちょっとヤバいかな。

勇気を出して食べてみると、これが血をスモークしたような味。そう、イメージ通りの味なのだが、決してまずくはないのである。いや、うまい。ちょっとクセはあるけれど、黒ビールやフルボディの赤ワインにも合いそうな、ヨーロピアンな珍味に仕上がっているのだ。

血生臭さはあるけれど、魚臭さはそれほどなく、言われなければマグロだとは気が付かないかもしれない。ニンニクとかショウガをもっとガッツリと効かせたら完璧だろう。材料が血合いなので栄養価も高そうだ。でも一度に食べるのは2本くらいでいいかな。

ということで、思いつきで作ってみた手作り魚肉ソーセージだが、また作ってみる価値のある味といえるのではないだろうか。高級魚肉ソーセージが新しい魚の食べ方として、もしかしたら今後流行るかもしれない。

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魚肉ソーセージで煮込みうどんを作ったら、魚介のダシが出て抜群にうまかった。

やはり豚肉に比べて脂っ気はなかったけれど、普通のソーセージと別のものとしてとらえれば、おいしく食べられると思う。

いっそ煮凝りを加えて、小籠包のように噛むとジュワっと肉汁がでるようにしたり、もっとミンチを滑らかにして、テリーヌ的なものにしてもおもしろかったかもしれない。

手作り魚肉ソーセージ、なかなか応用が広そうだ。普通のソーセージを作るときのついでにでも、またちょっとやってみたいと思う。おでんに入れたらおいしそうだしね。

 

 

 

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