私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

富山のヒスイ海岸でヒスイ探し

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2009年12月10日に掲載した記事の転載です。

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宝石の原石っていうのは、海外にいって深い穴を掘ったりしなければ手に入れられないものだと思っていたのだが、富山と新潟の県境あたりの海岸には、ヒスイという宝石の原石が打ち上げられるらしい。夢のような話である。たまたま富山にいく用事があったので、その名も「ヒスイ海岸」にいって、ヒスイを探してみることにした。

ヒスイ海岸にやってきた

ヒスイが拾えるという噂のヒスイ海岸にやってきたのはいいのだが、この日はあいにくの雨模様。今日は平日だし、こんな日は誰も海に人はいないかなと思ったが、すでに数人が海岸をうつむきながら歩いていた。

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「ヒスイ探しにチャレンジ!」という、この看板だけでご飯三杯食べられます。

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この看板を書いた子は、きっと地球を背負って立つような大人に育つことでしょう。エコエコ。

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傘をさしながら探し物をしている人がチラホラ。財布を落としたとかではなくて、ヒスイを探しているはず。

なるほど、この海岸には、雨が降っていても探したいほどの宝物が落ちているということだな。なんだかヒスイ探しを始める前からテンションが上がってきた。

海の色がヒスイ色!

さっそく傘をさしながら海に降りてみる。海岸というと普通は砂地か岩場が相場なのだが、ここはコロコロとした丸い石だらけという変わった場所。ヒスイがどんなところでとれるものなのかよくわかっていないけれど、ここならヒスイがあってもおかしくないと思えてきた。

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波打ち際を狙ってみたのだが、海に近づきすぎて波で足がびしょぬれになった。

ここはヒスイが打ち上がるというヒスイ海岸だが、海を見てみると、岸近くの水がなんとヒスイのような色をしているではないか。まさかヒスイが溶けたから、あるいは海の底がヒスイだらけだからこういう色になったという訳ではないだろうけれど、こんな色の海は初めてみる。

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見事なヒスイ色。キャンプ場も近くにあるので、今度は夏にきて泳ぎたい。

ヒスイ海岸がいつもこんな不思議な色をしているのではなく、たまたまこの日、こういう色だったというだけかもしれないが、だとしたら、なんだか今日はヒスイが拾えそうな気がするじゃないですか。ねえ。

ところでヒスイってどんな石なんだろう

さて足元にある無数の石の中に、ヒスイの原石が確実に混ざっているはずなのだが、問題は私が正解をよくわかっていないということである。

漠然としたイメージでは、透明感のある緑っぽい石だろうと思うのだが、本当にそれでいいのだろうか。ぱっと見たところそんな石は落ちていない。まあそう簡単に落ちているようなものではないのだろうけれど。最初から勾玉の形でもしていてくれればわかりやすいのだが。

とりあえずまずは勘だけで価値のありそうな石を探してみたのだが、この海岸はおもしろい石が多いので、ついヒスイっぽさを度外視して、目に付いた石を拾ってしまう。

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ほらこれ、なんとなく顔っぽいでしょ。

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これまた顔風。かわいー。

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ゴマ塩おにぎりみたいなやつ発見!

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これなんか木星っぽくない?

石拾い、楽しいなー。そういえば子供のころ、とがった石を拾って石包丁を作って遊んだっけなー。...ええと、なにしにここへ来たんだっけ。そうだ、ヒスイだ。やっぱりヒスイの原石が、どんな感じで落ちているかがわからないとダメだな。

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こういうチョコレート、ちょっと流行りましたね。

ベテランにヒスイを見せてもらった

自分だけで闇雲に探しても埒が明かないので、カッパを着ていたベテランっぽい方に、拾った石を見せてもらうことにした。

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「今日は小さいのばっかりなのよー」

本日の成果だというその石は、小さいながらも明らかに私が喜んで拾っていた石とは違った質感をしていた。まさに目から鱗である(海のそばだけに)。

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こういうのを探さなければいけないのだな。

ついでに今までに拾ったコレクションもあるというので見せてもらったのだが、これが見事だった。その透明感、ツヤ、重み、なるほどこれは素人の私が見ても価値がありそうな石達だ。

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一言でヒスイといっても、いろいろな色があるんですね。

おかげさまでようやく正解がわかった気がする。よし、もうこれでヒスイを拾ったも同然だ。

ヒスイらしき石を発見!

どんな石を探せばいいのかが、わからないのとわかっているのでは、キノコ狩りと一緒でまったく見てくるものが違ってくる。中腰になって海岸をゆっくり探し歩いていると、緑色に輝くそれらしき石をいくつか発見することに成功。もしかしたら私はヒスイ探しの天才なのかもしれない。

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この色、きっとヒスイに違いない。

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他の石と混ざっているけれど、この緑の部分はきっとヒスイ。

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でっかいやつも発見。きっと白いタイプのヒスイだ。

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これはナマコみたいだなと思った石。

結局3時間ほど夢中になってヒスイ海岸を歩き回り、妻と二人で結構な量の石を拾ってきた。中には明らかにヒスイじゃないものが多数混ざっているが、水槽に入れたらきれいかなと思ったので持ってきてみた。

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一つくらい価値のある石があるといいなあ。

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このあたりはヒスイなんじゃないかなと思うんだけど。

ろくに下調べもしていない初めてのヒスイ拾いにしては、満足の成果といえるのではないだろうか。

そしてキツネに化かされた気分になった

拾った石をビニール袋に入れて持ち帰り、家に帰って勾玉でも作ろうかなと思って取り出してみてびっくり。海岸であれほど魅力的に見えた石が、ただの石に化けているのだ。なんだか狐にでも化かされた気分である。

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ヒスイを集めたはずが、ただの石ころに変わってしまった。

愕然としたままネットで調べてみたところ、私がヒスイだと信じて持ち帰った石は、どうやら「キツネ石」と呼ばれる、濡れている時だけヒスイのように見える石だったらしい。正にキツネに化かされた訳だ。あーあ。

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お金だと思って拾ったら、実は木の葉だったみたいな話。

やっぱり貴重なヒスイを拾うのは、素人がちょっと探したくらいじゃ難しいか。でもこのキツネ石だって濡れた状態だったらきれいなことは確かなので、水槽に入れて楽しむにはちょうどいいかな。

でももしかしたら、この中に一個くらいは本物のヒスイが混ざっているんじゃないかなと、今でも思っていたりする。

 

 

 

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