私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログです。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

国会図書館に自主制作した本を納本してみた

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2012年11月7日に掲載した記事の転載です。

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自主制作の本を作成したので、国立国会図書館法が定める「納本制度」に従って、国会図書館に本を納めてみた。

「私的標本 捕まえて食べる話」という自主制作の本をつくりました

冒頭から私事(というか宣伝)で恐縮だが、今までに自分の個人サイト(私的標本)やデイリーポータルZなどで書いた記事の中からピックアップしたものを大幅にリライトし、書き下ろしを加えて、「私的標本 捕まえて食べる話」という本を作成した。

本といっても、どこかの出版社が出した物ではなく、私が知り合いにイラストとレイアウトを頼み、数百部を印刷しただけの、個人的な自主制作の本である。手前味噌だが、いい本だと思う。直したいところは多々あるが。

もちろん流通に乗るようなものではないので、そういった本を扱っている中野のタコシェというショップ、知り合いの務める釣具屋、イベントでの手売りと、ものすごく限られた場所での販売だ。

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購入はこちらから。買って!

さて、ここからが本題なのだが、この本を買っていただいた方から、一通のメールをいただいた。

「せっかくなので、国立国会図書館に納本をして、永久保存してはどうでしょうか」

国立国会図書館というと、すべての本が揃っているという、あの日本最大の図書館か。「くにたち」ではなく、「こくりつ」だ。そんな立派なところに私が個人的に作った本が納められるのなら、ぜひこちらからお願いをしたいところだ。

ということで、国会図書館に納本をしてみることにした。

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わりと最近まで、国会議員用の図書館だと思っていました。

うれしはずかし、はじめての納本

国立国会図書館への納本方法だが、実際にやってみると、とても簡単だった。国会図書館の納本受付にいって本を渡し、ちょっとした書類に記入をするだけ。

この納本について広報の方に話を伺ったところ、国立国会図書館法という法律で定められた「納本制度」というものがあり、すべての出版物は発行から30日以内に納本しなければならないそうだ。納本をするのは、著者ではなくて出版者の役割となる。なるほど、だから国会図書館にはすべての本があるといわれているのか。

たとえば小説の本が出版社から出た場合、著者が納本するのではなく、本を発行した出版社が納本の義務を持つことになる。なんらかの理由でまだ納本されていない本を、第三者が寄贈する場合もあるらしい。

元々は明治から戦前に掛けての、内務省による書籍の検閲というところから始まった納本制度だが、現在は国民の知的資産である書籍を大切に保存して、みんなで利用できるようにすることを目的としている。

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私の本は、著者と出版者がイコールなので自分で納本。わざわざ来館しなくても郵送でOK。

気になるのは私のような自主制作の本でも、国会図書館に納める価値のある出版物として扱ってもらえるのかどうかだが、ここでの出版物とは「頒布の目的で相当数の部数が作成されたもの」全般なのだそうで、私が作った本も、広く頒布する意思だけはあるので、納本の対象となるそうだ。

「たとえば大正時代、こんなくだらないものなんてと捨てられる予定だった児童書が、その時代に子供たちがどんなものを読んでいたのか、どんなものが流行っていたのかを伝える貴重な資料になっています。あるいは後に有名となる作家さんの作品が含まれていたり。どれがそういうものになるのかはわかりませんし、こういうものがその時代に読まれていた、存在していたということが文化だと思いますので、この本もご納入いただいて保存させていただければと思います。」

なるほど。私が自主制作の本を出したこと自体が、日本の文化の一端だったのか。確かに自費出版のハードルが下がって、ウェブのライターが自主制作の本を気軽に出すという事象自体が、今の時代を表しているのかもしれない。

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乱丁、落丁のチェックはするが、内容の確認はしないそうです。「誰も読まないから返品します」とか言われなくてよかった。

いわゆるコミケなどで売買されている本については、一部所蔵しているものもあるが、著作権の問題をクリアしていないようなものは、ほとんど納本されてこないとのこと。

納本制度には、納めなかった場合に小売価格の5倍に相当する金額以下の過料に処せられるという罰則があるのだが、現在までに適用されたことはないそうだ。

自分が作った本を納本したことで、この本が国会図書館に「国民共有の文化的資産」として、末永く保管してもらえることになった。たとえ私の手元に一冊もなくなったとしても、あるいは私がこの世から存在しなくなっても、またいつでも誰でも読むことができるのだ。素晴らしい。

これによって、本を作ったことの満足度が上がったような気がした。そうかそうか、ずっと残ってくれるのか。

国会図書館の利用方法

せっかく国会図書館まできたので、納本だけではなく、利用する側としても体験をしてみた。

国会図書館に納本されているのは、普通の図書館にあるような本だけではなく、週刊誌や漫画本、あるいは大人向けの悶々とする本など、分け隔てなくすべてが対象となっている。
そして納本された本は、18歳以上なら誰でも無料で閲覧することができるのだ。ただし貸し出しはやっていない。

また、平成12年から音楽CDや映画のDVDなども納本制度の対象となっており、それらも調査・研究目的であれば、音楽映像資料室という部屋で閲覧できるそうだ。

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利用者登録というのが必要になるので、身分証明書を持っていきましょう。

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登録利用者カード。即日発行してくれます。

蔵書数は3,841万点以上、すべての書庫の長さを足すと、東京から岡山までの距離になるというスケールなので、普通の図書館のように読みたい本を本棚から探すという流れではなく、パソコンで検索をして、読みたい資料を申請する。

この検索システムは、自宅のパソコンからでも利用することができるので、事前に読みたい本をチェックすることも可能。私のようになにも考えないで国会図書館にいってしまうと、検索システムの前から動けなくなってしまうのでご注意。適当なキーワードや人名で検索をするだけで、楽しくなってしまうのだ。

今度来る時は、読みたい本をしっかりと決めておき、じっくりと楽しませていただきたいと思う。とかいって、自分が納本した本を出してもらって、一人でニヤニヤしてそうだけどね。

 

 

 

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