私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

サツマイモの葉っぱを育てて食べてみた

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2009年10月12日に掲載した記事の転載です。

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ずいぶんと前のことだが、東海林さだおさんの本で「サツマイモの葉っぱを食べたらうまかった」という話を読んで以来、いつか自分も食べてみたいと思っていた。しかしそれは売っているものではないので、なかなか試す機会がなかったのだが、台所に置いておいたサツマイモから芽が出ているのを発見し、自分で育てて食べてみることにした。

サツマイモの芽が出てしまった

イモやタマネギなどの常温で保存できる野菜は日持ちして大変助かるのだが、油断するとニョキニョキと芽が出てしまう。生きている植物なので育ってしまうのは仕方がないのだが、白や緑の伸びた芽を見るたびに、「ああ、またやっちゃったよ」と、自分のだらしなさを再認識してしまう。

先日も料理方法が思いつかないまま放っておいたサツマイモから芽が出てきてしまった。まあ買ってから三カ月以上も放置しておけば、そりゃサツマイモだって芽ぐらい出したくなるよなあ。

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ジャガイモはよく芽を出すが、そういえばサツマイモは初めてだ。

ジャガイモの芽は毒だというが、サツマイモの芽も毒だという話は聞いたことがない。まてよ、逆にサツマイモの葉っぱはうまいと東海林さだおの本で読んだ覚えがある。

災い転じて福となす、ピンチはチャンスだありがとう(昔、会社の研修で習った標語)。いい機会なので、せっかく出てきたこの芽を育てて、サツマイモの葉っぱを食べてみようではないか。

水栽培をしてみる

サツマイモの芽が出ている部分をイモごと切り落とし、とりあえずは台所の明るい場所で水栽培をしてみることにした。イモを収穫するのが目的ではなくて、あくまで葉っぱが狙いであるから、ヒヤシンスのように水だけでも十分に育つのではという狙いである。

ちなみに残ったイモの部分は天麩羅にして食べたが、芽が出たイモでも普通にサツマイモの味だった。

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なんだか無人島みたいですね。

毎日、水を替えながら育てること10日。水だけでも育つには育ったが、収穫するとなると微妙な葉っぱの大きさである。シソやバジルならこの量で充分だが、せっかくなので、おならが出るくらいにたくさん食べたい。さてどうしよう。

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観葉植物としてもいいかもしれない。

プランターに植えてみた

やはり大きく育てるには土だろうということで、二十日大根の栽培に失敗したプランターに植えてみることにした。

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二十日大根は残念ながら虫にやられてしまったが、サツマイモはどうだろう。

そしてプランターに芽の出たサツマイモを植えてから半月後。

水やりも雨任せにしてほったらかしだったサツマイモだが、すごい勢いで伸びてくれて、充分に収穫可能な育ちっぷりを見せてくれた。さすがは古くから食糧難の危機を救ってきたサツマイモである。ありがたく葉っぱと茎を食べる分だけ収穫させていただこう。

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ドクダミっぽいけどサツマイモです。

それにしても今までにいろいろとプランター菜園をやってきたが、一番気前のいい育ち方をする野菜だ。完全無農薬栽培が可能だし、これで食べてうまかったら最高なのだが。

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収穫中に三か所も蚊に食われたのが今後の課題です。

とりあえず油で炒めてみる

収穫したサツマイモの葉っぱだが、まずよく水で洗ってそのまま一枚食べてみたのだが、これがパセリ以上に青臭く、野菜というよりは雑草みたいな味だった。

とりあえずサラダなどの生食は不向きなことがわかった。何事も経験である。

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まあ見た目からして、生で食べるような野菜ではないよね。

サラダをあきらめたら油炒めにチャレンジ。小学生の家庭科の調理実習みたいな流れで料理をしてみることにする。

熱したフライパンに油を敷いて、ちぎったサツマイモの葉っぱと茎を炒めたら、適当に塩を振って完成。調理時間がとても短い「リアル3分クッキング」である。

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これでも料理だと言い張ります。

生食が思いっきり失敗の味だったので怖々と食べてみたのだが、これがなかなか、いや、かなりうまいのだ。本当だって。

サツマイモの葉っぱは厚みがあるので食べ応えがある。味も変なクセなどもなく、雑草ではなく全然野菜。遠くの方でサツマイモっぽい甘さを感じられるのも、昔に好きだった人の子供が見せる親の面影みたいでうれしい。そんな経験ないけれど。これならベーコンなんかと炒めたら、気のきいた立派なオカズである。もう油炒めではなく、ソテーと呼んであげたくなることだろう。

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枯れた草みたいですが料理です。

ただ、茎部分はやはりちょっと硬かった。でもまあ若い部分はまだゴボウ程度の硬さなので、柔らかい茎だけ集めてキンピラにしたらおいしいかもしれない。繊維質たっぷり。でもまあ葉っぱのほうが食べやすいかな。

サツマイモといえば天麩羅だ

油炒めの成功に気を良くしたところで、次は天麩羅である。サツマイモといえば天麩羅がうまいので、その葉っぱも天麩羅にしたらうまいだろうという、名選手の二世をドラフト指名して失敗した球団みたいな採用方式である。

表面に軽く小麦粉をまぶしたら、天麩羅の衣を薄くまとわせて油の中へ。葉っぱの面積が広いので、一度に何枚も揚げられないのが面倒くさいな。

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なんでも天麩羅にすればうまいよね。

カラリと揚がった天麩羅に、塩を振って熱いうちにいただく。するとサクサクっとした衣の中に、ほんのりと甘みのあるムッチリとした葉っぱ。なるほどこれは素晴らしい。

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だまされた、ひっかっかった、こんちくしょうと思って、一度やってみてください。

こういう葉っぱの天麩羅というと、今まで我が家ではシソの葉っぱが定番だったのだが、これからはサツマイモの葉っぱもレパートリーに加えなくては。

シソの天麩羅は香りがよくて好きなのだが、いかんせん葉が薄いので、衣が揚がる前に肝心のシソが揚げ過ぎになってしまうことが結構あったのだが(温度管理が下手なので)、サツマイモだと葉に厚みがあるので適当にやってもよく揚がるようだ。これはいい発見をした。

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アジを巻いて揚げてもうまかった。

食べても食べても増えていく

予想以上においしいサツマイモの葉っぱだが、何度も収穫できるところがまたえらい。全体の4分の1ほど収穫したサツマイモだったが、また一週間もしたら新しい葉っぱが茂っていて、この調子なら枯れるまでは楽しめそうである。

試しに裏庭にも植えてみたら、コケやシダくらいしか生えていなかった痩せた土にもかかわらず、モッサモッサと食べきれないほどに成長した。もはや隣の家に不法侵入しそうな勢いである。

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食べる速度よりも早く育つよ。

サツマイモ、食べてしまえばそれまでだけど、ちょっと土に植えておけば、しばらくはおいしい葉っぱが収穫できる。素晴らしい。ありがとう、東海林さだおさん

この回収率の良さ、せっかく苗を買ってきて育てたのに、結局実が一つもならなかったトマトにも見習ってほしいものである。

さらに料理をした記事はこちらからどうぞ。

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