私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

佐渡島・小木の創作レストラン「Origine(オリジヌ)」の秋メニューを食べてきた

 

 

 

 

佐渡島に行ったら、南部の小木地区にある「Origine(オリジヌ)」という創作レストランに行くと決めている。

前回行ったのは今年の夏、七月。

店の説明とか食べた内容はこちらの記録でどうぞ。

blog.hyouhon.com

 

そして今回は秋、10月。

黒板に日替わりのディナーメニューを書くのはやめたそうで、なにが出てくるのかはまったくわからなくなった。

予約時に食べられないものがあるかだけ聞かれる。

 

前回同様、ドリンクはお任せでワインをいただいた。

まずはスパークリングで乾杯。

 

R113 2022 KIYO wines X Fattoria AL FIORE という無濾過の国産ビオワイン。

「これはどんな意味でしょうか?」というナゾナゾのようなラベルが印象的。

「R113」は国道113号線という意味で、黒い線はそのルートでした。

製造場であるMeglot(宮城県柴田郡川崎町)と、販売者のKIYO wines(新潟市中央区)を結んでいるのかな。アルコール度数が9度とワインとしては抑え目で、食前にぴったり。

 

テーブルの上のアケビは、若き米農家の伊藤さんが持ってきたもの。

飾りのようだが食べたら怒られるだろうか。試しに食べてみればよかった。

 

野菜と魚介の前菜

一皿目は野菜と魚介の前菜。

 

小木港で水揚げされたヒラメのタルタルは、小木産の青柚子でさっぱりと。

本の数時間前に釣れた小振りのアオリイカは、奥行きのある甘さでとても柔らかい。

 

いや、釣れたらいいなーくらいの気持ちで、時間つぶしにエギを投げたら釣れたので、シェフに無理を言ってメニューに入れてもらったんですよ。おいしく料理してもらえてうれしい。

 

そしてヒラメが乗ってる半円柱は羽茂産のマコモダケ。これがまあすごかった。

何度か台湾料理などで食べたことがあるけれど、このように焼いただけのマコモダケがなんともうまいとは。トウモロコシのように甘く、歯ごたえがザクザクで気持ち良い。大振りに切って焼くだけだからこそ味わえる素材のポテンシャル。

これの生産者は知っている方なので、来年はマコダケ畑に連れて行ってもらおうかな。

 

季節野菜の盛り合わせ

二皿目は季節の地元野菜を自家製柿酢のドレッシングで。

ツルムラサキ、サラダカラシナ、シシトウ、レンコン、ラデッシュ、ルッコラ、カリフラワー、カブのムースなど。

 

八幡芋という砂地で育つ在来種のサトイモがミチっとしてうまい。

 

小さなナスの味が濃い。そういえばナスってこういう味だった。

 

野菜が全部うまい。もう満足した気分。いやまだ食べるけど。

 

キツネの絵がかわいい白ワイン。

フランスの La Renaudière 2020。

 

ブリのソテー

魚料理は先日あげたイトマキエイ……ではなく、両津に水揚げされたブリ。

この時期のブリなので脂は控えめ。だからこそ、こんがりと焼かれたカリっとした食感が生きてくる。

佐渡の魚が一番おいしいのは寒い時期ともいわれている。これからやってくる冬に期待感をいだかせてくれる一皿に、「一緒にブリ漁の定置網に乗りましょう!」と目を見ていうシェフの言葉は本気なのだと覚悟を決める。

緑はシェフが畑で育てた春菊、生のオレガノ。ソースは小木のミカン、赤泊の南蛮海老という意外性のあるペアリングに心がステップを踏む。

 

赤ワインは LES FOULARDS ROUGES. LA SOIF DU MAL VIN DE FRANCE 2022。

 

佐渡牛のグリル

肉有りのコースを選んだので、メインは佐渡牛の内もも。

こんがり焼き目をつけた塊肉をオーブンで温め、仕上げに燃やした藁の香りを纏わせるオリジヌの名物料理(たぶん)。

 

完璧に火を入れられた肉は、心地よい嚙み応えがあるけれどとろける柔らかさという、相反する歯ごたえを実現している。どういうことだ。

 

付け合わせはシェフの友人が採ってきてくれたという佐渡産の天然キノコ(アブラシメジ、ヌメリササタケ、ウラベニホテイシメジ、サクラシメジというマニアックなラインナップ)のソテーと原木椎茸のデュクセル。野性味を感じる苦味、深味、雑味は大好物。

この数日後、唐突にキノコ狩りに誘われたけれど、ちょうどその時間が大雨だったので日和って遠慮してしまったが、来年は万全の準備をして是非行きたいところである。

 

T&Mのマーカスが焼いた松の実などが入ったライ麦パンが、染み出た肉汁とキノコ汁に合う。

 

イクラご飯

締めはまず炊き立ての白米を一口。うまい。

ちなみに伊藤さんの田んぼはまだ稲刈りが終わっていないので、前回と違って伊藤さんではないお米である。

伊藤さん、がんばれ。

 

腹加減を確認されて、再びごはんを盛られる。

ごはんの友はまたカレーかなと思ったら、今日はなんと佐渡産のイクラの二種盛り。まだ未成熟で皮が固くなく、噛むととろけて白米を包み込む。

左は佐渡の地酒である金鶴と醤油でキリっと、右はイタリアの白ワインに栃の花のハチミツと醤油でフワっと。それぞれが炊き立ての新米の旨味を別方向から引き立てる。これは贅沢な食べ物だ。

 

モンブランのようなもの

デザートは……なんだこれ。

パルミジャーノレジャーノ?

リゾットでも食べさせてくれるんですか?

 

ではなくて、栗をすりおろした「モンブランのようなもの」だそうです。

中身は栗、生のイチヂク、秋映(あきばえ)というリンゴのワイン煮、全体を繋ぐホイップクリーム、そしてサクサクのパイ生地。

余計な甘さを控えて素材の味を前に出すスタイル。たくさんの食感と季節感がひと匙ごとに運ばれてくる喜び。佐渡に来ているんだなーとしみじみ。

 

ということで、秋のOrigine(オリジヌ)もおいしかったです。

やっぱり春夏秋冬の季節ごと、いや二か月に一度、なんだったら毎月、この店で佐渡の風土を味わいたいですね。そういう仕事がないかなー。

 

ちなみに諸事情で翌々日にまたディナーをいただいたのですが、まったく違うコースの組み立ててでした。

 

■origine(オリジヌ)/Instagram

 


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