私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

スミイカのデッドエギング釣り@金沢八景:忠彦丸の午後船 by ゆるゆる釣り部

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▲スミイカの墨がすごいんですよ。

こんにちは、ゆるゆる釣り部の続きです。前回の記事が懐かしいと、3人くらいから言われました。ありがとうございます。今回どんなテンションで書くかはまだ考えておりませぬ。考えずに書こうかな。

Don't feel,Litte! 

だめだ、英語が全然わかんないや。ええと、言いたいことは伝わったでしょうか。

 

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午後船でスミイカを釣ろう

午前中に乗船したアカメフグ釣りから、午後はスミイカ釣りの船にお乗換え。同じ船で釣りものを変えるタイプのリレー船(タチウオからアジとか)ではなく、忠彦丸とか金沢八景あたりの船宿のリレー船は、一度港に戻ってきて、同じ船宿が出している別の船に乗り換えるというタイプ。

沖と港を行ったり来たりになるので、どうしても釣りをする時間は短くなるのだが、午前と午後でそれぞれ2~3種類ある釣りものの中から、お好みのものを組み合せることができるのはやっぱり楽しいよね。これぞ大人のハッピーセット。

だいぶ前に某修行僧とかと某船宿でエビメバルとイシモチをリレーして、メバル(小)3匹からのイシモチ0匹っていう、ぜんぜんタスキを渡せてないリレーになっちゃったときもあったけど、今日はきっと大丈夫。絶対イカが釣れる日なんですよ。

なんといっても午前のフグ釣りで、同行のYさんが午後の本命であるスミイカを2杯釣っているのだ。フグの仕掛けでイカが複数釣れるんだから、こりゃ今日はきっとイカの大当り日に決まっている。そりゃもうイカの仕掛けなら何倍も釣れるさ。おっと、私は0杯だったから何倍でもゼロだった。

いやでも3杯は釣れるね。フグだって3匹釣れたんだから。根拠などない。とりあえず持ち帰ったフグは冷蔵庫で寝かせておいて、今日と明日は新鮮なイカを食べ、1杯は大事に冷凍しておき、一週間後ぐらいに熟成したフグと解凍したイカを並べて食べてやろうという作戦でどうだろう。フグにイカ、すいぶんと白い食卓になりそうだけど。

なんていう妄想をしていると、Yさんの知り合いであるイカ好きのMさん(こんな記事を書いているほど)が、「こんにちは、フグ釣りはイカがでしたか?」とイカ釣りに合流。「こんにちは、フグ釣りはイカが釣れました」と返事をするYさん。午後船は電車釣行でも余裕なのでいいですね。

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▲釣りの師弟関係だそうです。

スミイカ釣りの仕掛けは2種類ある

午後に狙うイカはスミイカ。本名は体内に硬い甲があるからコウイカで、通称は墨をたくさん吐くからスミイカだ。

そんなスミイカの釣り方は2種類あり、私がやるのはデッドエギングとか呼ばれるエギング釣り。エギングとはエギ(餌木)と呼ばれるエビ風ルアーを使った釣りで、エギはよくアオリイカ釣りで使われるもの。そのエギを動かして誘うのではなく、死んだように止めて釣るからデッドエギング。死んだエギ。前に一度だけやったことがあり、繊細なアタリを取るのが結構楽しくて、またやってみたかったんだよね。

この釣りの便利なところは、湾フグと共通の竿で遊べること。というか専用の竿というのが存在しないので(私の沖釣り知識は3年くらい前で更新が止まっているので今は専用竿があるかも)、湾フグ用の竿でやる人が多い釣りなのである。なのでアカメフグからリレーをすれば、タックルはそのままで仕掛けを変えるだけでOKグーグル。

リーダーの先に10号の中オモリを結び、その先にフロロカーボン4号のハリス(こっちをリーダーと呼ぶべき?)を2メートルほどつなげ、大きさ2~3号くらいのエギをセットすれば仕掛けは完了。エサ釣りのフグと違ってスミイカはルアー釣りだからエサをとられるということがないので、よりアタリをとることだけに集中できる釣りなのである。

……確かそうだよね。

ほら、自分が書いた懇切丁寧なゆるゆる釣り部の過去記事を読み直そうとしたけれど、ゆるゆる釣り部自体が掲載先の都合でネット上からなくなっているので、現在は読めなくなっているんだよね。皆様にもご迷惑をおかけしております。

