※同定のできない野生の動植物をむやみに食べてはいけません。
コゴミっておいしいですよね
4月の頭に、近場にあって私が知っている唯一のコゴミを採りに行った。
ものすごく草ぼうぼう。
ここは草がない時期に別のターゲットを探していて、たまたま巨大松ぼっくりみたいなコゴミの株を見つけた場所である。このタイミングに行けばコゴミが採れると思ったんだけどな。
その草をかき分けると、あった!
数日早いかなというタイミングだったけど、確かにコゴミが生えてくることがわかった。身近なところでこういう秘密の採取スポットを見つけられるとうれしいよね。
味見用に各株から1本ずつ、合計数本だけいただく。ありがたや。
そして数日後、そろそろコゴミが食べごろに育ったかなと確認しにいくと、そのポイントは丸坊主になっていた。草刈りである。
スキャンダルがバレたAKBを思い出す。悲しい。
謎のシダ植物を発見!
ポタポタと心で涙を流しながら、他に食べられるものはないかと歩いていたら、謎のシダ植物の芽を発見。
明らかにワラビでもゼンマイでもコゴミでもないけれど、美味しそうな気がしないでもない。
シダ植物には詳しくないので、名前がわからないな。
でも先日、ツイッターを眺めていたら、カメ五郎さんがワラビやゼンマイではない何かをとって食べていたし、ちょっと試してみようかな。
コゴミに振られた俺には、謎のシダ植物がお似合いさというヤケもある。
今宵も近所で山菜採り。
— カメ五郎 ~小さな自然コラム~ (@kamegorou2525) April 14, 2020
有名な山菜たちは他の人達に先を越されてほとんどないので、誰にも相手にされてないオニヒカゲワラビやサトメシダなどのシダ採取。
灰汁が少なく下湯でするだけで美味しく食べれるのに、他の人達はあく抜きが大変なワラビやゼンマイの方ばかり採取していく。 pic.twitter.com/kFhVoCVtU7
それにしても名前がわからないのはちょっと怖い。
そこで「シダ植物はわからない。なんですかこれ。」という雑なツイートをしたら、なんとカメ五郎さん本人から返信が来た。そんなことあるのか。ちなみにこちらは一方的に知っているけれど、会ったことはないよ。
ミメワラビの仲間かサトメシダかと思います。新芽での判別資料が少ないから推定ですが。
— カメ五郎 ~小さな自然コラム~ (@kamegorou2525) April 22, 2020
※ミメワラビはヒメワラビの打ち間違えと思われる
おおおおっ、さすがツイッター。
シダ植物の同定チャレンジ!
よし、せっかくヒントをもらったことだし、謎のシダ植物をちょっと持ち帰って確認してみようか。
撮ってきた写真を開き、その特徴を確認して、ヒメワラビやサトメシダと比べてみる。
参考にしたページ:
https://www.ne.jp/asahi/sunsun/tanpopo/mikurabe/himewarabirui/himewarabirui.htm
https://soyokaze2jp.blogspot.com/2018/08/blog-post_92.html
シダ植物を同定するには、①毛の有無 ②小羽片の柄の有無 ③胞子嚢群のつき方 ④包膜の有無 ⑤第二小羽片の切れ込みの仕方がポイントらしい。なにいってんのかわからない感がすごい。
小羽片の柄の有無、第二小羽片ってどこだ。
でもこれ、麺でいったら「高タンパクの外麦強力粉を低加水の中太麺ストレート」みたいに、その沼に足を突っ込めば「あー、はいはい」ってなるんだろうな。
小羽片は、上の写真だと横に羽軸に沿って伸びる大きな葉っぱ(羽片)の、上下に生えている小さな葉っぱらしい。
そして第二小羽片は、そこに左右方向に出ている小さなパーツ。
柄(つか)は、葉(っぽい部分)の根元部分。
よって、上写真は「小羽片は有柄かつ対生(向かい合わせ)、第二小羽片の切れ込みは対生」と思われるので、ミドリヒメワラビの説明に一致するような気がする。サトメシダは葉っぱの感じが違うかな。これが若すぎてよくわからないが。
そして同じ場所に生えていたこちら。違いが判るだろうか。
下写真は「小羽片は有柄かつ交互、第二小羽片の切れ込みは対生」なのだ。きゃー!
こうやって細かく見ると、違う種類っぽい。
ヒメワラビかと思ったが、柄があるなこれ。
ではこれが何かと言われるとわからない。深いな、シダ植物。シダ植物の同定フローチャートとかないかな。あるんだろうけど。
そういえば収穫した新芽も、毛深いのとそうでもないのがあるね。
とにかく調理してみる
そんな調べごとをしているうちに二日が経過してしまった。
採って時間が経つとアクが強くなるので、山菜系はすぐ調理するのがセオリーなのに、ごめんなさいね。
コゴミのようにアクのない種類なら塩水で茹でるだけでいいのだろうけど、これは謎のシダ植物。ミドリヒメワラビとその仲間たち。
ちなみにミドリヒメワラビの味を調べたら、「普通は食べません」という記述しか見つからなかった。味以前の話らしい。ツイッターのベジータもこのように語っている。
ミドリヒメワラビを食ったという報告は聞いたことがないな。既によく食べられているワラビやゼンマイ、クサソテツ などを除けばシダなんてアクまみれでとても食べようとは思えないのが一般的なのだろう。
— 悟空のおこぼれを拾うベジータ (@gokuunookobore) September 22, 2019
収穫してから時間のたったミドリヒメワラビ的なシダ植物。重曹(炭酸水素ナトリウム)入りのお湯で茹でようかと思ったが、さらにアルカリ性が強い炭酸ナトリウムがあったので、これでいってみよう。
小さじ一杯を入れる。ちょっと多いかも。
混ぜた水を舐めてみたら、舌が溶けるかというくらい苦かった。ぐえ。
細かい毛は茹でてからとればいいかと、そのままドボン。
この時点だと、まあまあうまそうにみえるね。
湯で時間はちょっと長めに2分でどうだ。
ザルにあけて、水を何度も変えながらさらす。
あく抜き、そして炭酸ナトリウム抜き。
お、行けるんじゃない?
これは食べられるかも!
と思って手に取って驚いた!
と、と、と、溶けてる!
ナウシカにおける巨神兵みたいな溶けっぷり。
やっぱり茹でるお湯のアルカリが強すぎたかな。
洗い流すと芯の部分は残ったのだが、なんというか、寄生虫っぽいヴィジュアルになった。
うーん。
まあいいか。
謎のシダ植物の味
とにかく食べてみると、アスパラの持つ特有の苦みを300倍濃くしたような味。
これは苦みの界王拳状態や。スーパーシダ植物。悪い意味で。
本質的には嫌いな味ではないのだが、濃すぎて相当に厳しい。
インスタントコーヒーは好きでも、インスタントコーヒーそのものを小さじ一杯口に入れたら、苦くて吐き出すのと同じだ。
マヨネーズをつけても隠し切れない素性の怪しさ。
これが食用だと思っていないからこそのプラシーボ効果もあるのかな。
ということで、素性のわからない草を食べるのは良くないですよというお話でした。ほんと、良くないね。あとシダ植物、難しい。
来年は同定をしっかりした上で、新鮮な状態で調理して、適正なアク抜きをして、ちゃんと評価したいと思う。単品だと厳しくても、かき揚げに混ぜるとかするといいかもね。そこまでする必要があるかは要検討ではあるのだが。
カメ五郎さん、ありがとうございました。
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