私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

渋谷で食べる出来立て絶品フレッシュチーズ

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2013年1月11日に掲載した記事の転載です。

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東京の渋谷に、店内での工房で製造した自家製のチーズを出している場所があるらしい。はるか遠くの牧場にまでいかなくても、渋谷駅から徒歩10分の場所で、本場イタリアに負けないフレッシュな出来立てチーズが食べられるのだ。

渋谷に現れた出来立てチーズが食べられる店

出来立てのフレッシュなチーズが食べられるのは、NHKのすぐ隣にある SHIBUYA CHEESE STAND。渋谷駅周辺の喧騒を抜けたところにある、落ち着いた感じのカフェバーっぽいお店だ。

昨年の6月にオープンしたこの店の評判をチーズ好きの友人から教えてもらい、今回来店させていただいた次第である。

なんでも友人曰く、「チーズの概念が変わる味」なのだとか。

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NHKのすぐ横にある、SHIBUYA CHEESE STAND。

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チーズを作る工房が丸見えの、隠しごとのない明るい店内。

チーズというと、どうしても長期保存可能な食品というイメージが強いのだが、なぜわざわざこの渋谷という場所で、手作りチーズの店をオープンさせたのかを、オーナーである藤川さんに伺った。

「大学生時代、南イタリアでバックパッカーをしていた時に、出来立てのフレッシュなチーズのおいしさに目覚めました。日本では北海道の牧場とかまでいかないと出来立ては食べられませんが、この味をもっと多くの人に知ってもらいたくて、文化の発信地である渋谷に店をオープンさせました。やっぱり出来立てのチーズは、ミルク感が全然違いますよ!」

出来立てのバターがおいしいという話はよく聞くが、出来立てがおいしいチーズというのもあるのか。

この店では八王子の磯沼ミルクファームという牧場からほぼ毎日仕入れ、ジャージーなどの脂肪分の多いリッチな牛乳を使うことで、本場イタリアに負けないチーズを作っているそうだ。

藤川さんがそこまで出来立てのチーズにこだわる理由を、ぜひこの舌で確認してみたいと思う。

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オーナーの藤川さん。若い!

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チーズを使った新しいデザートの提案もしている。これはモッツァレラの伸びを楽しめるという、モッツァレラ・マフィン。

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リコッタプリンやのびるチーズケーキといった気になるデザートも。

チーズ作りの見学が楽しい

チーズを作っている様子が見られる時間は、毎日12時から13時頃。チーズ工房の前にあるカウンター席に腰を掛けると、ガラスを挟んだすぐ向こうで、陽気な職人さんによるチーズ作りの様子を見学することができる。子供の食育の場としてもいいかもしれない。

なんとなく豆腐屋さんを思わせる清潔な工房で、オカラのような状態のチーズが熟練の技で練り上げられ、艶のある丸いモッツァレラに仕上がっていく様子は見応え十分。ついつい見とれてしまうのと同時に、お腹がグーっと減ってきた。

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陽気な職人さんによるチーズ作りが間近で見られる特等席。

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職人技で練り上げられていくモッツァレラチーズ。

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くるっと丸めて、はいモッツァレラの出来上がり。簡単そうに見えるけれど素人には絶対できない典型だ。

ここの工房で作っているチーズは、日本でもおなじみのモッツァレラ、チーズを作るときに出るホエー(乳清)から作られるリコッタ、フレッシュなチーズを2週間熟成させたひょうたん型のカチョカヴァッロ、巾着型のチーズの中に繊維状のチーズと生クリームが入った日本初の国産ブッラータの4種類。

もちろん店内で食べることもできるし、持ち帰ることも可能。最近ではこの店の出来立ての味が気に入り、わざわざテイクアウトで買いに来てくれるお客さんもだいぶ増えたそうだ。

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ホエー(乳清)から作られたばかりのフレッシュなリコッタ。

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冷蔵庫で熟成中のカチョカヴァッロ。

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コアなファンが多いブッラータを日本初の商品化に成功したそうです。

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チーズを作っていない時間は、パネルでお楽しみください。

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明るくて広い窓の向こうにNHKが見えるというロケーション。

出来立てのフレッシュチーズを味わう

見ているばかりでは肝心の味がわからないので、さっそく出来立てのフレッシュなチーズを食べさせていただいた。実際に作っているところを見たばかりなので、期待をパンパンに膨らませての試食である。

まずはモッツァレラとリコッタを、それぞれオリーブオイルとハチミツでいただく。

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オリーブオイルとハチミツでいただく、出来立てのモッツァレラとリコッタ。

モッツァレラはスーパーや輸入食品店などで売られているものなら何度か食べたことはあるのだが、それらとは明らかに別物だった。口に入れるとキシュっという心地よい弾力が帰ってきて、すぐ口いっぱいに新鮮なミルク感が広がってくる。

続いてリコッタをまずはハチミツなしで食べてみると、ホワホワとした柔らかな口当たりの中に、ほんのりとしたミルクの甘さが感じられ、このままでも十分おいしい。そしてハチミツを掛けると、これはもう立派なデザートだ。

なるほど、これが藤川さんが惚れ込んだという、出来立てのフレッシュチーズの味なのか。

続いては、日本初の国産ブッラータ。このチーズは熱烈な愛好家が多いのだが、新鮮さが命のため、イタリアからの輸入もほとんどなく、日本では幻のチーズとされていたもの。それをお客さんに提供したいがために、試作を重ねてどうにか日本で初めて製造に成功したのだそうだ。

おでん種の餅巾着のような形状をしたブッラータにナイフを入れると、生クリームがトロリと溢れだしてきた。

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これが日本初の国産ブッラータのサラダ仕立て。

食べてみると、クセはまったくないのだけれど、どこまでも味に深みがある。とろりとした生クリームと歯ごたえのいい繊維状になったチーズのコントラストが楽しい。

牛乳のおいしいところだけをフレッシュなままに凝縮したような、まったく食べたことのないタイプのチーズだ。これは確かに鮮度がよくないとお話にならないかもしれない。

せっかくなのでもう一品。ランチタイムなどで人気のカプレーゼのサンドウィッチ。カプレーゼとは、モッツァレラ、トマト、バジルをオリーブオイルで和えたサラダのこと。そこにルッコラが加わったのが、このサンドウィッチ。

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ランチに最適なカプレーゼのサンドウィッチ。

温められたモッツァレラは、冷たい状態とはまた違った優しい表情で、ビヨーンと伸びる感覚がおもしろい。バジルとルッコラの刺激的な香りとトマトのフレッシュさが、温かいモッツァレラとベストマッチ。そしてそれらをまとめ上げる天然酵母を使ったライ麦のパンがまたおいしいのだ。

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温められたモッツァレラがよく伸びるんだ。

サンドウィッチと合わせて頼んだドリンクは、自家製ホエーとオレンジを組み合わせたオリジナルドリンク。ミルク自体が持つ自然な甘さが感じられ、飲むと体が綺麗になっていくような気がする味で、サンドウィッチとの相性は最高。

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自家製ホエーとオレンジのドリンク。

実際に食べてみて納得したのだが、モッツァレラやブッラータのようなイタリア生まれのフレッシュさを楽しむチーズは、長期熟成のハードなチーズと違って、鮮度が命の生鮮食品だ。

新鮮でリッチな牛乳を使って、毎日フレッシュチーズを手作りして、出来立てを提供する店が渋谷にある意味が、ようやくわかったような気がした。

今度は夜にまた訪れて、じっくりとピザやワインとフレッシュチーズの相性を確かめてみたいと思う。

 

【参考サイト】
SHIBUYA CHEESE STAND

 

 

 

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