『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2013年9月13日に掲載した記事の転載です。
佐渡島で行われた、子供たちに地元の海の豊かさを体感してもらうための、自然体験学習という名の一日素潜り漁体験に参加させていただいた。
佐渡島で憧れの素潜り漁体験
以前、佐渡島でインタビューをさせていただいた地域おこし協力隊の木野本さんに、また佐渡旅行にいきますよと連絡をしたところ、ちょうど私が行っている間におこなわれる魅力的なイベントのお誘いをいただいた。
それは木野本さんが担当している鷲崎地域の若手から中年を中心として、地域活性化や地域環境の保全、子供達の育成を目的に結成された「しただめ会」が主催する、地元の住民や地域に縁のある人たちの親睦会。
ちなみに「しただめ」とは、佐渡の海で採れる小さな巻貝の名前である。
これが「しただめ」。佐渡だとスーパーとかにも売っているメジャーな貝で、小さくてもおいしい。
普段は草刈りや海岸清掃などを行っているそうだが、今回は地元やこの地域に縁のある子供たちに佐渡の豊かな海を知ってもらうために、サザエの素潜り漁体験をするそうで、木野本さんは本日の幹事の一人なのである。地域おこし協力隊になってまだ一年も立っていないのに、ものすごい地元への溶け込みっぷりだ。
サザエといえば、漁業権のない人が獲ってはいけない貝なのだが、この日だけは漁協や漁師の協力を得て、憧れの素潜り漁体験をさせてもらえるのである。
これは海好きとしては願ってもないチャンス。これは子供向けのイベントだし、私は佐渡の住民でもないけれど、もう佐渡に来るのも四回目だし、佐渡市の準市民だし、サザエは好きだし、心はまだ少年だし(うそ)、この佐渡という場所に強烈に縁を感じているということで、家族でこのイベントに混ぜていただいた。
子供たちに海をもっと身近に感じてほしい
素潜り漁体験の場所は、崖に囲まれているために船でしかいけない場所にある入り江で、この場所にきただけでもう大興奮。夏休みの思い出作りにはぴったりの場所だ。
船でしかいけない入り江へ。この時点で大興奮。
佐渡の海岸って、場所によって全然表情が違って、どこもかっこいいんですよ。
海を愛するしただめ会の会長の話では、今は漁師の子供でも、佐渡の海で獲れる新鮮な魚介類よりも、ハンバーグや焼き肉などの肉料理が好きなのだそうだ。
サザエ漁師の子供なのに、サザエを一切食べようとしない子供もいるのだとか。
中央の赤いシャツの方が、しただめ会の会長。
会長が子供のころは海が一番の遊び場で、ちょっと潜れば見つかるしただみやサザエ、モリで突けるクロダイやイシダイなどはとても身近な存在だったのだが、今の子供たちは地元の海にそういった貝や魚がいるということに現実感がなく、それが寂しいのだという。
そこで普段は漁業権の問題で子供でも勝手にサザエを獲ったりはできないのだが、一日くらいは安全な場所でたくさんの大人が見守りながら自由に獲らせてあげることで、海をもっと身近に感じさせて、地元に愛着を持たせるというのが今回の狙いなのだ。
子供たちは一目散で海へ。
生き生きと海で遊ぶ子供たち
入り江に上陸すると、子供たちはさっそく海へと元気に入っていき、足がつく場所でも見つかるしただめを獲ったり、ちょっと潜るのが得意な子はサザエを獲って自慢したりしている。
自分で潜ってサザエを獲ったなんて、子供にとってはオオクワガタ(はちょっといいすぎか)を捕まえたのと同じように、最高の勲章となるのではないだろうか。
夢中になって潜りつづける子供たち。
大人たちは焼きそばを焼いたり、のんびりとビールを飲んだり。
今の子供は海と触れ合うきっかけがなかなかないだけで、海に潜ったり生き物を捕まえたりすることは、本能的にやっぱり多くの子供は好きなのだと思う。子供のうちに一度でもこういう体験をするのとしないのでは、今後に大きく影響するはずだ。
私は埼玉育ちでこういう体験を子供の頃にしたことがない反動で、大人になってから海で遊んでばっかりいるけれど(もともとカナヅチだったのだが、どうしても素潜りがしたくて、大人になってから水泳教室に通って泳げるようになった)、もし海育ちでこんな体験をして育っていたら、もっと海で遊んでばっかりになったかもしれない。
獲れたてのサザエは当然おいしい
子供たちが頑張って獲ってきたサザエは、その場で豪快に壺焼きでいただいた。しただめはさっと塩茹でで。さらに会の漁師さんたちが用意してくれたアワビやイワガキなども加わって、最高に贅沢な海鮮バーベキューとなった。アワビってちゃんと食べたのは今回が生まれて初めてかも!
自分たちがとってきたサザエやしただめを、こういう場所で食べてまずい訳がない。普段はあまり魚介類を食べないという子供たちも、この日ばかりは我先にと食べていたようだ。
漁師さんが用意してくれたアワビやイワガキなども加わった超豪華バーベキュー。
カラスガイとかムールガイとかムラサキイガイとか呼ばれている貝を茹でたものもうまかった!
そしてあいにくの雨が降ってきても、子供たちはなかなか海から上がろうとせず、ギリギリまで素潜り体験を満喫していたので、この会は大成功だったのだと思う。
子供たちにとっては(私にとっても)最高の夏の一日。
佐渡の海、最高です
せっかくの機会なので、私も素潜り漁に参加させていただき、憧れのサザエをちょこっとだけ獲らせていただいたので、その写真をご紹介します。
泳げるようになってよかった!
派手なサンゴとかはないけれど、佐渡の海の透明度は素晴らしいです。
さっそくしただめを発見!
奥にムラサキウニが見える。あまちゃんになった気分だ。
こちらはカメノテ。本当に亀の手みたいでかっこいい。
そして海底で憧れのサザエを発見!大興奮!
この日は前日に大雨が降った影響で少し濁っていたのだが、それでもやはり佐渡の海はきれいで、たとえこの日のように獲ることが目的ではなくても、素潜りでサザエやウニを見つけることができるというだけで十分楽しいのだと思う。でもやっぱり獲っていいとなると、さらにうれしいかな。
佐渡島にくるのはすでに4回目なのだが、さらに佐渡島に好きになってしまった。