私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログです。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

簡単で安くて美味しい!葛餅を作ろう

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2012年7月13日に掲載した記事の転載です。

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夏の蒸し暑い日に嬉しい葛餅は、葛粉や片栗粉さえがあれば、誰でも簡単に作ることができる。3種類のデンプンを使って、作り比べてみた。

葛餅の材料がややこしい

あなたがこの記事を読んでくださっている日が暑いかどうかはわからないが、私がこの記事を書いている日はとっても蒸し暑い。こんな日に嬉しいのが、ひんやりとした葛餅である。キナコと黒蜜をたっぷり掛けて食べるとうまい。

葛餅というと、買って食べるものというイメージがあると思うが、形にさえこだわらなければ、こんなにも簡単に作れる和菓子は他にない。材料なんて葛粉と水だけだ。

でもただひとつ、ややこしい問題がある。葛粉というくらいだから、葛という植物から取りだしたデンプンである葛粉を使って作るべきなのだが、本物の葛粉は高いので、サツマイモから取ったデンプンが葛粉として売られていたりする。そうかと思ったら、この前買った「葛餅の素」は、よくみたらジャガイモのデンプンだと書いてあった。

ようするに、デンプンだったらだいたい葛餅っぽいものができるようだ。それなら葛餅ではなく、サツマイモ餅とかジャガイモ餅、あるいはざっくりとデンプン餅に改名するべきのような気もする。「イワシのつみれ」の材料が、サバやサンマだったら、ややこしいじゃないか。

そうはいっても、ガリガリ君の梨味にはリンゴ果汁が入っているというし、安い材料で美味しい葛餅ができたら、それはそれでお得なので、3種類のデンプンを用意して葛餅を作り、その味の違いを確かめてみたいと思う。

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じゃじゃーん。

一番左は、北海道のジャガイモから作られた「片栗粉」。片栗粉というのも、もともとはカタクリという植物から作られるそうだが、これはジャガイモからできている。ジャガイモから作られた片栗粉で葛餅を作ってみるという二重詐称。なんだかデンプンだけにチンプンカンプン。

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みなさんご存知の片栗粉。

真ん中は「葛粉」という名で堂々と売られていたが、その材料はサツマイモ100%で、甘藷デンプンというそうだ。これで作られている葛餅がけっこう多いのかも。葛餅だと思って食べていたのは、実はサツマイモ餅だったなんてことがあるのかな。それはそれでうまそうだけど。

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葛粉という名のサツマイモデンプン。

右が「本葛」で、ようやく登場した本物の葛粉。これぞ葛粉の中の葛粉と言えよう。クズの中のクズだと、なんだか悪口言っているみたいになるが。他の葛粉風の粉と分ける意味で、わざわざ本葛粉という呼び方をするらしい。

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これが本物の葛粉。石膏みたいだ。

片栗粉はサラサラしているが、葛粉(甘藷デンプン)と本葛粉は、ラムネのようにゴツゴツしている。

100グラム当たりの値段は、片栗粉50円、葛粉(甘藷デンプン)150円、本葛粉500円というところ。本物の葛粉、なかなかの末端価格である。マグロでいったら、メバチマグロ、ミナミマグロ、クロマグロといったところだろうか。


簡単な葛餅の作り方

コンニャクのようにビシッと固まった葛餅を作ろうとするとなかなか難しいが(なので作ったことがない)、形にさえこだわらなければ、葛餅はとても簡単に作ることができる。葛餅というよりも、わらび餅っぽいヴィジュアルになるけれど。

まずは片栗粉を使って説明します。

最初に粉と水を1:5の割合でよく混ぜる。粉が40グラムだったら、水は200グラム。砂糖を入れて作る場合も多いけれど、どうせ甘い黒蜜を掛けて食べるので、私は入れていない。

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水に溶けずに沈殿するので、混ぜたらすぐ次の工程へ。

粉と水を混ぜたものを鍋に入れ、ヘラなどで混ぜながら、中火で温める。すると透明な糊状になっていくので、全体に透明感が出るまで、がんばって混ぜ続ける。

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急に固まりだすけれど、そんなに焦げたりはしないので、焦らなくても平気。焦ると焦げるって同じ漢字なんですね。

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「ねるねるねるね」を思い出す驚異的な粘り。ぜんぜんまとまらない。

これを濡らしたバットや皿に乗せて、どうにかしてなるべく平らに伸ばし、そのまま冷水に入れて冷やす。のし餅やうどんの生地なら片栗粉をはたけばくっつかなくなるが、これは材料が片栗粉だ。

