私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

古民家を利用した山形の宿「タガマヤ村」

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2010年4月26日に掲載した記事の転載です。

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山形に住む友人から、古民家を使った貸切宿の素晴らしさを力説された。ものすごくいいらしい。そこまでいうならといってみたのだが、これが今までに泊まったどんな宿とも違って楽しかった。

古民家の宿、タガマヤ村

埼玉からはるばる「宿に泊まること」を目的としてやってきたのは、山形県の中山町にある「タガマヤ村」。決して近くはないけれど、山形市と隣接した町なので、ものすごい遠いという程でもない。

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こんな景色だけど、山奥というほどの場所ではない。

友人から宿の噂は聞いていたが、予想以上に規模が大きく、そして想像以上に楽しそうな空間である。季節外れの雪の影響もあってか、雰囲気は私のイメージする山形の古民家そのままの姿。中からおしんが作る大根飯の匂いがしてきそうである。

この訪れた人を無条件でワクワクさせるタガマヤ村を管理している半助さんに、いろいろと話を伺ってみた。

タガマヤ村の管理者に話を聞いてみた

---ここは、宿なんですよね。普通の家でも、文化財でもなくて。

「私の家は隣なんですけど、ここは空き家になって二年くらい経っていたんです。それが売りに出たので私が買って、去年から宿として使い始めました。畑付きの1500坪。こういう物件の価格って、建物は古すぎて値段がつかないから、ほとんど土地だけなんですよ。この古民家は大正初期で築100年くらい。買ってからは少しきれいにしたくらいで、ほぼそのまま使っています。」

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管理人の半助さん。

---しかしなんでこの古民家を利用して宿をやろうとしたのですか。

「もともと古いものが好きで、骨董とか古い看板などを収集していたんですよ。それを利用してなにかやりたいなあと思っていて。この辺は古民家だらけなんですが、人がいなくなった古民家は維持費を考えると潰すほうが早いから、どんどん壊されていってしまう。なにかうまい使い方を考えると、ずっと残せるんじゃないかなと。」

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半助さんが今までに集めた古物が古民家と相まって、居心地のいい空間を作っているのだ。

---家は人が住んでいないと痛むっていいますからね。この古民家はずいぶん大きいですけど、何人泊まれるんですか。

「ここは20人まで泊まれます。自炊をする宿で、一日一組限定の完全貸切。」

---自炊ができるのっていいですね。しかも完全貸切で。地元のスーパーや道の駅とかで食材を買って、自分達で料理するのって楽しそう。

「季節によってはこの敷地内で採れた野菜や果物もびっくり価格で販売しています。食器や調理器具も全部無料で使えるし、バーベキューもできます。宿泊料金は基本料が10,000円ありまして、一人追加ごとに週末なら2,000円(土日祝前日およびGW・夏季ハイシーズン・お盆・年末年始)。だから四人だったら合計18,000円。平日だと1,000円なので、四人で14,000円。多く泊まれば泊まるほど割安になります。あとは暖房費を実費いただいています。※取材当時の金額です

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大人数での料理も大丈夫な広いキッチン。自炊ができる宿って素敵。

---割り勘にすると、かなり安い金額ですね。

「料金が安い分、布団はお客さんに上げ下ろししてもらい、最後に軽く掃除してもらいます。私は子供会とかスポーツ少年団をやっているんですけど、みんなで泊まろうとしてもなかなか安くていい宿がなくて。そういう時、こういうのがあればなっていう思いでやっています。」

---なるほど。大人はもちろん、子供も絶対喜びますね。冬も借りられるのですか。けっこう寒そうですけど。

「はい。やっぱり夏の方が利用は多いですけど。暖房は完備していますから、家の中にいてめちゃくちゃ寒いっていうことはないと思いますよ。」

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玄関をあけてすぐにある囲炉裏。火をいじりながらの晩酌が最高。

---トイレとかお風呂も昔のままですか?

「それだとやっぱり嫌がる人もいるから、そこはきれいにしてあります。内風呂以外に露天風呂も作ってみたんですけれど、なかなか沸かないですね。夏は水浴びなんかにいいんですけど。まあ、車で20分以内のところに安く入れる温泉が何箇所もありますから。」

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子供が大喜びしそうな露天風呂。

---ところでタガヤマ、じゃなかったタガマヤ村の名前の由来は?

「山形の反対でタガマヤ。たとえばここを知って誰かに伝えるときに、『山形の反対だよ』っていえば忘れないじゃないですか。夏場は宿だけではなく、ここで流しラーメンもやっています。この古民家という場所を使って、なにができるかいろいろ考えているところです。」

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流しソーメンではなくて、流しラーメンらしいよ。夏にまたこようかな。

 

この日、カメラに写ったもの

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ここが母屋。屋根は茅葺の上からトタンの瓦をかぶせたもの。

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古民家は火事が一番怖いので、煙草は喫煙コーナーでのみ。

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カメラを部屋に置いておいたら、誰かが勝手に撮った謎の写真。

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宿の広さは20人が泊っても十分余裕。

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座敷わらしでも出てきそうな雰囲気。

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敷地内にある謎の建物。ホーロー看板は半助さんが集めたもの。

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建物の中にはまさかの卓球台。ラケットやピンポン玉も完備。

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敷地内には立派な蔵もあり、ここも自由に使える。

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蔵の一階。こんな秘密基地が欲しい。

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蔵の二階。涼しいので夏におすすめの場所。

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風呂場をみてびっくりした。まさかのファンシー。

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子供のころに憧れたツリーハウスもある。

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ゲームの世界だったら、この中には素敵なアイテムが入っている。

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なぜか勉強部屋もあった。宿というよりも親戚の家に泊りに来た気分になる。

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雪の積もったバーベキュー場。これじゃ肉が焼けない!

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と思ったら、卓球場の前に屋根付きのスペースを用意してもらっていた。

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普通の宿や居酒屋では出せない「親戚の集まり」みたいな雰囲気。こういう飲み会、いいよ。

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そして夜はしっかりと暗い。

 

きっとなにかをしたくなる宿

住む人がいなくなり、取り壊されるかもしれなかった古民家が、誰でも、それも大人数で泊まれる稀有な宿に生まれ変わった。半助さんのアイデアと行動によって。

タガマヤ村は私の家からかなり離れた場所にあるけど、この宿に泊まることを目的に、また友達を誘って訪れたいと思える宿だった。

ここに一度でも泊まると、次をなにか企画したくなる。そしてきっと、ここでならなにをしても楽しいと思う。私はここでかくれんぼ大会がしたい。ちなみにこの取材の時は、単純に飲み会だった。それもまたよし。

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それにしてもまさかの雪でした。

問題は、タガマヤをタガヤマとかタマガヤとか微妙に間違えることか。この記事を書いていて五回くらい間違えたよ。今回この宿を教えてくれたイツミ君も、ずっと「タガヤマ村」っていっていたしね。

【参考サイト】
タガマヤ村公式HP

※現在はものすごく予約がとりづらいみたいです。

 

 

 

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