爪切男(つめきりお)さんの新刊、「もはや僕は人間じゃない」を読んだ。
すごかったっすわー。
ご自身の特殊な恋愛体験を書いた「死にたい夜に限って」がテレビドラマ化され、文庫にもなった爪切男さんの新刊。
まったく予備知識なしに、小説なのかエッセイなのかすら把握せずネットで注文して読んだのだが、すごいものを読ませてもらった。ありがたや。
舞台は「死にたい夜に限って」に書かれた同棲生活から一年後、どん底から同人誌に寄稿して作家への道をようやく歩き出すまで。本のデザインがすごいですが、仏像や珍スポットの紹介がメインじゃないですよ。
本の帯に「人生のどん底期、救ってくれたのは、お寺の住職とオカマバー店員でした」とある通り、登場人物は基本的にその3人だけ。複雑な人間関係とかが無くて、すごく読みやすい。
この本はイラストのひとつもない文章だけのストロングスタイル。黒パン一丁のテキストで、読み手の脳裏に状況をありありと伝えてくる。私は写真に頼りがちな文章しか書かないので、すごく羨ましい表現力だ。
爪さんの強烈なトラウマ体験や特殊な親子関係、作家になりたいけれどなにも生み出せない葛藤など、それらが物語の後半で意外過ぎて声を出して笑ってしまった展開によって上書きされていく。どうかと思いつつも、ものすごくキュンキュンする。あー、びっくりした。
まさかこの本で仏教の教えに触れられるとは思わなかった。諸行無常の日々だけど、もうちょっと生きるのもいいかもねという気になる本。
ありがとうございます、森山直太朗さん。
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