私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

蛇善でヘビのハンバーグとニンニク焼きをいただいた

久しぶりにブログっぽいこと書きます。

浅草橋と蔵前の間くらいに「蛇善」というその道では有名な店があるのですが、どの道かというと店名のままですが「蛇の道」。

サイトの情報だと、「すっぽん、マムシをはじめとする精力剤、黒焼きの製造販売・卸〜蛇善〜」だそうです。まあ、そういうことです。

昔は蛇屋もたくさんあったそうですが、いまはほんの数軒になったみたいで、逆にいろいろなところからお客があつまってくるのだとか。その辺の話は直接ご主人から聞いてみてください。意外な顧客だらけです。



この店は昭和4年に建て替えたそうで、その時に取り付けたのがこの金庫。

空襲で目の前に焼夷弾が落ち、金庫の外側は大丈夫だったけれど、中身は灰になったのだとか。この建物も、一枚壁紙をめくると燃えた跡があるらしいよ。












で、以前にこの店の五代目当主にヘビ狩り(仕入れ)に連れて行っていただいたことがあり、そちらの記事がこちらです。このときのことを店主が覚えていてうれしかったです。

■プロといくヘビ狩りツアー

あのときはヘビを捕まえるまでで、諸々の都合が合わずに「ヘビを食べる」というのはしなかったのですが、ようやくそのチャンスがやってきました。おっさん8人くらいでヘビを食べに行くという、実にオッサンらしい企画が立ち上がったので、いの一番(化学調味料じゃないですよ)に手を上げて、参加してきた次第です。いや正確にはおっさんがすぐ応募してきて定員に達したという感じか。

これがまあ、実に感動的というか、好奇心をガンガンと揺さぶられる内容だったですよ。久しぶりにブログに書いちゃうくらい。


さてこの蛇善さん、ヘビの黒焼きとか粉末とかの薬っぽいものを売っているだけではなく、キッチンと食堂スペースがあり、お願いすれば生きたヘビやスッポンなどが食べられるんですね。座席が4つしかないし、仕入れ次第でなにがあるかは謎なので、予約した方がいいかもしれません。夜の営業時間外も対応可。



<お問い合わせ>
株式会社蛇善
〒111-0051 東京都 台東区 蔵前 4-1-2
TEL:03-3851-3070
http://www.hebizen.co.jp/




この日のメニューは、おすすめのヘビをみんなで2匹くらい、オススメな料理でお願いしますという感じ。

もちろんお腹いっぱい食べるような店ではないので、胃袋よりも、好奇心を満たす店だと考えた方がいいかもしれません。あるいは陰嚢袋。しらないけど。


まず出していただいたのは、食前酒としてニシキヘビの胆嚢を干して漬けたお酒。

オシャレな「切子」のグラスに入ってます。

ちなみに蛇を捕る人を「トリコ」といいまして、ヘビ好きが高じて「虜」になる場合と、「トリコ」になる場合があるのでご注意を。ご主人と話がかみ合わなくなることがあります。



で、味ですが、前に作った焼きサンショウウオ酒をパワーアップさせた感じ。前にどっかでちょっとなめた熊の胆が近いかな。まあまあ苦いです。ああー。




続いてはお待ちかねの生きたヘビ。取り出されたのはナイスサイズのアオダイジョウ。ご主人の話によると、主にカエルを食べるシマヘビよりも、鳥やネズミが主食のアオダイショウの方がうまいんじゃないかなと。

なんとなーく臭そうなイメージですが、さてどうでしょうか。







秘伝の方法で手際よく蛇をさばいていく店主。

気になる捌き方は、背中越しに盗み見て覚えましょう。



食前酒が続きますが、アオダイショウの生き血を赤玉ワインで割ったものと、胆嚢をニンジン酒で割ったもの。

生き血というのはよくスッポンなんかでも聞きますが、胆嚢っていうのは初めてですね。魚を捌くときに苦くなるから絶対につぶすなといわれる苦玉のことです。その鮮やかな緑の色から「翡翠酒」と呼ぶこともあるとか。











