私的標本

玉置標本によるブログです。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

クチナシで染めて作る栗きんとんとパエリア

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2011年12月1日に掲載した記事の転載です。

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栗きんとんの美味しそうな黄色い色は、クチナシというもので染めているらしい。そろそろ正月も近いので、クチナシを使って栗きんとんを作ってみることにした。

クチナシをもらいにいってこよう

クチナシを使ってくりきんとんを作るという話は、以前にこのサイトで書いた「楽しくて面倒臭くて美味しいギンナン拾い」という記事のコメントがきっかけだったりする。

「次はクチナシで栗きんとんに色付けて下さい」

コメントありがとうございます。これを読んで、クチナシで色を付けるってどういうことだろうと試してみたのが今回の記事。ライターと読者、記事とコメントのコールアンドレスポンスなのである。

ちょっと調べてみたところ、クチナシというどこかで聞いたことがあるような植物の実が、着色料として昔から使われているらしい。あ、シナチクじゃないですよ。

クチナシの実なんてどこで手に入れればいいんだろうと、家庭菜園が趣味の母親になんとなく聞いてみたところ、友人の家に庭木として植えてあるとのこと。あっさり解決。クチナシは白いきれない花が咲くそうで、実をとるためではなく、花を楽しむために植えているらしいよ。

ということで、10月中頃にシナチク、じゃなかったクチナシの実をもらいにいってきた。

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これがクチナシだそうです。どこにでもありそうな木ですね。

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あ、この実、見たことある。これがクチナシだったのか。

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このタコ型宇宙人みたいな実は、干してから使うらしいです。

もらってきたクチナシの実をザルに乗せて一か月ほど陰干ししたところ、ホオズキのようなかわいいオレンジ色に染まった。

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干からびたタコ型宇宙人。

この中身はどんなふうになっているのだろうかと包丁で二つに割ってみて、声を出して驚いた。うぁー。

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予想外の中身でしょ。

中には朱肉のような、豆板醤のような、真っ赤な色をした半練り状の果肉が詰まっていたのだ。どうもまだ半乾きだったみたい。でもまあいいか。

なるほど、これは着色料として使いたくなるわ。

煮出して飲んでみよう

さてこの中身が真っ赤なクチナシの実。はたしてどんな味がするのだろう。見た目はものすごく辛そうだが、辛かったら栗きんとんには使えまい。

とりあえず味を確かめてみるために、半分に割った実を二つ分、お茶の袋に入れて煮出してみた。クチナシ茶である。

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味がまったく想像できない。

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ウコン茶みたいな色ですね。

適当に作ったクチナシ茶を恐る恐る飲んでみると、若干の苦みと酸味があるけれど、不安視されていた辛みはまったくなく、よくある体に良さそうなお茶の味。

この味、あれだ、ウコン茶に似ている。そういえば見た目もほぼウコン茶だな。

ならば二日酔いにいいかもしれないと思って調べてみたら、クチナシの実は漢方ではサンシシといい、薬効は黄疸、利尿、不眠症などらしい。へー、いわれてみればそんな味だ(適当)。

栗きんとんを作る

クチナシがどんなものかなんとなくわかったところで、ようやく栗きんとん作りにとりかかる。

本当は生の栗を買ってきて作ろうと思ったのだが、季節的にもう売っていなかったので、瓶詰めの栗甘露煮とサツマイモにてチャレンジだ。

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まずサツマイモの皮をむいて、塩水に漬けておく。ずいぶん白いサツマイモだな。

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鍋にサツマイモとひたひたの水、クチナシの実、栗甘露煮のシロップを半分入れて煮る。

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ちょっと煮過ぎたけれど、いい色に染まったみたい。

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茹でたサツマイモをザルにとって、そのまま押し当てて裏ごしをする。

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下のボールに裏ごしした芋が全然たまらないなと思ったら、ザルの裏がすごいことになっていた。今日二回目のビックリ。

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鍋に裏ごしした芋を入れ、砂糖と栗甘露煮のシロップで甘さを決め、芋の煮汁を加えて弱火で煮ながら練る。

ここまでで和菓子などで使われるサツマイモのきんとんが出来上がったのだが、クチナシの実で黄色く染まったこのきんとんがすこぶるうまい。特にしゃもじにへばりついたのを、そのまま食べちゃうのが最高。はい、行儀が悪くてすみません。

自分で作っておいて褒めるのもあれだが、適度な甘さと滑らかな舌触りが最高。これは栗を入れなくても全然いいじゃんと思ったけれど、甘露煮の栗を入れて栗きんとんにしたら、やっぱりさらにおいしくなった。

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栗きんとんの完成でーす。栗の歯ごたえが気持ちいいのよ。

ちょっと量が多すぎたかなと思ったけれど、二日と持たずに食べきってしまった。栗きんとん、見直したぜ。

これだけクチナシの実があれば、一生分の栗きんとんが作れそうだけれど、そんなに栗きんとんばっかり食べていると、太り過ぎて「死人にクチナシ」となってしまいそうなので、別の利用法も考えてみよう。

サフランの代わりにパエリアを作ってみよう

クチナシの実の利用法だが、たくあんを漬けるとか、染織に挑戦とかいろいろ考えてみたのだけれど、サフランの代わりに入れてパエリアができたら便利じゃないですかね。ほら、サフランって買うととっても高いし。

パエリアに入れるサフランの意味がよくわかっていないのだけれど、色づけだけだったらクチナシでも大丈夫な気がする。

ということで、家にある材料だけでクチナシのパエリア作りにチャレンジ。

オリーブオイルでニンニクとタマネギを炒めたら、冷凍庫にあったシーフードミックスと、マッシュルーム、ミニトマト、生米を加える。パエリアと呼ぶには貧乏臭い具で申し訳ない。

米が透明になってきたら、濃いめに煮出したクチナシ茶を注いで炊き上げる。

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くちなし茶を加えたら、愛媛で食べられているという噂の、ポンジュース炊きこみご飯みたいになった。

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パエリアは水加減、火加減がよくわからないのだが、これは成功したような気がする。

香ばしいおこげもできたパエリアは、加えた具がしょぼいので、さすがにダシがちょっと弱いけれど、それでも十分おいしい味。こういう異国の料理に成功すると、自分が料理上手になった気分になれてお得だ。

これ、クチナシを使ったよといわれなければ、誰もがサフランの色だと思うんじゃないだろうか。少なくとも私は騙される自信がある。

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今度は生の魚介をたくさんいれて作ります。パエリアってうまいね。

クチナシはほとんど色づけだけで、味にはあまり影響はなさそうだけれど、そういう食材を使ったことがないので、なかなか新鮮な料理体験だった。

栗きんとんやパエリアは、黄色くなることで明らかに美味しそうに見えるし、わざわざ色をつけるという「手間」が、作る側にとっての自己満足につながったりするんだな。

 

 

 

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