パソコンの中からデータを探して、さっさとバックナンバーをこのサイトに移植すればいいんだけどさ。だから「よし、正月休みにでもパパっとやろうかなー」ってこの時は思ったんですけど、この記事を書いているのはもう年明けです。一月も半ばです。もちろん全然やってません。不思議なこともあるもんだ。

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▲10号の中オモリ。

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▲エギは新しい方が釣れるという説があるけれど、釣具屋にいくタイミングが無かったので、家にあったのを適当に持ってきた。

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▲サイズは2.5号くらいがちょうどいいかな。わかんないけど。それにしてもカンナがぼろいな。

閑話休題、カンナ錆び放題。

それに対してYさんとMさんが挑むのは、東京湾の伝統漁法である生きたシャコを使ったスミイカのテンヤ釣りだ。この釣りでしか使わないであろう代替えの効かない先調子のゴツい竿、イカ用だけど「いかようにも」とはならない竿を使い、それなりに重いテンヤをしゃくって引っ掛けるという釣りである。

私も前に一度やって記事にしたけれど、もう全部忘れちゃったよ。だから早く移植しろよっていう話なのですが。たしか相当疲れた覚えがあるような。こっちの釣り方も楽しそうだなーとは思ったんだけど、自前で道具が用意できなかったのと、活きたシャコをエサに使う分だけ乗船料がちょっと高いのよね。こういう貧乏臭さって一生治らないやつだな。

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▲Yさんが用意した浮きスッテ(エギではない)付きの仕掛け。強化チューブがポイントだとか。

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▲エサの生きたシャコ。かっこいい。

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▲持ってみたら、クラスで一番デコピンが強いやつくらいの攻撃力でカマパンチを繰り出してきた。シャコ、怖い(訳:シャコを釣りに行きたい)。

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▲ハサミでシャコをなんやかんややって、こんな感じに固定します。今回私はやってないので、よくわかりません。

おやおや、潮が流れないよ

そんなこんなでポイントについたら左舷の艫側で釣り開始。この船宿はエギングとテンヤが同じ船で席も自由という混在型。下の写真だと、竿先が下がっている人がエギで、上がっている人がテンヤだよ。

きっと一投目から釣れちゃうよねーってなんて思いながら仕掛けを沈めたんだけど、これがサッパリなんですよ。小型のイナダを刺身にしたくらいにサッパリ。もうちょっと脂を乗せてくれよ。

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▲真剣な表情で竿先を睨むYさんとMさん。その隣にチャゲさんと飛鳥さんがいれば、4人で「YMCA」になりますね。

エギを使ったスミイカの釣り方は、竿先を下げた状態で中オモリを底まで落として、竿先を少し持ち上げて、中オモリを底から1メートル程持ち上げて待つ。潮が程よく流れていれば、これで2メートル先にあるエギは底スレスレを静かに漂うはず。この状態でしばらく待ってから空合わせを入れて、待って空合わせを何度か繰り返したら、またそーっとオモリを降ろしてタナを取り直すという繰り返し。スミイカがエギにアタックするアタリ(すごく小さい)が竿先に現れたら、しっかりと合わせて巻き上げる。

スミイカはとても臆病だといわれているので、ポイントはびっくりさせないこと。オモリやエギの動きを優しくすることで、警戒心を抱かせずにエギを抱かせるのである。

とはいってもだ、この釣りは潮が流れて糸がちゃんと張ってこそ成り立つ釣り。アオリイカを釣るティップランエギングだと船を流して糸を張らせるけど、この釣りは船がほぼほぼ固定(といっても多少は移動しているけど)。そしてこの日は諏訪湖かっていうくらいのベタ凪なのよ。ベタすぎる。初めての熱帯魚がベタくらいベタ。そして埼玉県民のお土産が十万石饅頭くらいベタ。

ベタだ、ベタ過ぎる、十万石饅頭。

いやお土産はベタでもいいんだけど、スミイカ釣りはベタ凪だと困るんだよ。まずイカの活性が上がらない。そしてエギが10号の中オモリ経由ということもあり、糸がちゃんと張らない状況だと、アタリがまったくわからないっす。

