プロレスが昔から好きなんですが、好きって言っても試合は年に数回しかいかずに、週刊プロレスとか週刊ゴング(廃刊)とか東京スポーツのインタビューなんかで、大河ドラマ的に流れを追っていくタイプの暗い活字プロレスファンですが。試合内容よりも試合に至る流れが好き。
ということで、こちらの本を買いました。わーい。
皆さんご存知、全日本プロレスの四天王プロレスを支えたレスラー、川田利明の新書です。
『開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学』
はい、タイトルがすべてです。
内容は「失敗したこと、上手くいかないこと」が延々と書かれていて、ラーメン屋には絶対なるまいと思わせてくれる本でした。いやその気はないんですけどね。
ラーメン屋は日本に3万軒もあり、毎年3000軒が生まれ、毎年3000軒が消えていく商売。3年以内に8割がつぶれる理由がよくわかる。まー、大変だわ。
10年経っても成功の気配なし、維持だけで続けているラーメン屋。3台のベンツを売り払い、生命保険も解約してスープを仕込む元プロレスラー。いや、引退をしていないので現役なのかな。
1000万円でも足りない開業資金。
提供する側とされる側の視点の違い。
ラーメンを食べた方に無料でカレーをサービスした際の顛末。
友人からの「店をやったほうがいい」を鵜呑みのするな。
お客さんは店の手間にはお金を払わない。
味なんて店の評価の一割だという現実。
ラベリング効果の恐ろしさ。
カウンターに長いするファンの厄介さ。
一部の厄介な人のために増えていく張り紙。
重い文章のパンチラインがローキックのようにズシンと効きまくる。
下積みを経て、プロレスラーとしてメインイベンターとなった川田さんだからこそ、
ラーメン屋をやってもどうにか10年続けられる(成功はしていないそうだ)という現実。
プロレスファンの視点としては、
不器用じゃない、器用なんだというアピール。
馬場、三沢、天竜、冬木といった関わり深い選手たちのエピソード。
ちょくちょく入る新日本プロレスとの待遇の比較。
なんていうのが萌えポイント。
雑誌を通じて知った川田さんの性格や噂と重なって、すごくキュンとする。
趣味で自作ラーメンをするため必要な情報は一切書かれていないけれど、趣味が高じて店を開こうとする人の抑止力としては最高の本だと思う。
個人的に驚いたのが、一番の売りがカレー白湯ラーメンという事実。乾燥状態から仕込みに三日かかるメンマ、油をあえて一部継ぎ足している唐揚げと一緒に、今度食べにいこう。
何年先か、何十年先か、川田さんがギブアップをして店を畳んだ時、あるいはギブアップではなくタイムアップとなったとき、ようやくこの本は完結するのかな。
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