てんおじを名乗るナイスガイから、富山県南砺市で作られた「かぶら寿司」というものが送られてきた。ありがたや。
字がかわいいね。
「本の」お礼とは、昨年遊び取材に行ったとき、そっとベッドの下に隠した、あの興奮しちゃう本のことだろうか。
そして「本の」が、「ほんの=ちょっとした」という意味であることを読み取らないといけない。スルーしてはいけません。
ちなみのこの本です。興奮しちゃうよね。
それにしても、かぶら寿司である。
なんだっけ、かぶら寿司って。
聞いたことがあるような、ないような。
かぶらは、カブのことだよね。
寿司は、寿司だよね。
直訳すると、カブの寿司。
漬物の寿司かな、でも富山だから「ますのすし」っぽい押し寿司にカブがプラスされたもの、あるいはブリとカブの押し寿司かもと思いつつ、開けてみると謎の白和えみたいなものがでてきた。
いや最初から見えていましたが。
寿司なのかこれは。
ええと、発酵食品のなれずし的なもの?
意外と水切りヨーグルトだったりする?
まったく正体がわからない。素晴らしい。
上から見えるのは、ニンジン、トウガラシ、そして白いマッシュポテト的ななにか。……ポテトサラダ?
あ、カブをすりおろしたものかな。
いや違う、この甘い匂いは米麹だ。
箸を入れると具が出てきたので、小皿に取り分ける。
おー! 切れ込みの入ったカブの薄切りに、何やら魚が挟まっているじゃないですか。
「カブ+米麹+魚=かぶら寿司」ということか。
上と下のカブはサバを挟みつつ裏で繋がっている。
とりあえず白い部分をちょっと食べてみると、しっかりと甘い麹の味がする。酸味はほとんどないようだ。
酒粕じゃなくて米麹で作った甘酒に近い味。おばあちゃんが孫のために作るお菓子的な優しい甘さ。
ここの部分だけで、もううまい。おかずなのかつまみなのかおやつなのかがわからないけど。ニンジンのザクザクした歯ごたえも楽しいね。
続いては本体の具である。カブを開いてみると、見覚えのある切り身が。
これはマスでもブリでもない、この皮のテカリ具合はサバか!
もちろん生である。塩か酢で締めてあるのかな。
サバ!
注意書きに「4~5日で食べ切れ」と書かれていたので、鮒寿司みたいな発酵系の食品ではなく、サバの押し寿司(バッテラ)とか、お正月とかに食べるコハダの粟漬けみたいな扱いなのかな。
ドキドキしながら食べてみると、まずサクっとしたカブの歯ごたえが来て、カブと米麹の甘さが一緒に広がり、最後にサバの旨味が追いかけてくる。
サバ自体に塩や酢の味はそれほど強くなく、しっかりと米麹の甘さが染みている。砂糖を効かせたサバ味噌くらい甘い。
寿司というか、カブでサバを挟んだサンドだな。
はー、おもしろい。
あまりにも食べたことがない系統の食品で、一瞬思考回路が止まったけれど、これはおいしい食べ物だ。こたつで日本酒を飲みながら食べたい。
なんでもてんおじのお母さんによる手作りで、カブとニンジンと唐辛子は畑で育てたものだとか。サバは塩サバ。あの甘さは米麹由来で、砂糖や味醂は入れていないとか。
かぶら寿司は北陸でもエリアによって入れる魚が違い、石川県の金沢などではブリ、富山県東部(新潟側)はサケを使うことが多いとか。南砺市は貧しい農村だったので、比較的安いサバが使われるのではというのがてんおじの説。
かぶら寿司、これは素晴らしい食品だ。フレッシュななれずしとでもいうべきだろうか。自分で作るよりも、いつか日本海側を食べ歩いてみたい。あるいは作り方を見ておきたい。ごちそうさまでした。
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