※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2011年4月21日に掲載した記事の転載です。
みんな大好きソーセージ。僕も大好きソーセージ。そんなソーセージだが、普段はスーパーマーケットやお肉屋さんで買っているけれど、市販品であれだけおいしいのだから、手作りしたらもっともっとおいしいのではないだろうか。
羊の腸を買ってきた
ソーセージを作るのは5年ぶりの二度目の挑戦。オリンピックより長いスパンだ。しかも一度目は友人が全部セッティングをしてくれたので、実質的にはほぼ初めてといっていいだろう。
材料はハンバーグや餃子をつくるのと大差ないのだが、ソーセージを包む腸が必要となってくる。ちなみに日本のJAS規格によると、羊の腸だとウィンナーソーセージ、豚の腸だとフランクフルトソーセージ、牛の腸ならボロニアソーセージと区別しているらしいよ。
羊や豚の腸くらい肉屋にいけば簡単に売っているものと思っていたが、何軒かまわったけれど扱っていないか、取り寄せになってしまうという。ネット通販という手もあるが、作りたいと思ったらすぐに作ってしまいたい性格なので、できれば今日買ってきてしまいたい。
そこで前に作らせてもらった友人に聞いたら、東急ハンズで売っているということだった。なるほど、ソーセージ作りは通常の料理というよりは、DIYの範疇なんだね。
さっそく買ってきた。羊の腸ってこんな状態で売っているのか。
ガイドが入っていて使いやすくなっている。
ソーセージ作りでもうひとつ必要なのが、腸に材料を詰めるための道具。これは事前に別の友人から借りていたガンタイプのかっこいいやつがある。今回はこの道具を使いたいがためだけにソーセージを作るといっても過言ではないだろう。
説明されないとなんの道具かわからないね。
東急ハンズには腸と並んで、ソーセージを作るための同じようなタイプの道具やケーキのデコレーションをするような絞り袋が売っていた。店員さんも、羊の腸と道具さえあれば、誰でも簡単に作れるといっていたので、おいしい手作りソーセージはもうできたも同然だ。
材料を冷やしながらよく混ぜる
ソーセージの作り方をいくつか調べてみたところ、豚肉と香辛料をよく混ぜて、腸に詰めて、燻製にして、茹でるという4つの工程から成り立っているようだ。燻製してから茹でる方法と、茹でてから燻製する方法があるようだが、あまりスモーキーなものよりも、ほんのり煙たいくらいがいいかなと、茹でる前燻製方式を採用。
材料については、豚のひき肉と2%の塩、適当に買ってきたスパイス(セージ、バジル、ディル)、さらに家にあったスパイス(コショウ、オールスパイス、パセリ、ナツメグ、コリアンダー)を入れてみた。分量はすべて適当。
スパイスについては何を入れてもいいような気がするけれど、絶対に入れたかったのがセージ。なぜならソーセージだからだ。
ディルはよく見たら「魚料理に」って書いてあったけど、まあいいか。
材料を混ぜるときのコツは、温度が上がらないようにすることらしいので、ボールを二重にして氷水に浮かべて、さらに材料にも氷を入れてよく混ぜる。
材料に氷を入れると水っぽくなってしまいそうだが、肉の2割弱くらい水を入れるものらしい。
材料が温まらないように氷を入れているので当たり前なのだが、混ぜる手がとんでもなく冷えていく。辛い。
ソーセージ作りって楽しい工程ばかりだと思っていたのだが、こんなにも地味に辛い作業があったとは。こんなときは体を中から温めるべく、ホットコーヒーにホイップクリームを乗せたものを飲みたいところだ(ウインナー作りだけにウインナーコーヒーですね)。
それにしても冷たいったら冷たい。しかしこの冷たさを乗り越えてこそ、肉汁の溢れるソーセージをカシュっとできるのだ思いつつ我慢我慢。
これが腰にくる冷たさなんですよ。
あまりの冷たさにもだえながらも混ぜ続けると、材料がイースト菌で発酵したパン生地のようにモチモチした感触になってきた。
塩の分量を間違えていた
それにしてもずいぶんと粘りのあるタネになったなと若干不安になり、念のために入れた塩の量を計算し直してみる。豚肉が300グラムだから、2%の塩だと15グラムだよな。
ええと、いや全然違った。それだと5%だ。2で割らないで掛けなきゃダメだ。正解は6グラムということは、15グラムだとかなりしょっぱいソーセージになってしまう。いかん、超パニック。
そういえば双子の大好物は何でしょうっていうナゾナゾがあったな。答え=双生児だけにソーセージ。なんていうどうでもいいことを思い出すほどにパニック。
どうしたものかと冷蔵庫を確認すると、チルドルームから豚コマ200グラムが発見されたので、これを実家から借りてきた年代物のフードプロセッサーで挽肉にして混ぜ込むことにした。
こんなことなら、最初から挽肉を買ってこないで、塊の肉でやればよかったかな。
フードプロセッサーって初めて使ったけれど、便利ですね。
これでどうにか都合3%まで塩分濃度を下げることに成功。
こういう手作り料理にありがちが無駄なプロセス、割と嫌いではない。
羊の腸に豚肉を詰める
続いてはちょっと塩分多めになってしまったタネを腸に詰めていく作業。ソーセージ作りで一番楽しい作業である。今回用意した腸は羊なので、JAS的には勝者用のソーセージとなる。ウィナーソーセージ。いやウインナーソーセージですね。