生き血は赤玉ワインで薄められて飲みやすいのですが、翡翠酒はすげーっすね。だれか夢精するんじゃないかな。

ニンジンだけでもパワフルなのに、さらに胆嚢ですよ。ブルブルくるね。飲み終わった後に唇をなめてもビリビリくるね。胆嚢で作った媚薬入り口紅とかどうでしょう。


身は包丁を使わずにイワシみたいな手開きでチョチョっと捌かれて炒め物に。









これが血抜きが完璧だからか、まったくもって臭み無し。上手に捌かれているから骨もない。食感と味は深海にすむヌタウナギが近いかなって伝わらないかな。クニクニしてこれぞ全身筋肉って味なんですよ。



肝(レバー)はウナギやサンマの肝に似てますかね。なんでも毒蛇の肝のほうが美味しいんだとか。

蛇ってどうしても無理をして食べるジャンルのイメージがあったんですけど、考え方がガラガラっと変わりました。ヘビだけに。

こりゃ金を払ってでも、あるいは自分で捕ってでも食べるジャンルの食べ物ですね。もちろんマムシとかの毒蛇はあれですが。胆嚢と生き血はパスすると思いますが!

今後はキャンプとかでみつけたら、まず間違いなく捕まえると思います。テヘペロ。


もう一匹は沖縄のヒメハブ。でたな、毒蛇。

これもとりあえずは酒で。
生き血と胆嚢がダブルで入ったワイン割り。

うおー。







そして身は皮や内臓を取り除き、謎の専用マシーンでガンガンと骨を叩いてハンバーグに。

この機械はもちろん特注で、一号機はパワーが強すぎてお蔵入りし、この二号機はちょっと弱いのが難点だとか。

まずはウナギのように開いてガンガンと叩き、ぶつ切りにしてから電動ミンチ機でウィーンと潰し、さらにお好み焼きを焼くようにガンガンガン。

俺の知っているハンバーグと作り方が全然違う!











「今日はニンニクも入れちゃうか!」





あれだけ丁寧に潰しても骨がコリコリするけれど、でもそこがいい。これも臭みが無く、ワイルドなツクネ焼きといった感じ。シシャモを頭から食べられる人なら問題なし。一緒に焼いたタマネギの甘みが合うね。味付けは醤油。ふりかけるのは山椒が合うそうです。

ハンバーグならぬハブバーグということで。

ヘビは油がないので、フライパンは焦げ付かないティファールを使用。ちなみに包丁はグローバルナイフでした。


以下はオマケ。
沖縄のアカマタという噛みまくるヘビ。
すげー噛むんだよとうれしそうな店主。



毒がないけれど噛まれると剣山で刺されたみたいな、イラッとする痛さだそうです。
沖縄で見かけても、手を出さないようにしましょう。






すっぽん料理もオススメだそうです。
でかいな、きみ。




こちらはすっぽんの尻尾。ではなくてヒル。

ひーーーーーーーーーーーーーー!



「この前、ヒルを買いに来たおねえちゃんに、エサはどうすんだいって聞いたら自分を噛ませるっていうから、どうせ血を吸わせるならってツボを教えてやったんだよ。ヒルに吸われると、唾液の成分で血が止まらなくなるんだけれど、それが体にいいのよ〜」とかなんとか。


ということで、とても楽しかったです。

久しぶりに心がワルツを躍りました。細胞単位でゾワゾワしたよ。

とりあえず近いうちに、麻の袋とヘビバサミとポイズンリムーバーを買おうかな。


ちなみにこのあと男だらけでいったのは、汁なし坦々麺のお店「タンタンタイガー」でした。
痺れが強くておいしかったです。パクチー追加してみました。




ということで、胆嚢を堪能してきましたという話でした。





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