南インドのミールスを出す「ケララの風II」から、軽食のティファンやサンドイッチを出す「ケララの風モーニング」となった沼尻さんのお店。最近ちょくちょく南インド料理教室がおこなわれているようなので、ちょっと参加させていただきました。
※料理名や材料名の表記にブレがあるけど気にしない!
今回のテーマは『今回はワダ、イドゥリ(イドリ)のドゥ(生地)作りのコツをお教えします。目指せ! ワダ名人』とのこと。ええと、ワダとイドゥリってなんだったかな?というレベルなんだけど、とてもためになったので覚書として残します。
ワダとイドゥリってなんだっけ
店内にあった説明によると、ワダが「ウーラッド(ウラッド)豆を水につけてペーストにしてドーナッツ型にして油であげたもの」で、イデゥリィは「米とウーラッド豆のペーストを発酵した生地を蒸したもの」だそうだ。
ワダはここで食べたことがあるけど、イドゥリはないかなー。
どちらにも使われているウーラッド豆(ダル)とは、こちらの小さな豆のこと。インド料理には豆をよく使うみたいです。
www.amazon.co.jp調べたらウーラッドは「ケツルアズキ」で、ダルは「挽き割り」という意味みたいです。ケツルアズキってなんだよっていう話ですが。
チャナダルがひよこ豆の挽き割り。
トゥールダルがキマメの挽き割り。
ムングダルが緑豆の挽き割り。
納豆以外に挽き割りっていう言葉を使うことあるんですね。
ワダの作り方
ワダのダルは吸水させよう
今回は自分で作る料理教室ではなく、沼尻さんが作るのを見学する会になります。
まずはワダの作り方から。
これがウーラッドダル。
以下正式名称はダルいのでダルで。
※沼尻さんはダジャレ好きなので、このレポートも多めでいきます。
実験用に用意されたのは、2時間半水に浸けたダルと、乾いた状態のダル。
まずはしっかりと吸水させたダルから。
これをバイタミックス(超強力ブレンダー)でガーッとペーストにします。水加減はゆっくり流してチョロチョロっとなるくらい。
っていわれてもわからないので数字で教えてもらったところ、吸水前のダル100gが水と合わせて260~270gになるくらいだそうです。
ガーっ。
途中で隠し味程度に、塩とヒング(強烈な臭いスパイス)を入れます。
はい、もっちりしたペースト状になりました。
豆乳のような青臭い豆の匂いがしますね。豆だからね。
豆だけなので、小麦アレルギー、グルテンアレルギーなどでも食べられるかな。
比較として吸水させないダルでやってみます。
はい、ザラッザラ。
ダルがちゃんと水を吸っていないと、きれいなペーストにならないので、ちゃんと吸水させましょうという話でした。
ワダの生地は寝かせてから揚げるのがベター
これをサラダ油で揚げていくのですが、ここでも生地を2種類用意。
一つは今作った生地で、もう一つはそれと同じものを冷蔵庫で2時間半寝かせたもの。
寝かせたものはちょっと膨らんでいるようです。
↓左が寝かせたもの、右が作ったばかりのもの。
この2つを揚げ比べます。
油の温度は「170度くらいかなー」といってますが、計っている訳ではないのでフィーリングです。
手を水でしっかりと濡らし、左手に生地をとって右手の指先で穴をあけて油にポン。
さてどんな違いが出るでしょうか。
こちらの作りたての生地が右、寝かせたのが左です。
写真だとわかりにくいですが、作ったばかりの生地だと焦げ色がつきにくいんだそうです。へー。
美味しい揚げ色にするためには、ワダの生地を冷蔵庫で寝かせたほうがいいようです。
本場インドの下町にあるワダ屋では、揚げる油を継ぎだして使う店もあり、油自体に色がついているため、ワダももっと茶色いのが一般的だそうです。
沼尻さんが新しい油を使って揚げたワダをインド人に出すと、「コレハマダ生ジャナイ?」と言われることも。
常温で寝かせた生地はダレる
ついでにもう一つ。作った生地をインドの常温(34度)で2時間半くらい放置したもの。
左は冷蔵庫で寝かせたもの。しっかりしてます。
右は常温。デレーンとしてます。
デレーンとしているので、とってもまとまりにくいんですが、これが暑いインドではスタンダード。手にたっぷりと水をつけます。
ワダを揚げるときのコツは、早めにひっくり返して万遍なく火を通すこと。
入れて放置しておくと、上側が膨らんで不格好になりました。
ドーナツ型の作り方はこちらの動画でどうぞ。
冷凍したワダを美味しく食べる裏ワザ
ついでに冷凍のワダを美味しく食べるコツも伺いました。
コツは水分を含ませてから揚げ直すこと。
どうやるかというと、ジャーッと水を掛けます。えー!