これは一番先にオモリをぶら下げ、エダスにエギを結ぶ胴突き式の仕掛けにすればいいのだろうか。最近はそういう仕掛けもあると潮風の噂に聞きますが。同行者に相談しようにも、同行者はシャコのテンヤ釣りだしなー。私もテンヤ釣りにすればよかったかなー。テンヤ~~~(白鶴丸)。

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▲ゼロテンションのフグとは違い、オモリが浮いた状態でイカのアタリを待つ。

この釣りはエサがなくなる心配はないので、ちょっとでも違和感を感じたら遠慮なく合わせをいれるのだが、そのたびに味わうフワッとした手ごたえ。己の無力感がすごい。

悲しい程にハズレばかりのクジ引きである。

スカ、スカ、スカ、これぞ東京湾スカパラダイス。ってどこがパラダイスだ。

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▲なんとなく違和感を感じたら合わせる。掛かるとグーンと重くなるはずなのだが。

この厳しい状況はテンヤチームも同じなのだが、それでもYさんが竿を曲げた。そして本日通算3杯目となるスミイカである。ちくしょう、顔に墨を浴びてシャネルズみたいになればいいのにと心の中でこっそりと願ったのはナイショだ。

これ以降は私がイラっとするだけなので、いくらYさんが釣っても写真を撮らなくなったので、最終的に何杯釣ったかはよくわからない。

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▲みんなもイラっとしようぜ!

釣れない。全然釣れない。これだけ釣れないのはエギが付いてないんじゃないかと思って上げてみると、中オモリと絡まっていた。これじゃ釣れないよねー。なんていうのが結構あった。潮が流れていないから、しゃくったときに絡んじゃうみたい。

こんな状況でもYさんはポツポツと釣っている。やっぱり生きたシャコに対して死んだエギではアピール力が弱いだろうか。東京タワーにあった蝋人形館も2013年に閉館したみたいだし。

ならばフグ釣りで余ったアルゼンチンアカエビをエギにつけちゃうという作戦はどうだろう。ちょうど輪ゴムもあるし、これならばきっと釣れるはず!邪道でも外道でもライオン道でもいいじゃない!だって午前船はこのエサで釣れてたし!

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▲エギにエビを背負わせてみた。

B&Bならぬエギ&エビの特製仕掛けをこっそりと沈め(人に見られると恥ずかしい)、しばらく待つと明確っぽいアタリが! 即合わせるもののチップ(かすっただけ)! あー!

いやまだだ、もう一回抱き着いてくるはず!っと思って待つもそれっきり。仕掛けを上げてみると、中オモリとエギがグッチャグチャに絡んで、それをなおしていたらエビも外れてしまった。

うーん、シュリンプ……いやスランプだね。次回はヤリイカ用のプラ角にエビを結んでみようかな(懲りてない)。

スミイカの墨は結構飛ぶ

もうすっかり万策尽きた感があり、あとはどうやって太っ腹で大金持ちで同行者に優しいであろうYさんからスミイカをいただくかという下船後の対応だけが私の食卓の鍵となるのだが、せっかくなのでエギでも変えてみましょうか。

ほら、日によって派手なピンクがいいとか、暗いブルーがいいとか、あるっていうじゃないですか。イカは色がわからないなからみんな一緒っていう意見もありますけど、せっかくいろんなエギがあることだし。全部カンナが錆びてるけどさ。

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▲セレクトしたのはピンクの3号。「イカチュウ、お前に決めた!」「イカー!」

まあ釣れない日はエギを変えたくらいで効果はでないんですが、それでもがんばってスカしか出ないクジを引きつづけていると、ちょっとだけ波の動きとは違うような気がしなくもないようなアタリが竿先に出た訳ですよ。

これイカじゃない?イカじゃなくない?イカじゃなくなくないくない?と、小沢健二みたいに考えながら(この間0.2秒)セイイェース!と大きく合わせる。

ズシーン!

きたきたきた、このビニール袋を引っ掛けたような重いだけの手ごたえ。悪口じゃないですよ、これぞスミイカ。竿の角度を変えないようにグイグイと巻き、そのまま海面からぶっこぬく。

やったー!

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▲まずエギを掴んで、そして竿を置いてスミイカの後頭部?を掴む。

やったぜスミイカ、ゲットだぜ!

