

で、旅館では天麩羅で食べたのですが、せっかくだからと数匹もらってきて、調理実験してみることにしました。
ちなみに濡れていて冷たい場所という条件であればけっこう持つようで、ビニール袋にコンビニで買った氷パックと入れておいたら、全部生きてました。
これを子供が飼うと大騒ぎ。ここで料理したら嫌われるなということで、冷蔵庫にしまっておいて、明日逃がしてくるよとウソをついてのクッキングでございます。ちなみに翌日も元気に生きていて、冷蔵庫を開けた人が飛び出してきたサンショウウオに驚いたとか。


さて調理法ですが、地元では海水くらいの塩水に浸けて昇天させてから、タワシなどでヌメリをとって冷凍するそうです。ただ冷凍しただけだと、解凍したときに生き返っちゃう場合があるとか。スターウォーズだ。
私は目をあわせないようにしてバババっと塩を掛けてフタをして、薄目でみながら涙目で洗いました。
余談ですが、ウツボもこのように塩を大量に掛けるとすぐ弱ってくれます。
地元では内臓をとらずにそのまま調理するそうですが、せっかくなので捌いてみるなど。
腸の中にカワムシっぽいなにかがちょこっと入っていたくらいで、砂とかはなかったです。
サンショウウオを食べる上で多少の虫など気にしてもしょうがないので、丸ごと食べるのが正解ですかね。


メスは卵がでかくてびっくりポン。
両生類ってたくさん卵を産むイメージだったんですが、サンショウウオは少数精鋭みたい。
安産とか子宝とか精力の薬として使われたというのは、こういうところからなのかなー。
せっかくなので茹でて食べてみたら、ほどほどに固く、分解性BB弾を食べているみたいでした。
ハタハタの卵、ブリコが近いかな。


調理はまず小麦粉をはたいて唐揚げで。
天麩羅よりも姿が丸見えなので、そこは好みの分かれるとこでしょうが、どうせサンショウウオを食べるならこっちがいいような気もします。


カジカやハゼのような歯ごたえで、なかなかうまいんですけど、続けて3匹食べてみたら、なぜか体が拒否反応を起こしました。毒とまではいかないけれど、なにか刺激性はあるのかなー。たくさん食べるもんじゃないですね。まあ気持ちの問題かもしれませんが、漢方薬になるくらいだから、食べすぎは毒かもしれません。
塩焼きはどうだろうとグリルで焼いてみたら、真っ黒の黒焼きになってしまいました。
ちょっとかじったら食べられる炭という感じだったのですが、これを熱燗にいれたところ、風味豊かなサンショウウオ酒となりました。あえてサンショウウオの味を楽しむなら、この食べ方が一番いいような気がします。


ちなみに漁師さんは自分では食べず、何かの取材の時に2回くらい食べた程度だとか。
もともと地元で食べていた食材ではなく、漢方として売れるから採っていて、その需要がなくなったので今は観光用に出しているんですよね。食文化でもなく、ゲテモノでもない、微妙な食材。
檜枝岐村に旅行にいったら一匹位は食べたいだろうなー。
もし私が檜枝岐に住んでいたら、ぜったい採るだろうなー。
変なブームになって乱獲につながらなければいいかなー。
なんていうのは食べた人のいえる発言じゃないですが、食べたからこそ言えることもあったりなかったり。
源流に潜むハコネサンショウウオ、なかなかであえないリアルなゆるキャラとして、永遠に檜枝岐村で生き続けてほしいと思います。こういう生き物がこの村には存在するということの証明として、資源が減らない程度にちょっと食べる感じがいいんだろうなーと、よそものはおもいました。