※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2012年1月10日に掲載した記事の転載です。
母親が家庭菜園で育てたキクイモというものを収穫。ショウガのような見た目なのだが、適当に料理してみたら、これがなかなかうまかった。
ヒマワリだと思ったらキクイモでした
我が家の家庭菜園にて、去年の夏、我が物顔で2メートル以上に背を伸ばしていた植物があった。
ずいぶん背丈のわりに花の小さいヒマワリだなと勝手に思っていたのだが、これは母親が植えたキクイモというものらしい。
ヒマワリかと思ったらキクイモだそうです。前のおじさんはこの記事と関係ありません。私の父親でもありません。
冬になってキクイモは枯れたのだが、このタイミングが収穫の時期らしい。このキクイモというのは北アメリカ原産のキク科ヒマワリ属の植物だそうなので、ヒマワリだと思っていた私は間違っていたという訳でもない。
日本には江戸時代末期に伝来し、第二次世界大戦中に加工用や食用として栽培されたものが、野生化して河川敷などで生育したりもしているらしい。という話がWikipediaに載っていた。
あなたがヒマワリだと思っている花も、実はキクイモなのかもしれないのです(怪談風に)。
母親は、「枯れ枝が邪魔だからもう育てない」と、収穫前からキクイモに文句を言っている。
キクイモの根っこを掘ってみると、ゴロゴロとショウガ、ヤーコン、ウコンあたりに似たゴツゴツしたイモが出てきた。土から上ではヒマワリの振りをして、土の中にはイモがなるとは、なかなか不思議な植物である。
収穫するのは、この根っこの塊茎。
とりあえず生で食べてみる
収穫したキクイモ、料理が面倒くさそうで食べる踏ん切りがつかずに、冷蔵庫の野菜室にそのまま二か月以上入れっぱなしだったのだが、ようやく重い腰を上げてみることにした。
すぐ腐る魚とかと違って、長持ちする野菜って、後回しにしがちだよね。今回は腐らせなくてよかった。
とりあえず、タワシで洗ってみました。ショウガだ。
よく洗ったキクイモに包丁を入れてみると、収穫してから日が経っているのに、なかなか瑞々しい。キクイモという名前だけれど、いわゆるイモっぽいデンプン質的な固さはなく、見た目はショウガっぽいけれど、繊維質っぽくもない。
イメージよりも瑞々しい。
まずは薄切りにして生で食べてみたら、うっすら甘くてシャリっとしている。ただ、ゴボウのように土臭い。なんだろう、羊の皮をかぶったオオカミならぬ、ゴボウの皮をかぶった甘さ抑えめのリンゴとでも言えばいいだろうか。よく水にさらして、アクを抜くべきなのだろうか。
キクイモを生で食べる人もいるようだが、私としては火を通した方が口に合いそうだ。
焼きキクイモ
キクイモはイモっぽくないけれど、そのネーミングはイモなので、火を通すならば焼きイモか。落ち葉を集めてくるのは大変なので、アルミホイルにくるんで、魚焼きグリルで焼いてみることにした。
魚焼きグリル、年末に大掃除しました。
蒸し焼きにされたキクイモは、水分がけっこうあってフニャっとしている。塩を振るだけで美味しいが、皮を食べるべきか迷うところ。迷ったら食べるけど。
土臭さをどう取るか次第だけれど、けっこう私は好きな味だ。
火を通すと、とても柔らかくなるらしい。
キクイモのキンピラ
土臭い野菜といえばゴボウ、ゴボウと言えば龍角散、ではなくてキンピラだろうか。きっとキクイモもキンピラにしたら、あの独特の土臭さがプラスに作用するのではないだろうか。
ごま油でタカノツメを炒め、そこにキクイモを入れる。味付けは醤油と酒のみ。
火が通ったらたぶん完成。焼くとジャガイモっぽいな。
どう料理するとどういう味になるのかが、まだ把握できていないので、とりあえず一番シンプルな味付けでキンピラにしてみた。
食べてみると、焼くことで水分が適度に飛んでホクホクとしてうまい。キクイモの甘さがピリカラの味付けと相性ばっちり。
これはいい。山田君、キクちゃんに座布団一枚やって(歌丸のモノマネで)。
キクイモチップス
続いては揚げ物。かき揚げにしてもうまそうだが、芋といったらやっぱりポテトチップスだろう。
薄切りにしてキッチンペーパーで水気を拭き取り、そのまま素揚げにする。
今年初揚げ物!
キクイモは少し甘いので、味付けをどうするべきか迷うね。
キクイモチップス、薄く切ったところはサクサクパリパリ、厚めのところはホクホクネッチョリ。雑な切り方をしてしまったおかげで、二種類の食感が楽しめる。
キクイモ自体がほんのり甘いから、このままでもおいしいけれど、ちょっと塩を振ったり、逆に砂糖をまぶしてもよさそうだ。
この二品は皮ごと料理してみたけれど、キンピラやチップスなら泥臭さは感じない。キクイモ、やるじゃないか。
キクイモポテトサラダ
三つ目の料理はポテトサラダ。あの焼きキクイモのねっとりした感じが、マヨネーズと相性よさそうと見たのだが、はたしてどうだろうか。
キクイモをレンジで蒸して、皮ごとつぶす。
マヨネーズと胡椒で味付け。具は面倒なのでハムのみ。
これが予想通りキクイモとマヨネーズがベストマッチ。とろけるような柔らかさのキクイモが、ジャガイモでは出せない口当たりの軽いクリーミーさを表現している。ちょっとキクイモに火を通し過ぎただけかもしれないけれど。
面倒だったので皮ごとつぶしたのだが、私は全然平気だけど、これは否定派が多いかもしれない。上品に作るなら、やはり皮をむいてつぶすべきか。
キクイモのポタージュ
ポテトサラダがクリーミーでおいしかったので、これをもっと牛乳で伸ばせば、ポタージュ的なものになるのではと、ちょっと自分の中では凝った料理を作ってみた。凝ったといっても、ほぼ漉して牛乳で伸ばしただけだが。
蒸したキクイモを裏ごしします。今回は皮を使わない。
裏漉ししたキクイモに、牛乳、とろけるチーズを入れて加熱し、塩、胡椒で味付け。
仕上げにドライパセリを振ってみた。
このスープ、適度なとろみがあってなかなか美味しい。ただ、温かいうちは気にならないのだけれど、覚めるとちょっと土臭いかな。よくいうとオーガニックテイスト、みたいな。
いや、私はキクイモをこの日だけで何度も食べているので慣れているから気にならないだけで、キクイモをはじめて食べる人は、温かくても泥臭く感じるかも。まあ気になる人は醤油とかカレー粉入れちゃうといいかもね。
勝手な総評
ということで、何種類かキクイモを料理してみたところ、土臭さをどうとらえるかで評価が分かれそうだけれど、料理方法次第では皮ごと食べても土臭さが気にならないようだ。
独特の甘さとねっとり感は、それを活かした料理のやり甲斐を感じさせてくれる。
なかなか見た目と味のギャップが楽しい食材なので、どこかで売っているのを見かけたり、どこかで野生化しているのを見つけたら、食べてみるといいと思います。