『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2013年4月16日に掲載した記事の転載です。
春になるとネギの頭に生えてくるネギボウズ、あまり知られていないが、これが食べるととてもおいしいのである。
ネギボウズは食べるとおいしい
家庭菜園をちょっと本気でやっていると、スーパーや八百屋などでは売っていないような、普段なかなか食べられない食材を手に入れることができる。
それは野菜の種類としての珍しさであったり、鮮度や安全性の違いという場合もあるが、ちょっと変わったところで、ある時期にしか食べられない、一般に流通しない部位の珍しさということもある。以前紹介した、サツマイモの葉っぱなども、これの一つだろう。
今回紹介するのは、ネギボウズである。ネギボウズとは、この時期になると長ネギの先にできる、タージ・マハル宮殿みたいな形をした花のこと。
ネギの先にできた丸い物体がネギボウズ。
ネギボウズを包む膜が破れる前の、このくらいの時期が収穫の目安だろうか。
普通は食べることのない部位なのだが、これを開花する前のつぼみの状態で収穫すると、この時期しか手に入らない、ちょっと変わった食材となるのである。
大小様々なネギボウズを収穫。
ネギボウズの味とは
肝心のネギボウズの味だが、普通のネギをギュッと濃縮したようなパンチ力と、春を感じさせる強い風味を秘めていて、ちょっとクセが強いと感じるかもしれないが、好きな人にはたまらない食材なのである。
歯ごたえはアスパラガスの穂先に似ているかな。栄養価がどれほどのものなのかはわからないが、なんとなくスタミナがつきそうな味がする。
ネギボウズの天麩羅
食べ方でまずおすすめなのが、天麩羅である。作り方は普通の天麩羅と同じで、衣をつけて揚げるだけ。これに塩を軽く振っていただくと、口の中いっぱいにネギボウズ独特の濃い味と香りが広がってくる。
ちょっとほろ苦さもあり、タラの芽やコゴミなどの山菜の天麩羅が好きなら絶対にハマる、野趣あふれる味なのだ。
なかなか強烈な風味ですが、私は大好きです。
ネギボウズとハツの炒め物
クセの強い食材と合わせて、炒め物にしてもおいしい。今回は豚のハツ(心臓)と炒めてみたのだが、これがまた抜群にうまかった。
ハツの持つ独特のワイルドさと、ネギボウズの強烈な個性との相性がぴったりで、クセの強さがクセになる味なのである。歯ごたえ、香り、味、すべて申し分なし。
ハツとネギボウズの幸福な出会い。
ネギボウズのスパゲティ
ネギボウズをニンニクの代わりとして、スパゲティにたっぷり入れてみても、他ではちょっと食べられない個性的なメニューとなる。使い方次第で、和洋中のなんにでも合うのがネギボウズなのだ。
隠し味に入れたアンチョビペーストとの相性もばっちり。今の時期だけしか食べられない、とても贅沢なスパゲティだ。
ネギボウズの香りと歯ごたえがパスタと合うのです。
ネギよりもネギの風味が強いネギボウズ。自分で育てていないとなかなか手に入れる機会はないかもしれないが、もし身近にネギを育てている人がいたら、一度もらって食べてみることを強くおすすめする。
こういった未知の食材との出会いがあるから、家庭菜園は楽しいのである。