ノカンゾウとヤブカンゾウが咲いていた
昨年の7月中旬、標高600メートル弱くらいのところでカンゾウの花を見かけた。
カンゾウは新芽がおいしい野草。そういえば日本には自生していないホンカンゾウの蕾は、中国料理とかだと「金針菜」といって、食べられるんだったっけ。どっかの台湾料理屋で炒めたやつを食べたな。味までは覚えていないけど。
確か日本のカンゾウにはノカンゾウとヤブカンゾウがあって(他にもハマカンゾウ、トビシマカンゾウなど)、その蕾もおいしいとか。……これはどっちかな。
(スマフォで調べて)花弁が6枚だからノカンゾウか。このようにきれいな花は咲くけど、あまり種はできなくて、主に地下の根茎や球根から増えるらしい。じゃあなんで花が咲くんだろうね。
「カンゾウさん、カンゾウさん、そのお花はなんで咲くの?」
「それはお前に食べられるためだよ!」
こっちは花弁がたくさんの八重咲だから、ヤブカンゾウか。
八重だからヤブと覚えた。中国原産の多年草。
ヤブカンゾウは三倍体で結実しないから、種はまったくできないとか。
じゃあなんで花を……
左がノカンゾウ、右がヤブカンゾウ。
せっかくなので、蕾を少々いただく。
あ、なんかいる。
お、おう。
アブラムシさんがいないところを選んでチョキン。
カンゾウの蕾を食べてみる
アブラムシ先輩もいらっしゃったので、とりあえずよく洗う。
ノカンゾウとヤブカンゾウ、味比べをしたいところだけれど、混ざっちゃうとわからないですね。
どうやって食べるのかな。
とりあえず1分ほど茹でるか。
水でさらす。
並べてみた。
どれくらいが美味しいんだろう。
食べてみると、意外にもアスパラガスのシャキっとした縦に繊維が入っている食感と甘み、そこにエンドウマメの旨味と甘さ、ツルムラサキの滑りと少々のアクを足した感じ。新芽の味の延長線だけど、蕾なのでやっぱりちょっと違う。
あー、おもしろい。おいしいなこれ。これ野菜好きが好きな野草だ。
成長具合による違いは……基本同じ味かな。
小さいほうがシャキシャキ感があって、甘さが強い気がする。
大きいほうは柔らかくてうまい。そして量が多い。
どっちもおいしい。
花粉が苦いかなと思ったけれど、そんなこともなかった。
次はオリーブオイルで焼いて、ペコリーノ・ロマーノ(ヤギのチーズ)で味付けしてみよう。
うわこれ、めっちゃ合う。
白ワインください。
疲れないけど心地よい噛み応えに、いろんな野菜に似ているから馴染みがあるけど新鮮な甘みと旨み。
なるほどー、近所に生えていないかな。
今度は5分ほど蒸してみる。
水分が抜けた感じに仕上がった。
味は水っぽさもなく上々。
味は茹でたものに似ているけれど、やっぱり味が濃い気がする。
でも茹でたほうが瑞々しいかな。
こちらは生の蕾をフードドライヤーで干したもの。
冷凍保存しておいたものを、胡麻油で焼いて醤油。
うまい。繊維が強くなって、キュウリの古漬け感がでた。
これはこれでいいけれど、やっぱり新鮮なものがいいかな。
新鮮なうちに食べられるくらいを採ってくるのがよさそうだ。
今年もノカンゾウの蕾を見かけた
で、2020年の7月中旬。
去年カンゾウを食べたことをすっかり忘れていたけれど、たまたま見かけたので思い出した。
そうだ、私はこれが好きだったんだ。
この日はノカンゾウばっかりだった。
どれくらいの蕾がおいしいんだっけと、過去を忘れた男は思う。
このくらいの開きかけでも食べられるんだっけ?
某Pさんから、とあるちょっと高級な焼き鳥屋さんでは、金針菜を串に刺しで焼いて出すと聞いたので、それを作ってみた。
小さめと中くらいをそれぞれ刺して、魚焼きグリルで焼く。
串の持ち手が焦げたよね。
塩をパラリで食べてみると、シャクシャクシャク。
そうだそうだ、このアスパラみたいな食感と甘味が金針菜の味だった。
これいいわー。蕾三つくらいまとめて口に入れると幸せ。
醤油をかけるともっとうまい。甘さがぐっと引き立つ。
この食べ方だと、硬くてしっかりした小さいものがうまいかな。
その数日後、そういえば咲く寸前みたいな蕾がまだあったなと思い出す。
どうしよう、これ。串には刺さらなそうだし、焼くか。
胡麻油で刻んだニンニクを炒めて、そこに蕾を入れて、味付けは塩と醤油少々。
あんまり期待せずに食べたら、なんだこれすげーうまい。
さすがは開きかけ、花粉の効果なのかな。独特だ。
甘み、苦み、香り、最高。ちょっと漢方っぽさもある。
この花粉で黄色くなった油がうまいんだよね。
ちょっと下品に皿を舐めそうになったけれど、大人なのでパンを焼いで吸わせちゃうぜ。さらにマーガリンも追加しちゃうぜ。
カンゾウ、記憶よりもおいしかった。
また来年見掛けたら、食べる分だけとってこよう。
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