まず塩漬けになっている腸を水に30分漬けて塩抜きをしておき、ノズルの部分にはめていく。この腸にはガイドとなるプラスチックの板が入っているのだけれど、それでもなかなか難しい。
コツは常に濡らしながら作業することと、とにかく焦らず丁寧にやることだろうか。やぶれたり穴があいたらどうしようと、とてもドキドキ、そしてなぜかモヤモヤする。
なかなかキツキツです。
どうにか成功。ソーセージ用のノズル部分が長い理由がよくわかった。
つい勢い余って全部の腸をノズルに通してしまったが、正しくは多少残しておき、そこを結ばないといけなかったのでちょっと戻す。
くるっと縛ってタネを押し込んでやろうとすると、タネではなくプクっと空気が出てきてしまった。
おお、まさかの風船状態。よく考えれば当たり前か。
空気を抜くために針で小さな穴をあけてあげると、今度はニュルリとタネが出てきた。これこれ、これがやりたかったのだ。
タネが出ていくスピードにあわせて、左手で腸を少しずつ送り出していく。このふたつのバランスでタネの詰まり具合が変わっていくのが、一人だけど誰かと共同作業をやっているみたいでおもしろい。
しかし腸に肉を詰めるっていう料理方法を考えた人はえらいね。
こんな感じでやっています。引き金を引くとタネが押されて出ていく仕組み。腸が常に濡れていないと切れやすいみたい。
なかなか順調だったのだが、油断をしたところでブチっといった。あーあ。
このように途中で何回かブチブチと切れてしまったけれど、どうにか詰める作業が終了。しかし、ねじる作業でさらに何度かブチブチといってしまった。もう面倒なのでそのままにする。
ところどころ穴があいているけれど、ここまでは成功といえるのではないでしょうか。
このソーセージのねじり方については、私はなにも考えずに3回くらいひねっただけなのだが、ねじったところがいつのまにか戻ってしまうことが何度もあった。
あとから調べてみたところ、正しくはまず二つ折りにして折り目をねじり、二本を揃えて一緒にねじって、できた輪に片方を通していくらしい。なんにでもノウハウってあるものなんだね。まあ当たり前か。
最後に燻製にする
燻製にするというと大がかりな作業のように思えるが、ソーセージ作りでは中まで火を通す必要がないので、スモークウッドというオガクズを固めたようなものを使えばあっけないほど簡単にできるのだ。燻製作りに関してだけは急にえらそうになってみた。
やり方は、スモークウッドに火をつけて、ダンボールをかぶせるだけ。ソーセージをぶら下げる方法がうまく思いつかなかったので、ザルに入れてスモークウッドからちょっと話して置いてみた。
スモークウッドは三分の一だけ使った。これで70度以下をキープする。
30分後、開けてみたがあまり色がついていない。
だんだんと日が落ちてきてしまい、色が付いたのかよくわからないのだが、ちょっとまだ燻製具合が甘いようだ。そう思って持ち上げてみると、煙が直接当たっていた側がこんがりといい色になっていた。なんだこのひどいムラは。やっぱり折り重なるように置いたらダメか。
何も考えずに日焼けをした小学生みたいな色ムラに。
今考えれば、ダンボールに串を貫通させて、そこにソーセージをぶら下げればいいだけなのだが、なんでそうしなかったのだろう。ちょっと燻製という作業をなめすぎていたかな。
最後に70度以下で茹でる
このようにちゃんと燻製できていたりできていなかったりするソーセージだが、この段階ではまだ中まで火が通っていないので、これを15分ほど茹でる。
このときの温度は、脂分がお湯に溶けださないように70度以下にするのがポイントらしい。ということは、市販のソーセージを茹でて食べる時も、同じように70度以下で茹でた方がいいのかな。
脂が浮いてきてしまっているのは、何箇所か腸がやぶれているから。
茹であがった自家製ウインナーソーセージ、ちょっと透けているスパイス類が食欲をそそる。
さっそく熱いうちに齧ってみると、プツっという心地いい歯ごたえに続いて、たっぷりの肉汁が、出てこない……。
ボソボソとまではいかないけれど、イメージしていたジューシーさからは遠い味。もちろんおいしい。ただ自分の中でのハードルが高すぎたために、予想を超えてくれなかったというのが正直なところ。そしてやっぱりちょっとしょっぱい。いや、おいしいんだけどね。
いろいろと惜しい。
もっと脂身が多くてよかったとか、塩分は3%だと多すぎるとか、もうちょっと肉は粗挽きがいいかなとか、燻製はちゃんとぶら下げてやるべきだとか、腸がやぶれたまま茹でてはいけないとか、タネを詰めすぎなようにするとか、タマネギなども入れるべきだったかなど、いろいろと反省点が頭に浮かんでくる。
何度も言うけれど、これはこれでおいしい。しかし、もっとおいしくできるはずだ。
手作り料理のいいところは、この反省を生かして、次回もっとおいしく作ればいいということ。ソーセージを作ること自体は簡単だし、おいしくつくるためのポイントもわかったような気がしたので、ゴールデンウィーク中にでも、またやってみたいと思う。
次はきっと満足のいくソーセージが完成し、カシュっと口の中を肉汁で熱くできるはずだ。
ノビル、ベーコンとケチャップで炒めたらおいしかったよ。
※追記:後日に作ったソーセージがこちら。まさかのバルーンアート風!