そしてそのまましばらく放置。わー!
こうしてしっかり吸水したものと、冷凍そのままを揚げ比べます。
左が吸水したもので、水が油と反応して泡がブクブク出ています。
はい、ふわっと揚がりました。
冷凍そのまま揚げたものは、同じ時間だと中がまだカチカチで、溶けるまで揚げるとパサパサになっちゃいます。
この水分補給テクニックは、トンカツやテンプラにも使えるそうです。
その場合はさすがに水浸しにするのではなく、霧吹きなどで適度に水分を与えてから揚げるといいんだとか。
イドゥリの作り方
イドゥリの材料はインディカ米とダル
つづいてはイドゥリ。
イドゥリがなんだかよくわかっていませんが。
材料はインディカ米とダルで、それぞれをペーストにして、混ぜてから発酵させます。
インディカ米は200gを吸水させて、一度お湯で洗ってから、水と360gにしてペーストに。
ダルは100gを200gの水で吸水させて、その水ごとペーストに。
ダルの菌は洗わずにそのまま生かし、米の菌はお湯で洗い流すことで、イドゥリに適した発酵をするのだとか。また米をお湯で洗うことで、ダルと混ぜたときに、発酵にちょうど良い温度になります。
ちなみに吸水をしないと、やっぱりきれいなペーストにならないそうです。
右が吸水したもの、左が吸水してないもの。
しっかり吸水させないと、発酵もうまくいきません。
ペーストを発酵させる
米とダルのペーストを混ぜて、インドの温かい日の常温(38度)を再現して15~16時間発酵させます。ケララの風ではパンを発酵させる保温器でやっていますが、家庭ならヨーグルトメーカーでもよさそうですね。ただ倍以上に膨らむので要注意!
今回は生地の作り方まででしたが、このあと発酵させたものをイドゥリ型(フッ素加工がオススメ)というもので4~5分蒸したらできあがり。
発酵後に生地を冷蔵庫で冷やした場合は7~8分と長めに。
このイドゥリ型は2段になっていますが、下の段は水滴がつくので使わないそうです。でも2段で使うことで、蒸す時に下の水が跳ねてついたりしないので、2段のままで使うそうです。
2階建てベッドを買って上だけ使うみたいな話ですね。
お湯を入れた鍋に入れて、フタをして蒸します。
イドゥリ型、買わなきゃ。アジアンハンターで売っているとか。ちなみにこれは沼尻さんが中央のスティックを後付したそうです。
インディカ米の炊き方
インディカ米は熱いお湯で洗ってから茹でる
インド流のインディカ米の炊き方も習いました。
常温なら1時間半、45度のお湯なら30分浸水させた米を、75度のお湯で洗って温めます。普通の家だと75度のお湯は給湯器から出ないので、がんばって沸かしましょう。
しっかり吸水させると、米が白くなります。
この米をたっぷりの熱湯にバシャー。
炊くというか、茹でます。
お米を温めておくことで、再沸騰までの時間を短縮させ、不要な粘りを出させないんじゃないかな。
吹きこぼれない程度の強火で、たまに混ぜながら10分茹でます。
かなりボコボコいってます。
「ミールスをやめて、ようやくこの仕事から解放されたんだよ。もっと大きな鍋で炊いていたから重くって。この重労働ですっかり体が締まって俺の腹筋はシックスパックだ」
シックスパック……
はい、10分経ちました。
日本の米なら蓋をして蒸らしますが、インディカ米はザルでお湯を切ったら、もうできあがりです。
お待ちかねの試食タイム
しっかり勉強したところで、待望の試食タイムです。
沼尻さんが事前に作っておいたなんやかんやと一緒にいただきます。
ケララの風がミールスをやめちゃったんで、今では食べられないレアな料理もあるのかな。
白くて丸いのがイドゥリ、ドーナツがワダ。
味が気になる方はケララの風モーニングへどうぞ。
サラッサラの炊きたてインディカ米に、みんな乗っけていただきます。
超うまい。
別角度から。
もういっちょ。
ワダですが、軽い食感の豆のドーナッツ。まさに軽食。でもけっこうお腹が膨れる。
ドーナツだけど甘いお菓子としてではなく、汁っ気のあるおかずと一緒に食べるのがおもしろい。
ワダ、うまい。ダルとヒングがあれば作れるかなー。
イドゥリは初めて食べたけど、意外なことに野沢菜漬けみたいな発酵食品の酸味があっておもしろい味。この酸味は一体?
「酸味があるのは、米とダルと水が発酵して三位一体になるからだよ。三位一体、酸味一体ってな」
だそうです。
小型のイドゥリ型もみせてもらいました。
ということで、ありがとうございました。
また別の料理も学ばせていただきたいと思います。
めざせ、ミールスがなんとなく作れる人!
※ちょっと買い物しませんか※
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