私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

干潟のモグラタタキ、マテガイ捕りの楽しみ方

『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2013年6月13日に掲載した記事の転載です。

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全国初となるマテ貝採り大会「第1回三河湾マテ貝採り大会」が5月に開催されるなど、今マテ貝採りが熱い。といってもマテ貝がなんなのか知らない人も多いと思うので、ここでマテ貝の採り方を紹介したいと思う。

マテ貝とはなんぞや

まずマテ貝とはどんな貝なのかという話なのだが、体長10センチほどの葉巻型をした二枚貝で、漢字で書くと馬刀貝。

正岡子規が「面白や馬刀の居る穴居らぬ穴」という俳句を詠んだことでも知られている。あの正岡子規も、きっとマテ貝採りを楽しんでいたのだろう。

このマテ貝は主に西日本で食用とされているようだが、関東でも東京、千葉、神奈川といった干潟に広く生息している。マテ貝採りは、知る人ぞ知る、干潟における初夏のレジャーとなっているのだ。

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干潟に集まったマテ貝マニアの方々。

マテ貝の採り方

さてマテ貝の採り方だが、まず海の潮位が下がる大潮の干潮時間を狙って干潟へといくのがポイント。干潟が海面から露出していないとマテ貝は採れない。

そしてマテ貝採りで欠かせない道具が、塩である。サラサラタイプの塩をハチミツの空き容器やペットボトルなどに入れて持っていこう。

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マテ貝採りに必要なのが、この塩。

マテ貝は干潟の砂の中に細長い穴を掘って住んでいるので、クワやシャベルなどで干潟の表面を少し掘って、巣穴の入り口を探す。

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深く掘る必要はないので、浅く広く探そう。

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下敷きやまな板シートなどでも掘れますよ。

ポイントはマテ貝の巣穴が崩れないように鋭く砂を掘ること。巣穴は地表からすぐのところにあるので、砂を深く掘る必要はない。さあ、ホームセンターなどに行って、マテ貝採りに最適な道具を探してこよう。

干潟にはいろいろな生き物が穴を掘って住んでいるが、マテ貝の穴は独特の形なので、慣れればすぐに見分けられるようになる。

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これがマテ貝の巣穴。丸ではなく、菱形なのが特徴。

できれば砂を掘った時に穴が水没しないような場所がいいのだが、この日は潮位があまり下がらず、穴を見つけてもすぐに水没して穴が塞がってしまうことが多かった。

さて穴を無事に見つけたら、その穴が崩れて塞がる前にザザザっと塩を投入。塩加減はお好みで。

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この後、感動的な展開になるのです。

塩を入れてしばらく待っていると、びっくりしたマテ貝がニョキっと飛び出してくるので、そこをすかさずキャッチ。もぐらたたきのゲームのように、マテ貝は巣穴から出たり入ったりして、一度隠れてしまうともう出てこなくなるので、捕まえるタイミングが難しい。逃げられると悔しいんだよね。

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ニョキッと出たところをキャッチ。

うまくキャッチができたら、抜かれまいとするマテ貝のふんばりを楽しみながら、ゆっくりと引き抜けば一丁上がり。これがとても楽しいのである。

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抜こうとすると、マテ貝に踏ん張られるのが楽しい。

どうだろう、ここまで読んだ人は、もういてもたってもいられなくなって、次の大潮やマテ貝の採れる場所を調べ始めているのではないだろうか。

小さな子供でも楽しめるマテ貝採り

このマテ貝採りのいいところは、老若男女問わず、誰でも楽しめるというところ。

貝殻で指を切ったりするかもしれないが、干潟なら水の事故や大きな怪我の心配は海水浴に比べれば少ないので、小さな子供を連れて行っても比較的安心だ。ただ日焼け・熱中症・迷子などの対策は万全に。

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子供も大人も夢中になれます。

巣穴を探すところが小さい子にはちょっと難しいかもしれないけれど、そこだけ大人がやってあげれば、塩を入れてマテ貝を引っこ抜くという、マテ貝採りの醍醐味を味あわせてあげることができる。

個人的な意見だが、マテ貝採りは大人が子供にしてあげられる最大級の家族サービスの一つではないかと思うくらいに楽しいと思う。

干潟が残っていることの大切さを子供に教えることもできるかな。

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お父さんが穴を探し、子供が塩を掛けて捕まえるという連係プレー。

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砂遊びとかが好きな子供には最適です。

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子供に収穫の喜びを教えよう。

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これはツメタ貝といって、アサリなどの天敵なので、見つけたら食べちゃってください。

portal.nifty.com

広大な干潟という時間限定サービスの砂場で、大人も子供も水浸しの砂まみれになって、夢中になって貝を採るというのも、たまにはいいものですよ。

ただ、あまり夢中になりすぎると、いつのまにか潮が満ちてしまって、荷物が流されたり、置いておいたカバンが濡れて携帯電話が水没したりするのでご注意を(経験アリ)。

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びっくりするくらい潮が満ちるのは早い。

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本日の収穫。食べ切れる分だけ捕る。

マテ貝は食べてもおいしい

捕まえたマテ貝は、もちろんおいしくいただくことができる。流水でよく洗って砂を落としたら、シンプルに網焼きにしてもいいし、フライパンでバター焼きにしてもいい。貝がパカっと開いたら食べごろのサインだ。たまにジャリっというのはご愛嬌。

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バター焼きにしてみました。この汁も捨てずに使いたいところ。

マテ貝は味が濃く、とてもいいダシがでるので、ボンゴレスパゲティや味噌汁にしてもおいしい。関東ではなかなか売っていない貝なので、これを食べられるのは採った人だけの特権だ。

ということで、「捕まえて食べる」という、原始的かつシンプルな喜びを感じさせてもらえる遊びの紹介でした。

 

 

 

 

 

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