……だがしかし、この貴重なイカを持った状態で写真を撮ってもらおうとしたところで事件は起こった。

どの角度で持って写真に写ろうかなんて考えていたら、うっかり手を滑らせてしまい、足元にある水の入ったバケツにスミイカがボトン。これが魚だったらまったく問題ないんだけど、相手は釣られて大変に怒っているスミイカである。

まず落ちてフリーになった瞬間にビュシューと濃厚な墨を吐き、さらにバケツの水を吸い込んで第二段をブシュー。これぞリアルスプラトゥーン。いやそのゲームはやったことないけどさ。午前中のYさんを笑えない大惨事である。

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▲おら、やっちまっただよ。

スミイカの墨は皆さんのイメージ以上に飛んでいく。この二連発によって隣と隣の席まで「甲斐キャノン」ならぬ「烏賊キャノン」が豪快にブシュー。でもまだよかった、知り合いのいる方向で。いや、知り合いだからこそ遺恨を残すんだけどさ。

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▲わー、ごめんなさいね。

そんな様子を見ていた船長から、「水の入ったバケツにイカを入れないでくださーい!」とアナウンスが飛んできた。そう、スミイカは水の入っていないバケツに入れないとダメなんだよね。それは知っていたんだけど、手洗い用のバケツに落ちちゃったのよ。もう全部Yさんが悪いんです。いや悪くないけど。

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▲スミイカは水の入っていないバケツに入れよう!

Mさんにも待望のアタリが!

そんなこんなでようやく私もスミイカを確保。すでに何杯も釣っているYさんはいいとして、問題はイカ大好きなMさんである。

Mさんはこのマニアックな釣りを何度もやっていて、別に初心者という訳ではないそうだが、どうもイカが好き過ぎて逆に嫌われてしまったらしく、これまでまったくアタリがないらしい。道具やら仕掛けやらを貸しているYさんも、なんとか釣らせようとがんばっているようだが、これがなんとも。

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▲シャコにエビを巻くといいんじゃないかな。

Mさんがんばってーと思いつつ、私はこの状況で1杯釣れら御の字だろうと閉店モード。だったのだが、午前船のフグ、午後船のイカと小さなアタリをとる釣りを延々とやっていたためか、このあたりでようやく第三の目(魚釣りだけにウオノメだろうか)が開いたらしく、もう一杯をサクッと追加。

うん、やっぱり釣れると楽しいな。あのズシーンがいいのよね。

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▲スミを吐く気マンマンのイカ。もう水の入ったバケツには落とさないぜ!

そしてふと横を見れば、大好きなイカにそっぽを向かれて、どんよりとした暗黒オーラに包まれているMさん。私が飛ばした墨のせいじゃないですよ。なんだか背後から涙声のブルースが聞こえてきそうだ。これが本当の「スミイカーぶるーす」by 近藤真彦。

が、がんばれ。

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▲私の目にはこんな風に映りました。

「それだけ気配が消えていればイカにも警戒心をいだかせませんよ!」なんて適当なアドバイスをしていたら、ようやくMさんの竿にもヒット!さすがはイカを愛する人!

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▲そして上がってきたのは……

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▲これはイカじゃなくて……

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▲サバフグでした……

あー……。

これはあれだ、Yさんが全部悪いな。ほら午前船のフグ釣りでスミイカを釣っちゃうから、午後船のイカ釣りでフグが釣れちゃうんだよ、地球のバランス的に。しかもアカメフグじゃなくてサバフグっていうのが微妙。午後の外道王の名はMさんに捧げます。

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▲そして終了間際に3杯目を釣った私。海側からの自撮りが一番安全ですね。自分の写真にだけモザイクを掛けるってうのは私的標本のオマージュ。

ということで、午後の釣果はYさんがよくわかんないけど5杯くらい、私が3杯(エギにしてはがんばったと思う)、そしてMさんは結局ボウズで終了。午前船と合わせてクーラーがスミイカだらけとなったYさんが、手ぶらのMさんにあげようとしたものの、自分への戒めとしてなのか拒絶して手ぶらで帰ったのが男前だった。

と思ったら、Mさんも手ぶらじゃなかったんですよ。

翌日に「シャコが美味しかったです!」っていう連絡があったのでした。さすが。

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▲お疲れ様でした。

来シーズンのスミイカ釣りでは、私もシャコでやってみようかな。そして筆を持ち込んで、イカ墨による書初めか羽子板のバツゲーム的なことをしてみようと思います。

 


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