私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

種だけの果実酒を作ってみる

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2011年5月9日に掲載した記事の転載です。

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梅やカリンなどの果実酒は、果物を丸ごと、あるいは身だけを入れて作るのが一般的だが、種だけでもできるという話を聞いたので、何種類か試してみた。

※ビワなどの種には有毒な成分が含まれている場合がありますので、ご注意ください。

ビワの種で果実酒ができるらしい

友人から廃物利用の果実酒ができるという話を聞いたのだが、その材料はビワの種だという。ビワというと、食べるときに種ばかりが大きくて、身が少なく寂しい思いをさせられる果物だが、その種に使い道があったとは。

昨年の初夏に、産地である千葉の富浦出身の友人からビワをたくさんもらったので、試しに漬けてみることにした。

もしこれでおいしい酒ができたら大儲けである。千葉に引っ越して大量生産をして、「道の駅とみうら」で売ってやろうかなと、夢は大きく広がっていく。

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この種で果実酒ができるらしいです。

作り方は普通の果実酒と同じ

ビワの種の果実酒の作り方だが、取り出した種をきれいに洗って乾かし、種の7割ほどの重さの氷砂糖と一緒に、ホワイトリカーで漬けるだけとした。ブランデーやウイスキーを使ってもいいかもしれない。

初めて作るものなので正解がよくわからないのだが、基本的には普通の果実酒と同じである。ただ見た目は果実酒というよりも、サルノコシカケや朝鮮人参などで作った薬用酒っぽい。ノットフルーティー。

ビワを食べるときは種が邪魔なのだけれど、種だけでお酒を漬けようとすると、なかなか量が集まらないのがもどかしい。ビワの種を敵視していたのに、急に大きい種だと喜ぶ自分がそこにいた。

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今更調べてみたら、ビワの種にはなんらかの薬効があるとかないとか。なので飲みすぎは注意ですかね。

ついでにサクランボとアボカドの種も漬けてみた

ビワの種で果実酒ができるのなら、他の種でもできるはず。まだビワの種酒すら成功していないのだが、せっかくなのでいろいろ試してみたいじゃないですか。

たまたま山形に住む友人の農園でサクランボ狩りをさせていただいたので、その種も漬けてみることにした。作り方はビワと同じ。

もしこっちのほうがおいしいようなら、山形に引っ越して大量生産をして、「道の駅寒河江(チェリーランド)」で売ることにしよう(ちょっと本気)。

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さくらんぼ酒があるのだから、さくらんぼの種酒があってもいいはず。

せっかくなのでもう一つ。でかい種といえばアボカドだ。

味の想像が全くつかないのだが、これだけでかい種なのだから、なんらかの味わいがでてくるはず。種の段階でもう何年も漬けこまれた感じの色合いなのが心強い。

もしこのアボカドの種酒がまさかのおいしさだったなら、やはりメキシコに引っ越すべきなのだろうか。メキシコに道の駅ってあるのかな。

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なにかに利用してやろうと思いたくなるアボカドの種。「育てて楽しむ」以外の活用法となるか。

ほったらかしていたら完成したっぽい

三種類の種を漬けてからほぼ一年。すっかり忘れられた存在となった瓶を取り出してみると、無色透明だったホワイトリカーが、色の濃淡こそあれ深みのある琥珀色に染まっていた。

蓋をあけると、それぞれ違った個性的な香りが立ち込める。

やるじゃないか、種。

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右のアボカドが一番いい色だね。

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ウイスキーやブランデーっぽい色になった。ウーロン茶っぽいともいえるが。

ビワの種酒を試飲してみる

まず最初に試してみるのは、一番確実だと思われるビワの種酒。ビワなのに、不思議と杏仁豆腐っぽい匂いがしっかりとする。

味も香りもアマレットというアンズの種を使ったリキュールが近いかな。今度はアンズの種でも作ってみよう。

ソーダで割ったりして飲むのはもちろん、紅茶にちょっと垂らしてもいい感じになりそうだ。杏仁豆腐にかけると香りが倍増しておいしいかもね。

ただ妻に試してもらったところ、「マジックインキの匂いがする!」といわれてしまった。いわれてみるとそんな気も。

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これ、すごくいい香りがするのですよ。

サクランボの種酒を試飲してみる

続いてはサクランボの種酒。色の薄さに比例して、味も香りもちょっと控えめだが、サクランボというよりも桜餅のような風味を感じさせる、おしとやかな酒に仕上がった。

お湯で薄めて桜の花の塩漬けでも浮かべ、だんごと一緒にいただきたい。花見の時には最高の酒だろう。

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もう少し寝かせてから、また味わってみようかな。

アボカドの種酒を試飲してみる

成功、成功ときて、最後は一番チャレンジングなアボカドの種酒。どうなるかまったく想像がつかなかったのだが、とりあえず色は一番濃くなった。

意を決して蓋をあけると、モワーンと広がる南国の香り。さすがメキシコ生まれだけはある。これはラム酒が好きなら好きな香りだろう。どちらかというと紹興酒なのかもしれないが。

さてその味はというと、あれだあれあれ、十年前くらいに1度飲んだ覚えがある養命酒。飲み比べると全然違う味なのかもしれないが、どことなく薬っぽい刺激があり、「とても体にいいお酒ですよ」といわれて出されたら、信じてしまいそうな説得力がある。

ところでアボカドは実にも種にもペルシンという物質が含まれており、天然ゴムアレルギーの人は、アボカドでも症状を発することがあるそうだ。

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なんだか体調がよくなった気がする(もちろん気のせい)。

どの種もそれぞれ個性的なお酒となったので、今年はカキ、モモ、アンズなど、種のある果物を食べるたびにちょっとずつ漬けてみようかなと思う。

こういうものは買って飲むものというよりも、話の種に(種だけに!)自分で作ってちょこっとずつ楽しむもののような気がするので、移住しての大量生産はとりあえずやめておこうと思う。

 

 

 

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