※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2013年4月9日に掲載した記事の転載です。
チリメンジャコに入っている小さな生き物、通称チリメンモンスターを探す大人の集いに参加してきた。
大人だって探したい、チリメンモンスター
子供の頃、シラス(チリメンジャコ)の中に混ざっているカニやタコなどの小さな生き物を探したことはないだろうか。
シラスはイワシの稚魚なのだが、捕獲する際は当然イワシ以外の生き物が混獲される。その混獲された生き物たちをチリメンモンスター(略してチリモン)と呼び、それを観察する会が各地の水族館などで行われているが、そのほとんどが小学生以下を対象としたものである。
しかし、大人だってチリメンモンスターを探したい。大人にだってチリメンモンスターを探して興奮する権利があるはずだ。そんな想いが高まって開かれた、大人向けのチリメンモンスターを探す会に参加してきた。
大人のための観察会を主催した、博物月報というサイトを運営している盛田さん。
教科書となるのが、この「チリメンモンスターをさがせ!」という本。
- 作者: 日下部敬之,きしわだ自然資料館,きしわだ自然友の会
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 大型本
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チリメンモンスターを探すにあたって、普通にスーパーなどで売っているシラスやチリメンジャコだと、お目当ての混ざりものがほとんど入っていないので(製品として質がいいということなのですが)、チリメンモンスターを探すために専用で売られている無選別状態のチリメンジャコを、カネ上というところから主催の盛田さんに取り寄せていただいた。
確かにチリメンモンスターを探す専用のチリメンジャコというだけあって、見るからに混ざりものが多い。ふりかけのようにカラフルである。
レアなキャラがいるといいな。
チリモンに夢中になる大人たち
分け与えられたチリモン観察用のチリメンジャコを覗き込み、イワシ以外の生き物を探していく。さすがは専用のチリメンジャコだけあって、探すまでもなくイワシ以外の生き物がこれでもかと混ざっているのだが、その混ざりものの中でも、レアっぽいもの、形が完璧なものを求めて、大人たちが真剣になっての宝探し。
見つけ出した生き物の名前を本で確認しながら夢中になって選別をしていたら、2時間があっという間に過ぎていった。これはハマる。お酒を飲みながらだと無限にできる。宝石の原石を採掘したり、化石の発掘をしているような楽しさが、手の平サイズで味わえるのだ。
この作業をしていると、我々が食用としている魚の最小単位であるチリメンジャコよりも小さな生き物が、海には無数にいるのだということが実感できるので、子供向けの教材として人気が出た理由もよくわかった。
つい先日、手塚治虫の代表作である「火の鳥」を読み返したばかりなので、この中に自分の前世だった生物と同じものがいるのかもしれないな、なんて思ったりして。
みんな超真剣。
ルーペでのぞいているだけでも楽しい。
これはカワハギかな。
この赤い魚はなんだろう。
シャコの仲間かな。昆虫みたいだ。
この大物はタチウオだな。
極小サイズのアジの干物。
レアキャラを発見して大興奮!
各人がブツブツ言いながらチリモンを選り分けていると、一人の参加者がガッツポーズをした。チリモン界ではみんなのアイドルとなっている、タツノオトシゴを発見したのだ。
正直とてもうらやましい。このうらやましさは、チョコボールの金のエンゼル、あるいはビックリマンチョコのヘッドシールを目の前で当てられたような、なんだか懐かしいうらやましさ。
冷静になって考えると無価値なのかもしれないが、共通の価値観の中では宝物ともいえるものを探す感じが、とても心地よかった。
タツノオトシゴを発見してガッツポーズする参加者も。うらやましいなー。
つまみは一緒に取り寄せたシラス佃煮とイカナゴ釘煮。
この星模様はエソだそうです。
この赤いヒレを持つ魚はなんだろう。
タコかな。イカかな。
これはヒイラギだな。
右を向いているからカレイかな。
なにやら虫っぽいものも混ざっていた。
ちなみにこの日、私が発見したチリモンで一番のレアキャラは、口の長いヤガラだった。尻尾の先まで揃ったなかなかの美品である。
せっかくなのでどうにかして保存したいところだが、今この瞬間だからこその価値であり、家に持ち帰ってもただの雑魚に見えてしまうのかもしれないなと思って、せっかくなので食べた(チリモン用のチリメンジャコは食用ではないのだが)。
口の長さがかっこいいヤガラ。
他にも珍しそうなチリモンが多数あったのだが、自分の知識では種類を同定することができないのが口惜しい。こういう遊びは、キノコ狩りと同じで、自分が詳しければ詳しいほど楽しめるんだろうな。
ちなみにチリモンは原材料を採取した季節や場所によって、混ざってくる生き物が違うそうなので、何度やっても新しい発見があるそうだ。
あと何十年かすると、かざしたチリモンのDNAを調べて、その名前を判断してくれるオモチャが発売され、子供たちに大人気となるのかもしれない。もし私が生きているうちに発売されたら、絶対に買うと思う。
標本にしたいね。