私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

洗濯と羽根つきの羽根に使われてさらに食べられるムクロジの実

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2013年3月21日に掲載した記事の転載です。

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大昔は果肉が洗剤として使われ、さらにその種は羽根つきの羽根の黒い玉にも利用されるという、ムクロジの実を探してみた。

ムクロジの実を探しに行く

友人の父親が、犬の散歩のついでにムクロジという木の実を拾ってくるという話を聞いた。ムクロジってなんだろう。

ムクロジという名前を初めて聞いて、どんなものか気になって調べてみたところ、ムクロジの実にはサポニンという泡を出す成分が含まれており、昔は洗剤として利用されていたらしい。海外ではソープナッツという名前で呼ばれており、究極のエコ洗剤として、今でもオーガニックショップなどで売られているそうだ。さらに羽根つきで使う羽根の黒い玉は、ムクロジの種らしい。それは拾わざるを得ないだろう。

その実物を手に取ってみたくなり、友人にどこで拾えるか聞いたところ、名古屋の公園の地図情報が送られてきた。それはさすがにちょっと遠いので却下。

どうやらムクロジの木は神社などによくあるらしいので、風の特別強い日に近所の神社へと足を運んでみたところ、探し始めて5分でムクロジの実を見事発見することに成功した。

たぶんここで運を使ってしまったので、この前買ったtotoは外れたのだろう。

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いきなり発見。これがムクロジの実らしい。初めて見る木の実だ。

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プラスチックのような堅い実の中に、どうやら種が入っているっぽい。怪獣の卵のようだ。

この調子ならすぐに両手いっぱいのムクロジの実が見つかるかなと思ったのだが、落ちているのはこの1つだけで、あとはドングリや松ぼっくりしか見当たらない。どうやらどこかから強風でたまたま飛ばされてきたものを見つけたようだ。近くにムクロジの木があるはずなのだが、どれがムクロジの木なのかがわからいのが致命傷である。

一つだけだと洗濯に使われたという泡立ちを確かめるのには心もとないので、仕方なくムクロジの木が確実にあるであろう植物園へといったのだが、ムクロジの実が落ちるのは11月頃。ムクロジの木はあるのだが、その枝にはなにも付いていなく、その下に実はもう落ちていなかった。

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これがムクロジの木だそうです。

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なんとなくかっこいい。人体模型の肺みたいだ。

さてなぜ植物園のムクロジの木の下に実が一つも落ちていないのかというと、私が訪れた季節が遅すぎたというのもあるのだが、園を管理する人が集めているからというのが正解だった。

藁にもすがる気持ちで受付の方に「ムクロジの実はありますか」と聞くと、「たくさんあるから好きなだけ持っていっていいよ!」と、気前のいいことを言われた。ドングリと松ぼっくりもすすめられたが、それは遠慮させていただいた。

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ムクロジの実、持って帰り放題でした

ムクロジの種

持って帰ってきたムクロジの実をとりあえず包丁で割ってみると、中は空洞になっていて、そこに黒い種が一粒入っていた。

なるほど、これが羽根つきの羽根になる部分か。羽根つきの羽根なんて、プラスチックの安物しか触ったことがないので、もしかしたらこれが人生の中で初めて触れる本物の羽根の玉かもしれない。

種の周りの産毛を洗い流すと、黒くツヤツヤとしていて、なんとなくありがたみのあるものになった。ムクロジは無患子と書くことから縁起がいいものとされているので、これで数珠を作ったりもするらしい。私がもう少し信心深ければ挑戦してみたいところである。

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堅い果実の中には黒い種が一つ。

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確かに羽根つきの羽根のアレだ。

ムクロジの果実で洗濯をしてみる

さて続いてはお待ちかねの、「昔はムクロジの果実で洗濯をしていた」という話の検証実験である。

種をとったムクロジの果肉を水と一緒にペットボトルに入れて軽く振ってみると、キメの細かい泡が見事に立った。なるほど、これは確かにソープナッツだ。

匂いを嗅いでみると、干したアンズのような甘酸っぱい系のいい香りがした。

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ペットボトルに果実と水をいれて振ってみる実験。

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見事な泡立ち!

せっかくの天然石鹸水なので、試しにハンカチを一枚洗ってみたのだが、化学洗剤のようなしつこい泡ではなく、自然に消えていくようなナチュラルな泡立ち。どれほどの洗浄力があるのかまではわからないけれど、手に対する刺激はまったくないようなので、肌には良さそうだ。

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手がスベスベになった気がする。それにしても洗濯って、洗濯機ができる前は本当に重労働ですね。

どうやらムクロジの果実で洗濯は本当にできるようである。だからといって別に「今後はムクロジの実で洗濯をしよう!」などと考えている訳ではないので、今回は特に実用性のある実験ではないのだが、その辺に落ちている木の実で洗濯ができるということを知ることができて、なんだか嬉しいのである。

ライターやマッチを使わずに火を起こしたような達成感が得られて、とても満足なのである。

ムクロジの種を食べる

ところでムクロジの種だが、羽根つきの羽根や数珠を作るのに使う以外に、食べるという選択肢もあるらしい。なんでもギンナンのように炒って種の中身を食べるそうだ。

ムクロジの種、あまりおいしそうには思えないが、せっかくの機会なので、ちょっとその味を試してみることにした。

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真っ黒いので、どれくらい炒っていいのかがよくわからない。

黒い種はいくら炒っても黒いので、どこまで炒ったらいいのかよくわからかったのだが、なんとなく香ばしい香りがしてきたところで、堅い殻をペンチで割ってみた。すると中から大豆ほどの加食部分と思われる実が出てきた。

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ペンチで力を込めて割るのだが、こんな風にきれいに取り出せるのは珍しく、大体は派手に砕け散った。

これを恐る恐る食べてみると、ピーナッツとアーモンドと節分に食べる炒り豆の間のような感じの味と食感で、結構おいしい。ミックスナッツに混ざっていても違和感のないような味だった。殻が堅くて、食べられる部分を取り出すのが相当大変だけど。

ムクロジの実は、洗濯ができて、羽根つきで遊べて、数珠にして祈れて、中身は食べられるという、なんだかなぞなぞの答えみたいな、とても不思議な実だなと思った。

 

 

 

 

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