私的標本:捕まえて食べる

玉置標本によるブログ『私的標本』です。 捕まえて食べたり、お出かけをしたり、やらなくても困らない挑戦などの記録。

梅酢を使った料理に挑戦

※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2010年8月23日に掲載した記事の転載です。

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農家の方からいただいた梅で梅干しを作った際に余ったのが大量の梅酢。これを使っていろいろな料理に挑戦してみようと思う。

梅酢が1リットル余っています

梅干しを作ってみて驚いたのが、梅からあふれ出した大量の梅酢の量。赤紫蘇で真っ赤に染まった梅酢で干し終わった梅干しをヒタヒタに満たしても、まだ1リットルも余っている。

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これがもう一本ある。冷蔵庫に置いておくのはちょっと邪魔。

これは梅からにじみ出たエキスなので、捨ててしまうのはもったいないけれど、使い道がまったくわからない。せっかくだからTシャツでも染めようかと思っていたら、梅干し作りの記事に梅酢の使い方に関するたくさんのコメントをいただいた。

さつまいもの葉っぱ料理の時もそうだったが、普段は記事を書いていても、あまり読者の存在をリアルに感じることが少ないので、こういったコメントは本当にうれしい(いつも返事はまったく書いていないですが、コメントは全部読んでいますよ)。ナイスなコールアンドレスポンスである。

さっそくコメントの返事を書く代わりに、梅酢を使った料理を作ってみることにした。

紅ショウガを漬けるのが定番らしい

いただいたコメントで一番多かったのが、梅酢にショウガを漬けるという使用方法。紅ショウガっていうのが、こうやって作るものだというのを恥ずかしながら初めて知ったよ。そりゃ紅ショウガが赤い訳だ。

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普通のショウガと、新ショウガを漬けてみます。

一応国産を選んで買ってきたショウガを細切りにして、新ショウガと一緒に梅酢に漬けこむ。

最初はタッパーに入れてダボダボと梅酢を注ごうかと思ったが、梅酢に使い道があるとわかると急に使うのがもったいなくなるもので、なるべく少量で漬けられるように、保存袋を利用してみた。あえて正しい作り方を一切調べなかったので、下漬けなどの処理はしていない。

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ちょっと梅酢をケチりすぎたかな。さっきまで持て余していたのにね。

どのくらい漬けるべきなのかがよくわからなかったのだが、さすがは細切りだけあって一日ですっかりピンクに染まっていた。ちょっと切り方が大きすぎたみたいだけれど、確かにこれは紅ショウガだ。

ちょっとつまんで食べてみると、ショウガの辛さと梅酢の酸味のダブルパンチ。市販の紅ショウガではありえない鮮烈な味わい。これをつまみに酒が飲める。

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焼酎のアテに最適。

酒のつまみにもいいけれど、やっぱり紅ショウガといえば牛丼だろうということで、お持ち帰りの牛丼を買ってきて乗せてみた。なんだか紅ショウガが大きすぎて牛丼が小さく見えるが並盛りだ。

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ちょっと多すぎたかな。

紅ショウガと牛肉とご飯が同時に入るようにして大きく一口食べてみたのだが、僅か三本程度の紅ショウガの存在感がすごい。本来主役であるべき牛肉を押しのけて、口内のステージで堂々とメインを張っている。これはもう紅ショウガ丼だ。俺が小学生だったら泣きだすな。

これはこれで今までにない刺激的な丼でとてもうまいのだが、次に紅ショウガを作る時は、牛丼とのバランス的に、もうちょっとショウガを小さく切ろうかな。

ハジカミの天麩羅にソースをかけるとうまいらしい

新ショウガを梅酢に漬けたものがハジカミ(ハシバミ?)。本来の作り方とは違う気がするけれど、紅ショウガと一緒に丸ごと梅酢に漬けてみた。

さすがに一日では漬かりが全然浅いようだけれど、スケジュール的な問題でとりあえず齧ってみると、紅ショウガよりもさらに鮮烈で口の中がヒリヒリするような味。このハシバミ一本でチューハイ三杯いけそうだ。というか、湯通しかなにかしてから漬けるのが正解のような気がする。でもこの味が大好き。

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ブリの照り焼きなんかに添えられているやつだね。

そしてこのハジカミを天麩羅にしてウスターソースをつけたものがビールにとても合うらしい。この料理はどうも大阪の文化らしいのだが、まずハジカミの天麩羅というものを食べたことがないし、さらに天麩羅にウスターソースというのも初耳だ。だが「恐ろしい位」ビールに合うというのなら、一度チャレンジしない訳にはいかないだろう。

冷たいビールを用意しておいて、恐る恐るハジカミを天麩羅にして、ウスターソースをダボダボかけ、熱いうちに齧りつく。

火を通したことで多少マイルドになった新ショウガとウスターソースを吸いこんだ衣との相性がバッチリ。そしてそれとビールとの相性がさらにバッチリバッチリ。

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大阪の人はこんなうまいもので酒を飲んでいるのか。

これは居酒屋にあったら絶対頼みたくなる強烈なインパクト。たぶんくし揚げ文化の一端なのだろうけれど、この初体験の味はとても気に入った。とかいって、コメントしてくれた人がイメージしているものとできあがったものが全然違うものだったら恥ずかしいな。

