私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

郷土料理ともんの鮎コースを食べる

 

 

 

ともんで鮎コースが食べたいです

鮎が食べたいなー、でも釣るのは難しいなー、富山いこうかなー、でも今はなー。

ということで、埼玉県入間市の「ともん」にいってきた。

ともんは「捕まえて食べたい」私が採ってくる食材の守備範囲より、少し先からだいぶ先までのエリアを食べさせてくれる貴重なお店。春は山菜、夏は鮎、秋はキノコ、冬はジビエや郷土の保存食など。

食材としては私が採ってくるものと被っている部分もあるけれど、調理方法やクオリティが違う。近所でもフキノトウは採れるけれど、ともんで出てくる雪国のフキノトウはちょっと違うよ、みたいな。

山菜のシーズンにいったことはあるのですが(下記リンク参照)、夏の鮎コースは初めて。さてなにがでてくるのかな。

r.gnavi.co.jp

 

前菜はキノコや野草など

突き出し。

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新潟の枝豆。

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ドジョウの唐揚げ。

新潟の無農薬栽培をしている米農家が田んぼの用水路で採ってくるドジョウを丸ごと揚げたもの。なんだその「美味しんぼ」に出てくるような食材は。

合鴨農法にしたらアイガモがドジョウを食べちゃうのが悩みだとか。

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塩気を効かせた唐揚げはサクサクで、骨が全く気にならない。

内臓のほろ苦さが嬉しい。ミミズハゼに似ていますね。

ドジョウ、うまいな。今度とってこようかな。

でも水がいいところじゃないとおいしくないんだろうな。

 

この後、初対面の人と某公園(膀胱炎ではない)の見学だし、昼間なのでお茶にしておいたのですが、このドジョウがビールを呼んでいる。

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天婦羅の盛り合わせ

続いては天婦羅の盛り合わせ。

天然のテナガエビ、稚鮎、ヤマワサビの葉、クズの新芽、スイバの葉、ヤマブドウの葉、ウワバミソウ(ミズ)のコブ(肉芽)、ヨモギ、ウドの花、ニンギョウタケ(キノコ)。

自家栽培の万願寺唐辛子、ミョウガ、オクラ、ニガウリ。

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葉っぱ系は天婦羅にすると全部同じ味というイメージだけど、やっぱり全然違う。個性があっておもしろい。

スイバはサクサク感があって楽しいし、ヤマブドウはアカメガシワみたいに食べ応えがあり、和紙っぽいけどまったく硬くない。揚げるとこうなるのか!という発見があった。

皮を剥かないクズの新芽はやっぱりハードコア系かもね。

 

焼いた鮎

そして三匹の鮎、蕗味噌、キャラブキ、谷中生姜。

皿が出てきた途端に立ち上る独特の香り。これだ、鮎の個性って。

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塩焼きは新潟県清津川。香りが強い。

しっとりした白身で、ぎゅっと詰まった筋肉質。

蓼(たで)味噌焼きは神通川。

内臓の苦みが中和されて食べやすくなる。

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頭からガブリ。

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苔が詰まった内臓はしっかり苦い。内臓というか未消化の苔の塊。

ともん曰く、「鮎をどこまで食べるかはお好みなので、頭、骨、内臓は、苦手なら食べなくてもいいのでは」とのこと。

鮎は身と皮だけ食べてもおいしい。というか身だけ食べたほうが、その白身の味がはっきりわかるかも。先に身を食べてから、内臓をつまみに酒を飲んだりしてもいいかと。

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酸味を押さえた南蛮漬けは、西伊豆の戸田で採れたもの。

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生の鮎

涼し気な大皿が登場。写真は二人前。

清津川の鮎を使った背越しと刺身、そしてイワナのナメロウ。

※淡水魚を生で食べることのリスクについては各自でご判断ください。

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背越しは骨ごと輪切りにしたもの。

小ぶりな鮎だけど骨が気になるかも。

ただ骨ごと食べるからこその味でもある。

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刺身は独特の甘さがあって驚いた。

内臓の苦さが印象に残る魚だけど、身の甘さこそが持ち味なのかもね。

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イワナを味噌と叩いたナメロウもうまい。

来年はちゃんと渓流釣りしたいなー。

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これは冷酒が必要なのでは。

高千代酒造の「巻機(まきはた)」を冷やで。

すごくうまい。

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鮎めし、骨煎餅、デザート

締め土鍋で炊いたは鮎めしがドーン。

米には4匹分がほぐして入れてある贅沢仕様。

内臓は抜いてあるので苦味はなく、鮎の甘味と香りが純粋に楽しめる。

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刺身でつかったアユの骨の唐揚げがすごくうまかった。

三枚に下ろすことのない魚なので、あまり食べる機会がないけれど、骨煎餅史上最高かも。生の頭を食べなくてよかった。

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デザートは自家製の梅漬けを使ったシャーベット。

一見するとバニラアイスなんだけれど、しっかりと酸っぱい。だがそれがいい。

おかげで酔いもさめました。

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ともんで使う食材の多くは店主の秀雄さんや二代目の剛(ごう)さんが採ってきたもの、あるいはおかみさんが育てたものだし、それ以外も生産者をしっかり把握している食材がほとんど。

この鮎はどこの川でどう捕ったものか、この野草はどのエリアでどんな状態だからおいしいのか、そういう話をしっかりと聞くことができる(忙しくなければ)のが最大の魅力かも。

説明を受けて理解してから食べることで「食のワークショップ」となっている。理由と味覚が結びつくのだ。食材採集から一緒にするのは難しいけれど、調理前の食材とかを見せてもらいつつ、調理のコツも学べるワークショップ食事会とかをやってほしいなー。

ごちそうさまでした。

 


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