私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

「ヒレフシ」発売中事件

山形で大学生をやっていたときの話。

学校帰りに何人かで「とん八」というファミレス的なとんかつ屋さんにいった。

僕はロースかつ定食を注文。この店は定食だとご飯がおかわり自由なのがうれしい。そしてある友人はカレーうどんを頼んだ。ここはカレーライスは出してないけれど、なぜかカレーうどんはメニューにあって、それがなかなかおいしいのだ。

ご飯をおかわりしてモリモリと定食を食べていたら、先にカレーうどんを食べ終わっていた友人が、どんぶりに残された汁を見ながら、「うどん、なんでなくなってしまうん…」と、某セツコみたいにつぶやいた。なんでって、食べたからだろう。

そしてしばらくしてから、「あ、これにご飯を入れて食べたらおいしいかな?」と、いいことを見つけた赤毛の少女みたいにキラキラとした目で、ご飯のおかわり自由な僕を見つめてきた。

はいはいわかったと三杯目のご飯をおかわりし、友人のどんぶりに入れてあげた。今でいうスープカレーみたいなさらっとしたカレーライスを食べた友人は、「この店で一番このメニューがおいしいと思う!」とニコニコしながらいった。

それからそいつとそのとんかつ屋にいくときは、僕が定食を頼んで、そいつがカレーうどんを頼むという暗黙の了解ができた。

※一部記憶に捏造があるかもしれません。


で、その友人は中目黒で人気のカレー専門店をオープンさせたりはせず、30歳を過ぎて唐突に漫画家になって「good!アフタヌーン」という隔月の漫画雑誌で「ヒレフシ」という連載を始めた。ペンネームは「銅☆萬福」。うちにサインがいっぱいある。

先日、ようやく初めての単行本が出版されたそうだ。

■ヒレフシ 原作:本田 透  作画:銅☆萬福




印税が入ったら、とんかつをおごってほしいという話でした。
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