ついでに紅ショウガも衣に青のりを混ぜて磯辺揚げ風にしてみたのだが、これもバッチリうまい。市販のクタっとした紅ショウガだったらダメなんだろうな。

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小麦粉と紅ショウガと青のり。お好み焼き的な組み合わせだな。

天麩羅といえば、濃縮タイプのめんつゆと水と梅酢を同量で天つゆをつくると、これが暑い時期にはさっぱりしてうまい。

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もちろんこれをそうめんのつゆにしても最高。

野菜も漬けてみる

せっかくなのでショウガだけでなく、他の野菜も付けてみることにした。まずは薄切りにした大根を漬けて桜大根。漬かりがちょっと浅かったけれど、子供のころに食べた駄菓子でこういうのがあって懐かしかった。色もきれいだし、日本酒に合いそうだ。

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塩で下漬けをしてから漬けるべきなのかな。

もう一品は山形名物のだし。適当な夏野菜をみじん切りにして醤油などで味付けをするのが本来のやり方なのだが、醤油を少なめにして梅酢を加えてみた。これは普通においしいのだが、まあやらなくてもよかったかなという味だった。

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梅酢を使うことの効果がイマイチ感じられなかった。

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冷や奴に梅酢をかけたものも作ったのだが、これにダシをかければよかったかな。

炭酸で割って飲む

もっとストレートに梅酢を味わう方法が、「割って飲む」という方法。

ストレートな方法といっておいて割って飲むっていうのも、なにか矛盾していますね。

カキ氷イチゴ味のシロップみたいに鮮やかな梅酢をグラスに注ぎ、無糖の炭酸水で割って氷を浮かべる。最近は健康のために酢を飲む人も多いようだが、たぶん梅酢のほうが数倍うまい。

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人工着色料を使っていなくてこの色。

もちろんこれに焼酎を入れた「梅酢サワー」もめっぽううまい。立ち飲み屋で串カツをつまみに巨人阪神戦を見ながら、これを飲んだらきっと最高。野球は別にそれほど好きじゃないんだけどね。

魚を漬けてみる

続いてはちょっとチャレンジングにシメサバを梅酢で作ってみた。釣ってきた脂のぜんぜん乗っていない残念なサバを三枚におろして塩をして、しばらくしてから軽く洗って梅酢でしめる。皮をむくのに失敗。

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冗談みたいな梅酢の色。

残念ながら梅酢の色はそれほどサバには移らなかったが、味はしっかりと染み込んだ。やはり普通の酢とは違う独特の酸味が楽しい。いっそ酢飯も梅酢で作って、ピンクの押し寿司なんてどうだろう。でもそれを喜ぶのは林家ペーくらいかな。

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もっとしっかりピンクに染まるかと思ったのに。

さらに買ってきたイワシの刺身を梅酢にくぐらせてみたのだが、イワシの持つ生臭さが抜けて上品に仕上がった。ショウガ醤油もいいけれど、梅酢で食べるのも悪くない。見た目が若干ファンシーになったけど。

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おいしいけれど、何も言わずに出されたら何事かと思うカラーリングだ。

鶏肉を煮てみる

梅酢はまだまだあるので、今度は鳥の手羽元を梅酢、酒、みりん、少量の醤油で煮てみた。酢で煮るさっぱり煮というのは作ったことがあるが、梅酢で煮るのはもちろん初めて。

これが冷たくしてもおいしく、熱帯夜の夜に最適の仕上がり。ご飯のオカズというよりは、酒のつまみという感じの味。どうも梅酢を使うと、なにを作っても全体的に酒のつまみっぽい味になるような気がする。

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イチゴジャムで煮たような色だな。

最後は赤紫蘇でゆかりを作る

梅酢はまだまだあるけれど、とりあえず今回はここまでとし、最後はカラカラに干した赤紫蘇を使ってのゆかり作り。ゆかりっていう名前がいいよね。コアラの大好物みたいで。それはユーカリ。

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固く絞った赤紫蘇を三日間干してカラカラにした。

味付けをまったくせずにミキサーで粉末状にしただけなのだが、しっかりイメージ通りのゆかり味になっていて驚いた。

数年ぶりに食べたゆかりだけれど、白いご飯に香り高いゆかりの組み合わせは癖になりそうだ。

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これにさらに生卵と醤油をかけてしまった。超うまい。

使い道がわからずにあぶなく捨てるところだった梅酢だが、ちょっと使い方のコツさえつかめば一つの調味料として料理の幅を広げてくれる強い味方ということがよくわかった。

今度なにかめでたいことがあったら、全部の料理に梅酢を使って、食卓を真っ赤に染めてみたいと思う。

コメントありがとうございました!

 

 

 

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