※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2012年10月9日に掲載した記事の転載です。
みんなで持ち寄った手作りチェッロで、どれが一番おいしいかを決める品評会をやってみた。これでチェッロの最強レシピがわかるはずだ。
我が家のチェッロが日本一!だと思う人の会
以前、チェッロの作り方を当サイトで紹介させていただいたが、あの辺りから友人たちが一斉にオリジナルのチェッロを作り始めた。
ざっくり説明すると、チェッロとは柑橘類の皮をアルコール度数の高いお酒で漬けたリキュールのことで、イタリアのレモンチェッロ(イタリアっぽくいうならリモンチェッロか)がその源流。
なかなかインパクトのあるお酒なのだが、無農薬の柑橘類さえ手に入れば、オリジナルで作るのは難しくない。とかいって、まだ2回しか作ったことはないんだけど。
チェッロ作り、楽しいよ。
手作りのチェッロは、とてもかわいい。そりゃもうかわいい。となると、他の人が作ったチェッロと比べたくなるのが人情というもの。使用する柑橘類の種類や砂糖の量などで、味がだいぶ変わってくるらしいのだ。
ということで、手作りチェッロのオーナー達が集まって、誰のチェッロが一番美味しいのかを決める品評会がおこなわれることになった。
これによって、自分の本当の好みと、最強のチェッロレシピが判明するはずだ。
会場は友人のミーヤン・ヨヨさん宅。枝ごと干された干しブドウを出されて、「お、これがホームパーティーってやつか!」って思った。
集められて冷凍庫で冷やされる自家製チェッロ達。
チェッロ品評会のルール説明
チェッロ品評会のルールは、誰が作ったチェッロなのかがわからないように、みんなのチェッロ師匠であるマリエ先生が代表してグラスに注いで並べ、それを各自で飲み比べて美味しいと思ったものに、3点、2点、1点の札をつけていくというもの。
集まったチェッロは15種類にも及び、使われている柑橘類も、レモン、夏みかん、黄金柑、八朔、甘夏、鬼柚子、日向夏と様々。基本的には手作りチェッロの会なのだが、「そんなの面倒臭くて作れるか!でもその会には参加したい!」という声もあり、市販品が2種類混ざっている。
本日の参加者すべての師匠である(市販品持参者除く)マリエ先生が準備を担当。
別室で牽制しあう参加者たち。自分がどんな柑橘類を使ったのか事前に話すかどうかで性格が出るな。
美味しかったチェッロに、この3枚の札を置いていく。
予想以上に味が違う
準備万端整ったところで、片っ端から試飲スタート。さすがはみんなが愛情込めて作ったチェッロだけあって、どれも方向性は違えど個性たっぷりのうまさだ。これは厳正に審査をしなくては。
とはいっても、相手は強烈な柑橘の香りと40度近いアルコール度数を誇るチェッロ様なので、飲み比べていく程に舌と鼻と脳がやられていく。ちなみに品評会とは名乗っているが、飲まずに吐きだすという選択肢は誰も持ち合わせていない。
この中から自分好みのチェッロを見つけ、次回はそれを参考に仕込むというのが裏テーマ。
水をガブガブと飲みながら、どうにか正気を保って審査を続けるのだが、これがなかなか難しい。
グラスによって色の見え方が全然違うし(別に色は審査対象ではないが、やっぱり大事だよね)、口に入ってくる量と勢いで味も香りも印象が変わってくる。試飲って奥が深いね。
この2つは同じチェッロなのだが、グラスの違いで色が全然違って見える。
そして飲んだ時の温度がまた大事。個人的な好みを言えば、チェッロはキンキンに冷やして飲むの一番。となると、どうしても後から試飲したものはぬるくなっているので、その点で不利だったかもしれない。みんな味が覚えられないと大騒ぎ。
こんな感じのゆるい品評会なので、好みのチェッロがわからないかというと、そんなこともなかったりする。やはり好みの香り、味、濃さというのはあるようで、何度か試飲を繰り返していくうちに、自分の好きなチェッロがだんだんとわかってくる。どうやら私は単純に飲みやすいのが好きなようだ。
やっぱり酒でも食べ物でも、いろいろな種類を一度に食べ比べるのって楽しい。一つ深い段階でそのものの味を知ることができるような気がする。まあ次の日には全部忘れてしまうんだけど。
ところでこれまで自分が作ったチェッロが一番うまいと信じていたのだが、どれが自分のチェッロなのかが全く分からないという、舌と鼻の馬鹿っぷりに驚いた。
これが私の採点表。自分のチェッロは13番だったのだが、「甘こい(甘くて濃すぎるの略)」と、40点にしていた。えー。
注目の結果発表
一通りの試飲が終わったところで、マリエ先生によって集計がおこなわれた。気になる結果だが、圧倒的大差で、ヨヨさんの日向夏(ひゅうがなつ)とレモンのチェッロが優勝。確かにこれはうまかった。
私のチェッロは1点のみ!
日向夏とは、皮に苦味や渋みが少なく、白いフカフカした部分もおいしい柑橘類らしい。皮のみを使うチェッロは、この苦味の少ない日向夏との相性がいいのかもしれない。2位となったチェッロも、日向夏とレモンの組み合わせだった。柑橘類を組み合わせるなんていう発想がなかったよ。
優勝したチェッロは、皮を一日漬けた後、新しい皮と交換してもう一日漬けるという、贅沢な追いガツオ方式。さらにチェッロとしては邪道なのかもしれないが、たっぷりと果汁を入れて仕込んでいるのが特徴だとか。
これによって、濃厚な柑橘の香りと、果汁のさっぱり感を両立させることに成功したようだ。
結果発表後は、氷を入れたり炭酸で薄めたりして、もう一度チェッロを楽しんだ。
確かにこのチェッロは飲みやすく美味しかったのだが、これは常温に近い温度をストレートで、さらに他のものと比べて飲んだ上での評価であって、たとえばキンキンに冷やした状態だったり、炭酸で割って試したり、飲み比べるのではなくそれだけを食事と一緒に味わうのであれば、もしかしたら評価は違ったのかもしれない。はい、負け惜しみ。
改めて私のチェッロを飲んでみると、実を食べても酸っぱい夏ミカンの皮で作っただけあって、苦味と青臭さが一番強かった。しかしこれも個性の一つ。冷たいグラスで少量をキュッとやったり、炭酸で薄めて飲むと、なかなか美味しいチェッロなのである。
余った全部混ぜてカルピスで割ったやつが一番おいしかったそうです。私は飲み過ぎてダウン。
結論としては、みんな違って、みんないいチェッロだった。たぶんどれもチェッロを知らない人に飲ませれば、感動してもらえるレベルにあったと思う。
でもやっぱり優勝したチェッロは美味しかったので、次は私も日向夏の皮と果汁を使って、飲みやすいチェッロ作りに挑んでみようかな。