※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2014年1月8日に掲載した記事の転載です。
手回し式の古い製麺機を友人宅に持ち運んで、自家製麺の楽しさを知ってもらうための、セルフサービス方式ラーメン会を行った。
我が家には製麺機がなぜか二台ある
この記事で伝えたいことは、なにはともあれ製麺機の素晴らしさである。何度も聞き間違えられるが、洗面器ではない。製麺機だ。
製麺機というと、どうしても業務用の大きなものを想像すると思うが、私が所有しているのは、手回し式の家庭用製麺機だ。その名を小野式製麺機両刃型という。詳しくは知らないが、昭和の時代に活躍していたものと思われる。
要するにうどんやそばを作るための和風パスタマシーンだと思ってもらえばだいたいあっているが、その頑丈さは生産されてから何十年経ってもそのままだ。
麺を切る刃が2種類あって、細麺と太麺を両方作れるのがチャームポイントのかわいいやつなのである。
小型のミシンくらいの大きさです。
これを購入した顛末については、「俺の製麺機は力強いんだぜ!」という、どうかしているタイトルの記事に詳しく書かれているのだが、我が家にはこれと同じ製麺機がもう一台あったりする。
もうオリジナルは生産されていないものなので、ネットオークションに状態のいいものが手ごろな値段で出ていると、ついつい保護したくなってしまうのである。
そんな愛すべき製麺機を使って、ラーメンやうどんを年に数回作っている訳だが、2013年の忘年会として、友人宅の台所を借りて忘年ラーメン会をおこなうことにした。製麺機ごとの出前である。
なぜわざわざ友人宅への出前なのかというと、人を呼べる状態に自宅を掃除するのが大変だったからだ。
車に道具一式を積み込んで、ラーメンの出前に出発。
用意した道具と食材
今回の忘年ラーメン会にあたっては、友人から業務用の寸胴鍋を借り受け、三日前からスープの仕込みなどをはじめた本気モードで挑んでみた。参加人数は15人くらいだが、用意した麺生地とスープの量は約25人前。おかわり上等!
自分のためだけに製麺機を回す気にはなかなかならないが、人に製麺機の楽しさを伝えるためなら(自慢するためともいう)、重い腰もスッと上がるというものだ。
ラーメンを茹でる鍋と、スープの入った鍋を持参してきた。
歯車がかっこいいと評判の、小野式製麺機両刃型。
鶏ガラなどをじっくりと煮込んだ、二度と再現のできないスープ(何を入れたかよく覚えていないから)。
このスープの味を、まずは覚えてください。
生地は国産中力粉で作ったラーメン用(右)と、戯れにデュラムセモリナ粉で作ったパスタ用を持ってきた。
チャーシュー(煮豚)のタレが、ラーメンの醤油ダレになる合理的なシステム。
トロトロすぎて殻を剥くときに壊れ気味の味付けタマゴ。
このほかにネギとノリを具として用意してみた。
ベースとなるスープには、調味料を一切入れていないので、そこに各自が自分で食べる分を自己責任で味を付けするのが、セルフラーメンの醍醐味だ。
こちらで用意した調味料は、醤油ダレ(チャーシューの煮汁)、塩、胡椒、鰹節の粉、自家製ラー油、ナンプラーといったところ。これ以外に使いたいものがあれば、家主から許可をとって台所を家宅捜索してください。
スープに味はついていないので、DIYの精神で自分好みの味を見つける。
オリジナルラーメン作りのスタート
この日に集まったメンバーは、以前に一度、我が家でラーメン作りを体験している人が多かったのだが、みんなすっかり作り方を忘れていると思うので、とりあえず見本として自分の分を作ってみる。
生地やスープはすべて用意してあるので、ラーメン作りといっても難しいことはそんなにない。
食べたい量の生地(一握りくらい)を製麺機のローラーに何度か通して伸ばし、刃の部分で切れば麺はできる。硬めの生地を使い、すぐに麺を茹でるのであれば、打ち粉を使わなくても大丈夫。
同じ生地を使っても、ローラーを通す回数や太さ(厚み)によって、麺の個性が変わってくるのがおもしろいのである。
麺づくりのコツは、生地の量を少なめにすること。なぜなら、必ずあとでまた麺の太さやスープの味付けを変えて作りたくなるから、一杯目でお腹いっぱいになってはいけないのだ。
まずはローラーで生地を捏ね、伸ばす。ローラーを通した数だけ滑らかになるが、あまり通しすぎるとコシが弱くなる。
生地を切るところで、毎回どよめきが起きるのである。
ほら、かっこいい。シュレッダーみたいとかいわない。
自分で製麺した麺を茹でている間に、丼にスープを適量入れて、各種調味料でお好みの味付けをしておく。
好きな硬さに茹であがった麺を丼に入れて、具を適当にちりばめたら、自家製麺セルフサービス方式ラーメンの出来上がりだ。ほら、超簡単。準備がまあまあ大変なんだけどね。
さあ写真を撮って!でも伸びちゃうから早くして!
醤油ダレを少なめにして、塩を足してみた。久しぶりに食べるけど、やっぱり製麺機を買ってよかった。二台はいらないけど。
どうぞお好きに回してください
一度手本を見せたら、あとは製麺機をバトンにしたリレー方式で、順番に好きなラーメンを作ってもらう。
使用する材料は同じでも、予想以上にバラバラの仕上がりになっていくものなので、これをみんなで味見していくのが楽しいのだ。
私は醤油ダレしか用意しなかったが、家主の冷蔵庫にあった味噌とモヤシで味噌ラーメンを作るという発想がおもしろく、私も二杯目は真似させていただいた。
大人のおままごとという感じですかね。
あえて挑戦したという、うどんのような極太麺。
自家製ラー油をたっぷりと加えたピリカラもおいしかった。
個人的にヒットだった、味噌バターラーメン。コーンも用意すればよかった。
デュラムセモリナ粉で作った生地は、即席でペペロンチーノになった。
今度はソースを各自で持参してもらって、自家製パスタ会にしようかな。
「こ、この味は…」
「しょっぱい!(塩を入れすぎた)」
参加者の方から、「おもしろいところだけやらしてもらった」という声があったが、実は準備段階の生地作りやスープ作りも、製麺機を回すのと同じくらい面白く、奥が深かったりする。
本当は仕込みの段階から参加してもらいたいのだが、そうすると一泊二日とかになってしまうんだよね。
製麺機を持ち込むセルフサービス方式ラーメン会の出前は、まあこんな感じ。
やっぱり楽しかったので、今後も四半期に一回くらいは、製麺機をクルクルと回していきたいと思う。
正月休みに時間がちょっとあったので、うっかり製麺のブログを立ち上げてしまったので、ご興味ある方はチェックしてみてください。
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