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ビローン。ヘラを濡らすとくっつかないよ。

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水に入れても溶けたりはしないので、そのままドボン。

荒熱が取れたら、一口サイズに包丁で切って、もう一度水で冷やし(ゲル状なのでなかなか冷えない)、水気を切ったらもう完成だ。ほら、簡単。

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まだそこそこ熱いです。クラゲでも切っているような感覚。

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切った葛餅(片栗粉餅)を、もう一度水で冷やす。

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食品サンプルの氷みたいなヴィジュアル。お刺身を乗せたら涼しげかな。

出来上がった葛餅(といっていいのだろうか)は味が全然ないので、黒蜜や砂糖を混ぜたキナコなどでいただく。私は黒蜜とキナコが好き。

食べてみると、ネチョっとした片栗粉らしい歯触りがあり、いわゆる葛餅っぽくはないけれど(本物のわらび餅は食べたことがないので比較ができない)、出来立てだけあってフルフルしているのがうれしい。スーパーで売っている安い葛餅やわらび餅と比べれば、こっちの方がおいしいはず。

葛餅自体に風味というものが全然ないので、温度と食感だけを楽しむ感じ。

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これで十分な気がします。


葛粉(甘藷デンプン)で作る葛餅

続いては、サツマイモで作られた葛粉で葛餅を作ってみる。作り方は片栗粉とまるっきり一緒なのだが、実際に作ってみると、粘り気が弱いのでまとまりやすく、だいぶ葛餅が作りやすい。

なるほど、葛粉を名乗るだけはある。

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まとまりというか、団結力を感じる。

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ヘラにあまりくっついてこない。作り比べてみると、こんなに違うものなのか。

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少し白く濁った感じになった。

食べてみると、やはり歯についてくるような粘りが弱く、ちゃんと噛みきれる感じがする。これこれ、この感じ。

水の量を減らして、ちゃんと型に入れて四角く作れば、もっと葛餅らしくなるんだろうけれど、これでも十分葛餅っぽい。

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さすがは葛餅を名乗るだけあるね。

 

本葛粉で作る本物の葛餅

最後に作るのは、本物の葛が原料の葛粉で作る、本物の葛餅。片栗粉の10倍、サツマイモの葛粉の3倍の価格差を埋めるだけの味なのだろうか。

火に掛けてみると、サツマイモの葛粉で作った時に近い感触なのだが、さらにまとまりがいい。なんというか、ヘラでかき混ぜていて、とても気持ちがいいのである。

まるで話の合う人と会話をしている感じといえば伝わるだろうか。ツーといえばカーみたいな。そう考えると、片栗粉は話があっちにいったりこっちにいったりと、だいぶ噛み合わなかったな。それはそれで会話をまとめるのが面白いんだけれど。

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いい、すごくいい。

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見事なまとまりっぷりと艶。この深みのある色がうまそう。

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そういえば葛餅ってこんな感じだったと思いだした。

バットに乗せて水で冷やした葛餅の塊は、コンニャクのように手でちぎることができるくらいしっかりとしている。餅からコンニャクに近づいてきた。

作っている段階で、これはうまそうだと思っていたが、食べてみると確かにうまい。サツマイモの葛餅よりもさらに食感がサックリしていて上品なのだ。葛餅自体に風味を感じるので、黒蜜やキナコは少なめが合う。

やはり高い材料を使うと、高級感のある味になるね。高い材料だから高級感のある味だと思うだけかもしれないけど。

まあ、別の日にサツマイモの葛餅をなにも言わないで出されたら、本物の葛餅だと間違えるかもしれないのだが。

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これはおいしいです。

葛餅作りは、手間が掛からないわりに、完成したものがちゃんとしていて素晴らしい。今度来客があったら、「葛餅でも食べないか?」といって、粉から作って驚かせてみようかな。

粘りのある片栗粉の葛餅も、あれはあれで別の食べ物としておいしいし、さつまいもの葛餅は値段と味のバランスがいいし、本物の葛粉を使った葛餅は、やはり本物の味がして満足度が高い。みんな違って、みんないい。

ただ、やはり手作りは出来立てだからおいしいようで、今回一気に3種類作ったので、食べきれなかった分を冷蔵庫に入れておいたら、白濁して固くなってしまい、全然おいしくなくなった。

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これがおいしくないんだ。

片栗粉も葛粉も本葛粉もまだまだあるので、葛湯や葛切りのように形を変えてみたり、水の代わりに牛乳やコーヒーを使った葛餅を作って、しばらく楽しんでみようと思う。

そして冬になったら、どこかに葛の根を掘りに行き、この手で葛粉を作ってみようと思う。いや、どうだろう。

 

 

 

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