※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2011年4月11日に掲載した記事の転載です。
春になると大量に収穫できるおいしい野草、その名はノビル。今回はその保存方法とオリジナルレシピを考えてみた。
今年もノビルが豊作だ
昨年の春、ノビルというおいしい野草をたくさん採ってきて食べるという記事を書かせていただいた。
ノビルについての詳しい説明はそちらを読んでいただくとして、今回は期間限定で採り放題のノビルを、もっと長期的に、そして気楽に食べるためのレシピを考えてみたいと思う。
ということで、まずは今年もシャベル片手に近所の河原へノビルを採りに行ってきた。
お気に入りの河原は生えている草の七割がノビル。お菓子の家ならぬノビルの床だ。
まだちょっと早かったのか、玉の部分が小さいものが多かったけれど、これくらいが柔らかくておいしい。
今年もノビルは豊作のようで、パチンコ玉くらいの中型サイズを中心に、ものの30分でバケツ一杯分を収穫。採ろうと思えばいくらでも採れるのだが、これ以上採るとまた下処理で泣くことになるなと思った頃に、ちょうどシャベルが折れて強制終了。うん、ちょうどいい。
ノビルはこんなに簡単に採れて、元気のでそうな味なのに、今年もほかに採っている人はいなかった。でもスーパーとかでたまにいい値段で売っていたりするんだよね。
今年もシャベルをひんまげて収穫終了。この時期、毎年一つシャベルを壊す。
最後の最後に特大サイズを見つけてご満悦。しかし今年の花粉症は強烈ですねー。
ノビルってラッキョウに似ていないか
ノビルは採るのにかかった数倍の手間をかけて下処理をする義務が生じる。この手間があるからノビルを一部のマニアしか採らないのかな。まあこれも年に一度の修行だと思えば悪くないけどね。
手間はかかるけれど、かける価値のある味だと思うよ。
さてすべての下処理を終えたところで、指先の匂いを嗅ぎながらどうやったらこのノビルを長期間楽しむことができるのかを考えたのだが、この玉の部分、ラッキョウに似ていないだろうか。
試しに葉っぱ部分と切り離してみれば、サイズこそ違えど、カレー屋においてあるラッキョウっぽい。たぶん植物学上も似たところに位置しているはず。
ラッキョウよりもニンニクっぽいかな。
ラッキョウといえば甘酢漬け。それなら日持ちもするし、以前からラッキョウの甘酢漬けは味の濃さの割に大粒すぎる気がしていたので(切ればいいっていう話だが)、ノビルで作ればきっと完璧。
よし、ついでだからピクルスも作ってみよう。甘酢漬けとピクルスの違いが正直よくわかっていないのだが(カレーライスとライスカレーみたいな違い?)、きっとどちらもおいしいはずである。
ノビルの甘酢漬けとピクルスのレシピ
まずラッキョウ、じゃなくてノビルの甘酢漬けの作り方だが、漬けるノビルの一割の重さの塩を加え、ひたひたの水を注いで一晩塩漬けにしてみた。
そして酢3に対して砂糖1くらいの割合で作った漬け汁に、塩漬けしたラッキョウを入れて本漬け。なぜまず塩漬けするのかはよくわかっていない。水抜き的な意味合いだろうかね。
一応ラッキョウの甘酢漬けの作り方をいくつか調べたのだが、レシピがけっこうバラバラだったので、最終的にはフィーリングで作っている。よってこれが正しいレシピだと思ってはいけない。ラッキョウじゃなくてノビルだし。
ピクルスは酢5、白ワイン1、砂糖1の割合で作った漬け汁を一度煮立てて、熱湯消毒気分で熱いままラッキョウの入った瓶に注ぎ、おまじないとしてローリエと唐辛子を追加。こちらは下漬けいらずで簡単だ。
左が塩漬け中のノビル。右がノビルのピクルス。
そして一週間後。左が塩漬けしたものを甘酢に漬けたノビル。液が茶色いのは、使った砂糖が茶色かったから。
空き瓶を探していたら、冷蔵庫からカブとヤーコンのピクルスが発掘された。いつ作ったのか覚えていないけれどうまい。
イメージ通りでおいしい
できあがったノビルの甘酢漬けとピクルスだが、どちらもイメージ通りの味でおいしかった。やはりラッキョウに近い味と歯ごたえなのだが、より詰まった感じがする。
そしてそこに加わるニンニクっぽい香りが素晴らしい。野趣が溢れかえっている感じ。市販のラッキョウの甘酢漬けに比べれば、食べた後に喉が熱くなってむせっかえる割合がかなり高い。こういうクセの強い味を好む人は多いのではないだろうか。
ちなみに私は自分がつくった料理に対して、常に甘い点数をつけがちである。
甘酢漬けはカレーに合わせるというより、単体でツマミとして楽しみたい。
似たようなレシピなのだが、やはりピクルスは外国チックな味なんだよね。
葉っぱ側も保存したい
ノビルの玉部分をとった残りの葉っぱ部分だが、もちろん捨てたりはしない。玉がラッキョウなら、葉っぱはワケギだと思い込んでみることにした。
とりあえず全部を刻んでみると、ワケギといえばワケギだし、ニラといえばニラのようなヴィジュアルになった。
細かく刻んでしまえば、使い道は無限にありそうだ。
このままだと日持ちしなそうだが、冷凍してしまえば問題なし。水分が少ないので、解凍してもべチャっとしないため使い勝手がいい。薬味としてはもちろん、去年みたいに餃子に入れれば大量消費も可能。
洗っただけの長い状態だと「こんなにいっぱいどうしよう」と思ってしまったノビルの葉っぱだが、それが刻んだだけで「シーズンが終わる前にもう一回採ってこようかな」と思わせてくれるなんて、メガネをかけただけで印象がガラリと変わる人みたいだ。私もメガネをかけようかな。
ワケギに歯ごたえとニンニク臭をプラスしたような薬味となる。モツ煮やトンコツラーメンとの相性最高。わかっているとは思うが、決してワキゲではない。
醤油漬けも使いやすい
さらにもうひとつの保存方法として、刻んだノビルの葉っぱと唐辛子を醤油に漬けてみたのだが、これがなかなか使い道が多くて便利だった。
ニンニクを醤油に漬けておいたものほど匂いは強くないのだけれど、それでも十分すぎる風味がある。そして当然香りが移った醤油だけでなく、ノビルの葉っぱも楽しめるのがいい。
チャーハンの具、餃子や鍋のタレ、冷や奴の薬味などにもいいし、炒めものに使ってもバッチリ。これからの季節だったら、カツオの刺身につけてもおいしそうだ。
ただ日持ちがちょっと心配なので、長く楽しむなら一度煮立ててから保存したほうが安全かな。その場合は昆布や日本酒を入れてもよさそうだ。
ノビル醤油。これがいろいろ使えて便利。
ペペロンチーニにトッピング。ニンニクとノビルでダブルの臭さ。
バターを塗ったパンに乗せてトーストすれば、ガーリックトースト風に。
ノビルの食べ方はまだいろいろありそうなので、今シーズン、花見ついでにもう一回くらいノビル採りにいってしまいそうだ。